ドイツのアーティスト支援機関『KSK(Künstlersozialkasse)』へ申請から加入までの話
(※2024年4月更新)
みなさん、こんにちは。ベルリン在住のTakumaです。
現在、ベルリンでフリーランスとして映像制作をしており、ベルリンに来て今で3年目を迎えています。(2024.4時点)
はじめに
今回、ドイツのアーティスト支援機関である『KSK(Künstlersozialkasse)』へ申請し、KSKのメンバーとして受け入れてもらえました。
後からくる日本人アーティストのために少しでもなればと思い、記事を書くことにしました。
※あくまで自分で調べて得た知識の範囲内で、専門家でもないので、100%正しいとは断言できません。予めそこはご了承いただけると嬉しいです。
有償にしても良い記事だと思いますが、これを読んでる方はドイツでのアーティスト活動を目指しているor活動している方だと思うので、会った時にでもビール奢っていただければ大丈夫です!待ってます!必ず!
前提としてのドイツの保険制度の仕組み
ドイツは健康保険の制度が複雑で、いわゆる日本でいう一律で加入できる国民健康保険がありません。
法定保険(国が認めている保険)を大きく分けると公的保険・プライベート保険に分かれるのですが、公的と言っても実際のところはAOKやTKなどの国から認められている民間企業が請け負っています。
一方でプライベート保険はそれ以外の保険会社のことを指すことが多いです。
ただし旅行者用保険とは別物なので注意。ビザ更新に備えよ。
混同されがちなCare Conceptなどの旅行者用保険は年金や介護保険等が含まれていないので、プライベート保険にも分類されていないはずなので注意が必要です。(60-80€/月で加入する一時的な保険)
初回のフリーランスビザを申請する場合はこのCare Conceptなどの旅行者用保険でも受理されることが多いようですが、フリーランスビザ更新の際には上記の法定保険に加入し、年金を支払っていないと拒否されるケースが多いようです。(更新できたという話も少人数ながら聞きますが・・)
また永住権を獲得するためには60ヶ月間、つまり5年間の年金を納める必要があります。
あなたは公的保険?プライベート保険?
簡単にざっと調べた感じはこんな感じの違いです。
公的保険の特徴
収入に対して一律%が拠出される
歯科でカバーがされる範囲が狭い(追加で歯科だけプライベートに入ってる人も多いみたい)
歳をとっても拠出金額は大きく変わらない
プライベート保険の特徴
収入関係なく一律、ただし年齢で変わってくる
パブリック保険と比べるとやや病院でVIP待遇されがち。病院によってはプライベートのみ受け入れのところもあるみたい。たぶん病院側の利益率の関係。
歳を重ねるほどに拠出金額が高額になっていく
フリーランスにとってはこの2種の保険は不可逆的である
そしてフリーランサーが一度プライベートの保険に加入した場合には、後から公的の保険に切り替えるのは難しいようです。「歳を取ってきて、プラベートの保険料が高額になってきたからそろそろ公的保険へ移行するか」という道が断たれるということです。抜け道としては一度会社員になるか、失業するかがあるみたいですが、詳しくはボクも知りません。
ただ、公的保険に入れるのであれば入っておいた方が良いと思います。
さて、ここで障壁となってくるのが、フリーランスの場合は公的保険への加入が難しいケースが多いということです。
会社員として働く場合は、従業員と企業側が拠出金を折半して払うのですが、フリーランスの場合は全部自分で負担する必要が出てきます。これに関しては日本と同じですよね。
そして、フリーランスの場合は公的保険に加入しようとすると断れてしまう場合が多いようです。(世知辛い世の中〜)
で、ここでようやく登場するのが
アーティストの強い味方:KSK(Künstlersozialkasse)
フリーランスのアーティスト、ジャーナリスト、美術教師のための社会基金です。政府とフリーランスのアーティストを雇用する企業から資金提供を受けている機関です。
ここの機関がアーティストをサポートしており、上記の会社員にとっての企業のように、半分を負担してくれるという素晴らしい制度です。
またKSKのサポートを得ているということが証明できれば、公的保険への加入も可能になり、上記の問題も解消されるわけです。
じゃあ入るしかないと言いたいところですが、
ある程度条件も設定されています。
ざっくりいうとKSKが気にする部分は以下
あなた本当にアーティストなの?創造性のある仕事?証明できる?
アーティストとしての活動が本業?(他の収入源の方が比率多いとかない?)
アーティストとして年間3,900€以上の収入ある?
写真家でいうと、芸術写真家や報道写真家は受け入れられますが、ウェディング写真家や証明写真・ポートレート写真などの活動は受け入れられないようです。なかなか線引きが難しいところだと思いますが、要は創造性やジャーナリストとしての価値が高いのかというのがポイントだと思います。
オススメとしては、フリーランスのビザを貰って、ある程度請求書などを獲得できたらすぐ申請した方が良いと思います。(ビザ取得から半年くらい目安?)
年収とアーティストとして稼ぐその割合を提示しないといけません。
KSK申請までの流れ
KSKのサイトで登録用紙を依頼し、郵送で自宅に送ってもらう
上記申請日より1ヶ月以内に書類を集めて郵送にて返信(日程がタイトめなので注意)
3~9ヶ月結果を待つ
保険料・年金の精算
KSK書類の準備
自分は以下の書類を準備して提出してきました。
・申請用紙
・IDのコピー
・CV
・学歴証明
・ポートフォリオ(紙ベース)
・WEBサイトの印刷
・推薦状
・現在加入している保険内容を証明できるもの
・契約書や請求書(振込履歴の写真を添付)
ドイツの保険会社を探す
結論から言うとボクの場合は無難にTKを選びました。ドイツでの公的保険としては最大手の会社です。
Techniker Krankenkasse
https://www.tk.de/techniker
ボクね、実はKSKを申し込む前にプライベート保険のHanseMerkurに申請を出していたんですが、健康診断のコレステロール値が基準を超えているということで入会を拒否されてしまった経験があります。
(血液検査の前日にサッカー仲間と深夜の日付が変わるまで飲んでたのでめちゃくちゃ自業自得)
ただ、結果的にHanseMerkurを諦めて、KSK経由でのTK加入をすることになったので良かったです。
ボクの場合はKSKに申請を出す段階ではCare Conceptの保険に加入していたんですが、申請してから承認が下りるまでの間にTKのホームページにいって現在KSKに申請している旨を添えて登録応募をしました。
じゃあ
「オッケー!これ仮会員証だからKSKに知らせてね!」
という旨を郵便かメールが届きました。
注意点
注意点としては、書類が受け入れられるまでに結構な時間がかかり、書類に関して不備や確認事項があれば更に長くなるみたいです。
あとは晴れて会員として受け入れられた場合は、「書類申請した月」から「受け入れられた月」までの期間は遡って支払いが算出されます。
保険料も年金も収入に応じて算出されいるようです。
年金に関しては単純で・・
『KSKと折半した1ヶ月あたりの年金』 x 『申請から受け入れまでの期間』
KSKメンバーとしてすでに法定保険に加入していた場合は過去の支払いが逆に返金されるケースもあるようです。旅行者保険の場合は返金はないはず。
ボクの場合はCare Conceptだったので、
・過去を遡った年金の支払い請求
・毎月いくら口座から引き落とすか(引き落とし用の口座教えて)
の連絡が郵便で届きました。
ボクの場合は2023年9月に申請し、2024年3月にKSK加入ということで7ヶ月分の年金の支払い+1ヶ月(来月分の口座引き落としは間に合わないからその分も振り込んで)
ということで8ヶ月分の年金を支払いました。
う、、覚悟はしていたけどでかい出費。。。
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KSKに関する一般情報(かなりおすすめ)
https://allaboutberlin.com/guides/ksk-kuenstlersozialkasse
申請用紙の書き方ガイドPDF
https://dl.dropboxusercontent.com/s/zzxlgm0umyl77nv/ZineFGRG_KSK_Desktop.pdf?dl=0
わからない部分はこちらを参考にしながら記載していきました。
非公認 KSK用のFacebookページhttps://www.facebook.com/groups/398576963891545/
過去の投稿を遡って検索すれば大抵の事例は見つかる可能性が高いと思います。何度も過去にされている質問を繰り返してしまうと「おい、この日本人」と面倒くさがられるので、注意しましょう笑
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以上です。
少しでも後から来る日本人アーティストのためになればと思います!
感謝の心でいっぱいの方はベルリンにてビール奢ってください!笑
IG : @takuma.oshima.jp
みなさまの幸運を願っております。
それではまた!!
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