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【ストリートバー開業記⑤:完成空間】理想の空間を追い求め、950万円上振れた開業資金

こんにちは。井澤卓です。

仲間とデザイン会社を経営しながら、会社のメンバーで飲食店"LOBBY"を経営しています。

このnoteは、僕達が新店舗"nephew"を立ち上げるに当たり、構想段階から作り上げる過程を書き連ねるシリーズです。

第一章〜第四章はこちらをご覧ください。

第五章の今回は、完成した空間と開業資金の結果について。

計画というのは全く当てにならないもので、空間を作っていると想定外なことに直面したり、やりたいこともどんどん増えていく。同時にコストも跳ね上がっていきます。

飲食店としての設備に加え、什器や備品等想定外の出費も重なり、結果的に大きく事前の想定を上振れることに。

でも、だからこそ胸を張れる居心地の良い空間を作ることが出来ました。

空間づくりの背景はもちろん、普段中々見れないリアルな飲食店の立ち上げコストの舞台裏を、包み隠さず公開します。

事前計画:開業資金1,900万円

今年1月5日に書いた第2章では、当初の開業計画を詳細に記しました。

■物件情報
立地:代々木公園駅徒歩2分(裏通りの立地)
建物:戸建て
広さ:71.19㎡ / 21.53坪 (2階建て)
家賃:¥407,000
坪単価(事業面積あたり):¥18,903

■前提条件
・投資金額:1,900万円
・回収目標期間:3年
・最低必要利益/月:¥527,778 
・最低必要売上/月:¥1,700,000

・営業日:週5日(月20.5日)
・営業時間:19時−1時(6時間)

※利益=営業利益

今見返すと、実情と大きくかけ離れていてちょっと恥ずかしくなるレベル。

当時の開業資金の計画は1,900万円。
そのうち、店舗づくりにかける費用は1,500万円を予定していました。

計画が1月初旬。実際に工事が始まったのが2月、完成したのが4月の中旬。
この4ヶ月半は、目まぐるしく計画が変わり続ける日々でした。

やりながらも、「お。これはどうやら予算オーバーしてるな?」という予感はひしひしと感じつつ、考えないようにしていました。笑

今見ても痺れる、身が引き締まる金額感です。
具体的な金額に移る前に、まずは完成空間を見てください。

完成空間

開業資金は、コロナ関連で公庫や銀行から受けた追加融資に加え、日々のデザイン業や、既存店のLOBBYで生み出した利益を元手に。

LOBBYより事業面積が広く、かつカフェ・バーの2業態の運営を加味し、多少の予算上振れ自体は想定していました。

こちらが完成空間です。
僕達自身も大満足の居心地の良い空間ができあがりました!

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以前の住居状態を考えると、完全に別物の空間に生まれ変わりました。
1F、中2F、2Fという三階層の立体構造で、いつどの席に座っても新鮮で楽しめるようにデザイン。

昼にカフェとして。夜にバーとして。
恋人とゆっくり飲む時に。友達のグループとの語り合いに。

特定のシーンを選ばず、様々な用途に合わせて使い分けられるお店を目指しています。

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むき出した天井や梁の木材が自然と目に入り、温かみのある空間に。
木造戸建てならではの要素をうまく活かし、特徴的な空間を作ることができました。

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ここまでのフルリノベーションを行うと、やっぱり気になるのは「この空間を作るためにいくらかかったのか」という点。

このnoteでは、細かい施工内容、意匠のコストも含めて、開業資金の全体金額まで惜しみなく公開していきます。

開業資金の上振れ。その額950万円!

それでは早速気になる開業資金の総額です。
結果から言うと、nephewの開業資金には、約2,850万円がかかりました。

当初の1,900万円の計画から950万円も上振れた金額です。
LOBBYの開業資金は1,700万円なので、それに比べても2店舗目のnephewは1,150万円も高い。

痺れる投資金額!
以下がかかった全体金額のまとめです。項目ごとに数字をまとめています。

nephew_管理シート - 最終イニシャルコストまとめ (7) 2

※内装設計、グラフィックデザイン等は自社で行っているのでかかっていませんが、外注するとしたら+300万程度は考えておいたほうが良さそうです。

「900万円の上振れは、経営者としてもデザイン会社としても失格だろ」という声が聞こえてきそうです。笑

まず目につく契約金約370万円は、第二章でも触れている部分。
飲食店の初期費用はどうしても高くなるためこの点はどうしようもありません。

大きいのは内装・外装でかかっている2,140万円
ここが大きく上振れたところです。

もちろん上振れた理由、そしてその上振れた金額で踏み切った理由があります。
以下のパートで、項目ごとに費用の詳細を説明していきます。

工事関連

■解体・外壁塗装

今回の物件は、元々住居だった木造戸建て。
今思うと、これが厄介でした。

「住居戸建てを飲食店に変身させるために、どれほどの労力を必要とするか。」
正直なめてました。

飲食店としての機能を付与するため、まず解体から開始します。
今回は、なるべく空間を広く使えるよう、各部屋を仕切る壁や天井、お風呂や押し入れなど住居としての設備を全て解体・撤去。
更に、中2Fを新たに作るため、一部階段や2Fの床、梁まで撤去しました。

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▲元々の1Fの室内。古い戸建てに、住友不動産の新築そっくりさんのリフォームが入っていたため、中は綺麗でした。だいぶ変わりましたね。

元は古い戸建ての物件。
解体を進めていくと、予想していなかった複雑な形状が沢山出てきます。その都度設計も変更したり、同時に産廃の費用も嵩んでいきます。

結果として工数も増え、解体費用は約280万円まで膨れ上がってしまいました。

何もないスケルトン状態で借りれていれば、この280万円は払う必要がない金額です。
ただ、今回は住居物件を借りている以上どうしようもないところ。

「壊すだけで280万円か...。」と思うと悲しくなりますが、飲食店として居心地が良い空間を作るためには必要な出費です。

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▲1Fに元々あったお風呂。
飲食店にお風呂はいらないので、こちらも撤去。

次に外壁塗装工事。
これは最後まで悩んで、オープン直前に工事を行いました。
当初はこれまた癖のある色で、ピスタチオのような発色の良いイエロー。

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サッシ類がブルーになることは決まっていたため、イエローと組み合わさるとかなりポップなイメージに。
放置しておくと、「狙ってこの色にした」と思われかねない絶妙〜に微妙な色。

「やっぱ外観も大事だよなぁ」と悩んだ末、塗装工事をお願いしました。

こちらが塗装した外観です。やっぱり印象が大きく変わります。
グレーとライトブラウンの中間色のような色合いに。キーカラーのブルーとのバランスも良くなりました。

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住居感満載だった戸建てが一気にお店っぽく変身。
当初外観はそこまで重視していなかったのですが、完成空間を見るとやはり重要ですね。

とはいえ、この塗装で56万円。一瞬にして積み重なります。

気づくと、物件契約の初期費用・解体費・外壁塗装だけで700万円です。

屋内の意匠や構造に移る前に、スタートラインに立つだけで700万円もかかると考えると気が遠くなりますね。笑

ここから内装を作っていく本工事に入ります。
各工事項目の大まかな金額割合がこちら。

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■設備工事

電気、冷房、換気など、お店として絶対に担保しなければならない設備工事。
その合計額が約430万円です。

合計:¥4,296,143

電気設備工事:¥1,379,933
冷暖房設備工事:¥1,087,350
換気設備工事:¥707,025
給排水設備工事:¥957,385
ガス工事:¥164,450

これに関しても飲食店を行う上で避けられない金額投資。
やはり、居住戸建てからの改装ということで金額も大きくなっています。

この時点で1,130万円です。
工事系を合算して1,500万円の予算を設定していた当初の計画だと、内装・厨房設備に当てられるのが370万。この時点で到底無理な計画だったとわかります...。

■大工工事

268万円と大きな割合を占める大工工事。
今回は、第三章でも触れている中2Fを作るなど大規模な工事を実施しているため金額が膨らみました。

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2Fの一部と既存の階段を途中から壊し、新たに床を作った中2F。

床や梁を壊し、新たに新設するという突拍子ないことをしたので、コストが嵩みます。

ただ、そのおかげで見たことない景色を作ることが出来ました。

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階段のビフォー・アフター。
壁もなくしたおかげで開放感が出ています。

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中2Fには最大5人が座れるテーブル席を設置。
グループ客を収容できる貴重な席になりました。

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■内装工事

内装工事の143万円は、主に床材が大きな割合を占めています。
階段から中2F、2Fへ続くサイザルという麻の素材です。

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カウンターにも使っているこの素材に88万円かかっています。
これに関しては完全に意匠的なコスト。床材次第では安く抑えることはできる部分です。

今回床材も悩んだポイントでした。

モルタル仕上げの1Fと表情を変え、温かみのある自然素材を使いたい。
ただ、元々木造戸建の物件。
残された梁など、木材はところどころに目に入るため別の素材が良い。

そこでこの麻の自然素材であるサイザルを選びました。

主に居住空間に使われるイメージですが、今回はあえて土足で人が行き交う商業空間に使ってみることに。
劣化は致し方ないですが、それも味になっていくことを願って思い切った形です。

■タイル・レンガ工事

今回空間の顔として使ったタイル。

カウンターの天板には水色のタイルに、ベージュの目地(ライン部分)を選びました。

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そして、各ボックス席、中2Fテーブル席のテーブル天板は白いタイルにブルーの目地を。

空間の伏線的に、色味を反転させています。

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こういった空間のギミックや、既存店LOBBYとの繋がりをところどころに散りばめています。
誰かが気づいてくれるかは置いておいて、細かい部分の背景設定がじわじわと空間を面白くするはず。自社物件ならではの遊びですね。

トイレも同じ考え方でタイルを使っています。

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使用したタイル自体は安い素材で、全面積で原価11万円ほど。
一般住宅や商業施設にも使われる大量生産品です。

ただ、水色のタイルをカウンター天板に持ってくるというのはかなり珍しいはず。

僕達自身どこかで見たことあるわけではないので、頭の中では絶対良くなるイメージは持ちつつ、完成品を見るまでは正直不安でした。

結果的には来店客の方々からの評判も良く、しっかりと空間の顔になってくれています。

昼はポップに、、夜は大人っぽくなり、時間帯によって変わる表情も楽しい。

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安い大量生産品でも、使いどころや組み合わせで主役にできることを証明出来たと思います。

家具関連

次に家具関連です。
家具、特に現場用にオーダーメイドで作る造作家具は、空間デザインの印象を決定づける重要な要素。
既製品と異なり、現場に合わせて設計するため一点物となり、その分コストも上がります。

造作家具には総額で338万円がかかりました。

具体的に内装を見ながら説明していきます。

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■カウンター

まずカウンターの腰壁部分。
印象的な框(かまち)の腰壁は、オークの無垢材を使用。
木材そのものが良質であり、かつ工数のかかる意匠設計をしているためここで約35万円かかっています。

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この35万円は、カウンターの表面だけの話です。
サイザルという麻の床材をここにも貼っていたり、別計上となる天板のタイルやレンガ、カウンター本体の骨組みの材料、施工費を考えると60万〜70万円程度になると思います。

バーの顔であるカウンター。やはり投資金額も大きい箇所です。

■円形吊戸棚

お店に入るとすぐに目が行く円形の吊戸棚は36万円。

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厨房内のどの位置からも手が届き、ポジションに合わせて物を配置できる空間構造を考え円形に。

また、空間を遮断せず、「一番奥のキッチンエリアにいる人まで見渡せるための仕組み」を考えた結果この構造になりました。上手くスペースを活用できているため、物が増えることによる圧迫感も防ぐことが出来ます。

ただ、やはり円形にしていることでコストは上がります。

価格を抑えるのであればただの吊戸棚でも良いところですが、空間に合わせた機能性、意匠性を考え、ここにも投資する判断をしました。
コストはかかりますが、「この吊戸棚が良い!」と言ってくれる方も多く、頑張ってよかったと思っています。

■三角ソファ

元々お風呂が合ったエリアは、中2F下のおこもりスペースに。
ここだけあえて天井を下げ、くぐもりながら入ることで他エリアと遮断してゆったり過ごせる空間にしています。

お風呂時代からのビフォーアフター。

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三角形の角(かど)という構造を上手く利用し、最大5人が座れるグループ席に。

この三角Rソファに55万円がかかっています。
こちらもオーク無垢材を使用しています。

■ボックス席

カフェ・バーと2業態を展開するnephewでは、空間を訪れる来店客のニーズも様々。
異なるニーズに対応するため、数種類の席を作りたいと思っていました。

そこで当初から計画したのがこの二人用のボックス席です。
日本の喫茶店から着想し、窓のサッシをRにしてアイコニックなビジュアルを目指しました。

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元々玄関と窓だったところに2つボックス席を配置。
外に突き出し新規で外壁を作ったため、パーソナルスペースを確保しゆっくり話せる席になりました。秘密の話に最適です。

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予期せずInstagramでこの席が拡散され、女性客が多いカフェ営業の時間帯は特に人気の席になっています。

2つのボックス席とテーブルで約47万円。
結果的に集客のフックとして機能している点を考えると、投資効果はしっかり感じられています。

■2Fソファ

2Fの使い方も頭を悩ませた点の一つ。
階層ごとにイメージがガラッと変わる作りを目指し、2Fはソファエリアにしました。

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夜は照明を一気に落とし、ゆったり腰掛けてお酒を楽しむエリアに。
2Fはチャージ500円を設定しており、ラフに飲める1Fと区別しています。

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ソファーの色はキーカラーのブルーに。
床材のサイザルのブラウンと、天井に残る木材の色との組み合わせが既に好バランスだったため、壁はシンプルなグレーホワイトに。

壁の色は、左官で仕上げて引き渡してもらい、当初は更にこの上から塗装する予定でした。実際に全体のバランスを見た際に、このままの方が良さそうということで生かしています。

作りながら方向修正し、その場で良い形を模索していけるのは、自社プロジェクトならではですね。

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造作で1から作ってもらったこのソファは、シートと枠組み合わせて67万円。
ソファは既製品でも50万円を超えることはざらにあるので、このサイズ感で特注品67万円がかかるのも仕方ないところです。

金物工事

内装でコストがかかるといえば、金物工事も。
今回は、外観からのイメージを決定づける入り口ドア、窓サッシを主に作ってもらいました。
総額で153万円かかっています。

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ドア、窓に関しても既製品を選べばコストを大きく落とせる部分ですが、既視感ない空間を作るためには特注一択。

耐久性等用途を考えスチールを選択しています。
焼付け塗装でブルーに。

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ブールはサッシ、ソファ、タイル等要所要所で取り入れていますが、あえて色は揃えていません。
色を揃えて空間を決めすぎるよりは、空間のバランスを前提に、なんとなく「ブルーがキーカラーなんだな」と気づく程度に差し色にしています。

アーチにした窓は、外から見ると電車みたいで面白いと好評です。

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※今は諸事情により窓に目隠しシートを貼り付けています。

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以上、内装・外装工事にかかった金額の中から、目につく部分を説明してきました。

塗装は自分達で行うなど、できる限りコストを削る努力はしています。

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しかも、ここまでの金額はあくまで内装部分。
これで終わりじゃないのが飲食店です。

次に設備面についてまとめていきます。

厨房設備

今回は、カフェ・バーという2業態の営業を共存させるために、設備面にも大きな投資をしています。

キッチンエリアはかなり広くとり、お菓子作りやドリンク作りを並行できる作りに。

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LOBBYを作った時は飲食店の動線設計に全く知見がなかったので、バーとしてあるべき構造が作れておらず、かなり働きづらいお店になっています。笑

nephewは立ち上げから経験あるバーテンダーの安部がジョインしてくれていたおかげで、最適なバーの設計を一緒に進めることができました。

将来的なフード提供の可能性や、料理人とのコラボイベントの実施を見据えてキッチン設備も充実させています。

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▲キッチン部分の図面。作業スペースも潤沢にあります。

LOBBYでは色々な飲食店とのコラボイベントを毎月開催しており、nephewでも同様の取り組みを実施する予定です。

調理設備は必要ないという判断でカットすることももちろん出来ますが、イベントを数回行えばすぐに回収できるレベルの投資額なので、設備を充実化させました。

デザイン・設備の投資判断は、常にビジネスプランとの照らし合わせを経て決断しています。

コーヒー関連・ケーキ関連・バー関連機器

個人的に示唆に富んでいるなと思うのがこちらの項目です。

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コーヒー関連に96万円、焼菓子関連に27万円ということで、デイタイムの必要機材に123万円がかかっています。

特に、エスプレッソマシン・グラインダーが高く、揃えると最低100万円はかかります。
nephewは最低限の機材で揃えていますが、コーヒー専門・ケーキ専門のお店になると200万円、300万円を超える設備投資が必要になります。

一方、バー関連は37万円
デイタイムに比べると、1/4の金額感です。

想像できる通り、カフェの平均単価は500円〜1,000円前後。
一方、バーの平均単価は3,000円を超えます。

つまり、カフェは初期投資が圧倒的に高いのに、売上・利益を作るのも難しい。しかも、豆や焼き菓子、牛乳類も賞味期限があります。

とにかく客数を確保し会計数を上げていく必要があるので、かなりの集客力を持っていないと厳しい業態。
集客のためには、内装への投資もとても大事になってきます。

相当な決意と覚悟、戦略を持って長く継続することを前提とする、難易度の高い業態ですね。

バーに関しては、初期投資があまりかからない割に、客単価が高い。
そして、基本的にお酒は賞味期限がないため、ロスリスクも極端に低いです。

この数字はかなりリアルですよね。
僕達もやってみて、「カフェ、お金かかるな〜」としみじみ思いました。

余談ですが、最近「お店をやりたい」という相談も多く、数百万円でカフェを作りたいというお話をよく受けます。

仮に500万円で初めたいとすると、小さい店舗でも物件獲得の初期費用に200万円、設備に最低150万、となるともう残り150万円しかありません。

150万円で、前述のような集客のフックになる内装を作り込めるかというと難しいと言わざるを得ないので、資金をもう一度検討し直したほうが良いという話をしています。

営業を始めてみて / nephewの経営状況

ここまでかかった初期投資についてまとめてきました。
投資額が増えたことは起きてしまったこととして、肝心なのは「実際に回収が出来るのか」という点です。

そこで、最後に現在のnephewの経営状況について少し触れてみます。

やはり初期投資が増えると、初期のビジネスプランも修正する必要があります。当初の回収計画からの変化がこちら。

・投資金額:¥19,000,000 → ¥28,484,689
・回収目標期間:3年
・最低必要利益/月:¥527,778 → ¥791,241

実際の初期投資が2,848万円かかってしまったので、回収のための最低利益も変わります。

生み出さなければならない利益額が一気に月26万円増えてしまいました。
これに伴い、目標数字を以下に修正しています。

合計
・月間売上:¥2,665,000 → ¥4,880,000
・日平均売上:¥130,000 → ¥232,000
カフェ
・月間売上:¥615,000 → ¥2,390,000
・日平均売上:¥30,000 → ¥113,810
バー
・月間売上:¥2,050,000 → ¥2,490,000
・日平均売上:¥100,000 → ¥124,500

大きな上方修正ですが、4月末からのプレオープンから5月末までの営業結果を踏まえて、実現可能と言える目標を設定しています。

予想外だったのが、カフェ営業が現在の売上を牽引していることです。

nephewは、4/21のオープン直後に緊急事態宣言のため営業時間を変更することに。
夜の営業ができなくなり絶望的な状況に陥ったのもつかの間、お昼のカフェ営業の来店が一気に増えたおかげで売上を維持できました。

当初は、「カフェ業態の実績がないため昼の時間の来店数が増えるには時間がかかる」と思っていたのですが、オープンから一週間程で時間によって並びが出るほどに。

来店の大多数はInstagram経由。
焼菓子や空間を目当てに急激に拡散され、ちょうど2ヶ月経った今フォロワーが5,000人に到達しました。
おそらく多くを占めるのがカフェの顧客層です。
(LOBBYは5,000人を超えるのに2年近くかかったのに...。カフェ、すごいです。)

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カフェ巡りや焼菓子巡りのマーケットがあり、特に代々木上原〜代々木公園エリアは人気があることは知っていたものの、この広がりは予想外でした。

第2章でも書いたとおり、元々カフェ営業は認知を獲得する目的で始めているため、ある意味戦略通りではあります。

ただ、この状況に準備が出来ていなかったため現場は一時大混乱に。
サービススタッフが足らなかったり、焼菓子の生産が追いつかなかったり、近隣からのクレームを頂いたりと対応に追われる日々。

現場スタッフの頑張りのおかげで、最近ようやく落ち着きポジティブに営業ができるようになりました。
(カフェを取り巻く問題に関してはかなり勉強になったので、また別のnoteで書いてみたいと思います。)

いずれにせよ、難しいと思っていたカフェ営業が好調なのは喜ぶべきこと。スタートが成功した理由には沢山の要因が重なり合っています。

中でも、お店でのサービスが浸透していない初期の段階では内装が主な集客源になることは間違いないので、空間への投資は大きく貢献したと考えています。

今回の実体験から、良い商品を輝かせるためにも、良い空間を目指した投資が重要だと再認識しました。

現在は、焼菓子目当ての来店がメインとなり、スタッフのサービスが気に入って毎日来てくれる常連の方が増えたりと、来店動機が順調に拡大しています。

1度だけ行く「映えカフェ」ではなく、長く愛される地域に根づいたお店を目指しているので、今後が大事ですね。

第六章は、実際の営業結果について

以上、開業資金と空間についてまとめました。

やはり計画というのは一筋縄ではいかないもの。
計画からは大きく跳ね上がった開業資金となってしまいましたが、そのおかげでお店として良いスタートが切れたので一安心。

開業時、お金に纏わる問題は常に向き合う、避けられない難問です。

「お金を掛けないということは、それ相応の空間しか作れない」ということにもなるので、コストを抑えることが必ずしも良いことではないのも事実。

ターゲットや目指す客単価を鑑み、中長期のビジネスプランを考えた上で投資すべきかどうかをすることが大事だと思っています。

nephewは今日も営業中。
次回は実際の営業状況について書いていきます。

緊急事態宣言中にオープンしたことによる工夫や、直面している課題について触れていくので、ぜひまた読んでくださると嬉しいです。

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