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スポーツビジネスを学ぶ おすすめ図書紹介【2020年1月】

あけましておめでとうございます。今年も何卒よろしくお願いします。
2020は最低でも毎月1記事はnoteでのアウトプットをしていきます。
年始一発はスポーツマーケティングに関する本の紹介です。
11月よりスポーツビジネスの現場に移りまして私もまだまだ勉強することが満載のため、年始に以下3冊を読みましたのでご紹介です。

1、プロスポーツビジネス 私たちの成功事例

スポーツビジネスの現場で活躍する方のリアルな声が記載されており、スポーツへの関わり方がわかりやすい一冊です。スポーツ業界での具体的な仕事のイメージが掴みやすく、3冊の中で一番おすすめです。


記載内容は、
①コカコーラのスポーツマーケティング
→コカ・コーラがオリンピックや選手にスポンサードすることで実現したアクティベーション施策の成功例が記載されております。事業会社でスポーツマーケティングを通したアクティベーション施策を担当される方はぜひご参照ください。中でも「協賛金の5倍の金額をアクティベーション予算として投下しないとペイした分の元が取れない」という内容は面白いです。
以下記事も参考です。

②スポーツデータリサーチ
→ニールセンスポーツによる、スポーツ投資へのデータ介入の重要性が説かれております。クラブや球団の課題としてスポンサーシップの効果が見えづらく、企業側が投資しにくいという課題があります。その課題に対してスポンサーシップの価値を定量分析することで価値を見える化し、スポーツ界への資金流動化を目指す。数的根拠のないところに投資ロジックを組むことが難しいことから、今後のスポーツビジネスを発展していくためデータによる投資の見える化は重要なポイントとなります。

③スポーツファシリティ
マツダスタジアムの成功を例として、スタジアム/アリーナのあるべき姿が説かれてます。中でも面白かったのが、人が集まる施設には「意欲を喚起する建築」が求められ、「遊環構造の7原則」に沿った建築が必要であること。
1、循環経路があること
2、その循環(道)が安全であること
3、その中にシンボル性の高い空間、場があること
4、その循環にめまいを体験できる部分があること
5、近道ができること
6、循環に広場が取り付いていること
7、全体がポーラス(多孔質)な空間で構築されていること
→スポーツとは離れますが、IKEAは上記構造で作られていると感じます。

日本スポーツ業界の課題としてクラブ自らが所有権を持つスタジアム/アリーナ(箱)が少ないことが挙げられます。(ほとんどの箱が行政運営)スタジアムに関わる多くのステークホルダーの間に立ち、収益性の高いスポーツファシリティを生み出していくことは引き続き課題で、多くの箱モノの建造が予定される中、「スポーツ×建築」領域への人材流動は活性化することが想像されます。

④イノベーション
SAP(企業向けビジネスアプリケーション)導入による選手のパフォーマンス改善。これにより2014年W杯でドイツが優勝を果たしたといっても過言ではありません。レーブ監督の目標の一つに「試合中に一人の選手がボールを保持する時間を短縮すること」掲げていました。そこでSAPを導入することで選手のデータ解析とトレーニング改善を繰り返し、2006年に2.8秒だったボール保持時間が2014年には1.1秒にまで短縮され見事に優勝。
チームスポーツのデータ解析はあらゆる分野で広がっており、育成面やタレント発掘への貢献でもその存在感を増しております。数字解析力はスポーツに関わる上で必須スキルとなる時代がもうすぐそこまで来ていることを感じます。

⑤スポーツツーリズム
インバウンド客は「試合観戦+観光+アクティブ体験」を求めている。JTBはただ旅行パッケージを作るだけではなく、観光地の魅力を発掘してもらうためのパッケージ作りが求められております。また面白い点がスタジアム/アリーナを「コストセンター」から「プロフィットセンター」にすることへ旅行業界がチャレンジしていることです。海外のクラブではVIPでの試合観戦が特別な体験を提供し、新たなビジネスへの礎となっていることも少なくありません。日本ではまだまだこのスポーツホスピタリティが未成熟で、この領域にアドバイザーとしてJTBが参画をしていくと。スポーツ大会をフックに地方との懸け橋となり地方創世を狙うJTBの関わり方は2020のオリンピックでも必見です。

⑥クラブ経営
アルビレックス新潟のシンガポール、バルセロナ進出での成功事例が記載されております。現地での失敗と成功がリアルに描かれておりますが結論は、「アジアマーケットで活躍できる海外人材にならないとあかんぞ!」というメッセージですw。⑦のJリーグ戦略とも紐づきますが、日本サッカー界はアジアに進出することで、選手育成、ビジネス拡大(スポンサー獲得/ノウハウコンサル/インバウンド喚起/放映権拡大)を必須戦略の一つになりえます。

⑦アジア戦略
Jリーグの新たなマネタイズモデルとして、アジアマーケットへのJリーグ成功モデルの提供=コンサルティングの成功例が紹介されております。結果的にはノウハウを無料提供することで、アジア諸国にパイプを築きJ各クラブへの販路拡大(新規事業/スポンサー拡大/選手獲得)となりました。選手獲得の例では、J2水戸ホーリーホックにベトナム代表の有名選手が加入したことで、ベトナム企業からのスポンサー獲得&インバウンド需要の喚起による地方創世への貢献があります。

2、スポーツマーケティングを学ぶ/最新スポーツビジネスの基礎  

この2冊は伝えたい内容の方向性はほぼ一緒のため、まとめてご紹介します。スポーツビズネスの歴史を勉強したい方は「スポーツマーケティングを学ぶ」を、スポーツビジネスにおける各ステークホルダーの役割や課題を理解したい方は「最新スポーツビジネスの基礎」を読むことをおすすめいたします。

「スポーツマーケティングを学ぶ」は2002年日韓ワールドカップを成功させた電通の広瀬さんの著書です。
この本はスポーツマーケティングの歴史を遡りながら、スポーツマーケティングとは、またその商品化とは、以下のように言語化されている点がポイントです。

スポーツマーケティングとは、
スポーツを利用した企業活動と、スポーツの普及拡大とを複合し、メディアを通じたメディア価値を利用して目標に向けてた最適な解答を得るためにマーケティングを行うビジネス。

またスポーツマーケティングにおける商品化とは、
「1、メディア価値を上げる。(露出を確保)
 2.潜在的な価値を「権利として明文化/法定化」する。
  =権利中よって確保される差を明示化・明確化する。
 3.法定された内容を契約書にする。」

この言語化の元、1984年のロス五輪以降で国際オリンピック委員会のユベロス氏と電通が考えたパッケージ商品は、現在までのスポーツマネタイズのベースとなる考え方となります。
オリンピックという世界大会を「テレビ放送用のエンタメ」と位置づけ、
排他的な放送権利の売買を行いビッグビジネスへとマネタイズ。
放映権を得たメディアはスポンサーシップに当たって十分な成果を上げるために、営業力のある電通の協力を得て、スポンサー商品のパッケージが完成いたしました。

そしてCM販売ベースのスポーツコマーシャリズムが以下の流れを得て、
市場が安定したスポーツマーケティングへと昇華いたしました。
1、スポンサー権利内容の明確化
2、パッケージが第一期であれば第二期へと継続されることが予想され、
継続的かつ安定的なスポンサーシップ及び取引が確保
3、権利金というキャッシュフローも事前に確保
4、競技団体は収益の再投資が安定
5、買い手となるスポンサー企業も事前に資金調達の準備ができる

またスポーツの持つメディア価値のセールスポイントを以下にまとめます。
1.リアリティー
報道と並んで最もリアリティーのあるソフトであり、ニュースバリューも持ち合わせているため、記事ネタになりやすい。そのため量としても露出が確保でき、質としてのアピール力も強力。
2.視覚に訴える
動きのダイナミズムと分かりやすさで実に映像向きのソフト
3.広い訴求対象
ノンバーバルで言語、国境、人種の壁を越える。世代間のギャップも少ない。共通の話題になりえる。

最新スポーツビジネスの基礎」では以下の業種ごとに、
ビジネス概要、ビジネスリスク、関係性の深い法規制、特有の会計処理で
まとめられております。業種は以下です。
・スポーツ用品
・スポーツ食品
・スポーツメディア
・スポーツイベント
・スポーツ施設/スタジアム
・プロスポーツビジネス
・選手のマネジメント/エージェント
それぞのビジネス特徴は、「プロスポーツビジネス 私たちの成功事例」に内包されていることから、どちらか一つを読めばよいのではと考えます。
ただ、リスク、法規制、会計処理に関しての情報量は多いため、対象の業種に入った時には目を通すべきと思います。
※今回は読み飛ばしてしまいましたw
なお、本書記載の「スマートベニュー」は地域とクラブが一体となったボールパーク構想で、現在多くの計画が進行中で参考になるので以下の記事を読んでみてください。※スマートベニュー:周辺のエリアマネジメントを含む、複合的な機能を組み合わせたサステナブルな交流施設を表す造語。

以上となります。今年2020東京五輪を控える中で日本のスポーツビジネスも大きな転換期を迎えます。問題は2020が終わった後、その勢いをさらに大きくし文化として根付かせていくことができるか。
私もスポーツ業界に11月からチャレンジしている身。引き続き勉強しながら現場での実行を通して腕を磨いてまいります。

スポーツ業界の方々、ぜひ交流を深めさせてください。
twitterではスポーツ中心にマーケティングの情報発信もしております。
ぜひtwitter上でも交流させてください。


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