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今回の人生のブループリントを知るということ

今回の人生のブループリントを知るということ

未来ではいつかは知ることができると思っていた人生の「ブループリント」。もうこの時代で知ることができるようになった。そう遺伝子検査だ。遺伝子検査自体は2000年代から一般の人でも受けられるようになってきたが、でも、検査をしただけで、それをどう活かすか、というところまでは活用できてはいなかった。しかし、現在は、かなり多くの人生に関わる遺伝子の解析が進んでおり、まさに「ブループリント」と呼ばれるくらいその人の特性を知る手がかりとなり、人生の地図のようなものになってきている。

BIO HACKING 未来を生きるための遺伝子の理解』(NEXTRAVELER BOOKS)では、まさにいま最先端の遺伝子検査はどこまで活用できるのか、どこまで自分の人生のブループリントを知ることができるのか、というところまで踏みこんでいる。しかも、それを著者である高城剛さんの検査結果をもとにしながら。SNPs検査自体は、元々ずっと前から高城剛さんのメルマガを読んで知っていたけど、どこまで知ることができるのか、どのように活用できるのか、いま自分がそれを知って、どうすることができるのか? というのは、知ってしまう怖さもあり、まだ僕自身は検査を実施してはいなかったが、この本を読むことによって、より興味を増したことは確かである。

結局、なんで人はそれを知りたいか? と思った時に、人は人というものだったり、自分とは何か? というのを知りたいのだと思う。単純によりよい人生を生きたいと思って知りたいと思う人もいれば、人類とは何か、人とは何か、を知りたいという研究者たちもいる。それが、一般の人たちとのニーズと合わさってこういう研究が進んでいるのだ。

たしかに、どのような病気になるリスクがあるのか、を知ることができれば、食べ物や生活習慣を気をつけることができる。科学的に健康にいいと証明しているものだから、医者が勧めているものだから、と言った理由や自分の感覚で摂取していたものを、より深いレベルでその適性を知ることができる。

今までは、多くの人にとってよいものが選ばれてきて、それが広まってきたが、結局のところ、人はそれぞれ違う。違って当たり前だが、それを知る術はなかったし、それに対応する技術もなかった。今、ダイバーシティという言葉が流行っているが、それもテクノロジーの発展があったからこそ、そういう言葉が流行り出しているのではないかと思う。

ただ、もう多様性というよりは、一人一人全く違うということを理解しなければならない。多様性にはそれなりの余白が含まれるが、でも、もう一人一人が違う体質、性格であるということを認めて、それに対して対応していくことが求められる時代になってきているのではないかと思うし、もうそういう時代に足を踏み入れているのだと思う。

そして、この遺伝子というものが、一人一人のことを知る大きな手がかりになることは間違いない。それを知って生かすか、それとも、そんなものは知る必要はないと、活用せずに生きるか、社会的には何十年後かには、もうみんながその検査をすることが当たり前の時代がやってくるだろうが、それまでは、今を生きる僕たちはまだそれを選択する余地がある。

本書でもブループリントという言葉が使われているが、何月何日にあなたはガンになります、というようなことがわかるわけではなく、その人にとっての健康リスクや、そして、その人の能力を阻害するものを知ることができることが今、この検査を受ける大きなメリットなのではないだろうか。

多くの人たちが自分の能力を最大限に発揮できなくて困っている。そもそも、自分の能力というものをうまく知ることすらできていない。天命や使命について書かれた自己啓発本はいつまでもなくならず売れ続けているが、そういった自分の人生にとっての本質を見極めるためにも、自分のよい特性だけではなく、むしろ、自分の能力を発揮する邪魔をしているものを知ることが現代的な天命、使命の見つけ方なのではないかと本を読んでいて感じた。

高城さんはたしかにすごい遺伝子の持ち主だけれども、その遺伝子の能力を最大限に発揮するためにものすごい努力をしているし、ものすごく投資して、試行錯誤を繰り返しているのだ。だからこそ、高いパフォーマンスを発揮し続けることができていて、逆に、うまく能力を発揮できないものは、最悪の場合死につながってしまうのだ。それはもちろん遺伝子のせいだけというわけではないし、その人が自分の体質に合わないことをしてきた結果、それこそ、ガンなんかも生活習慣の結果なのかもしれないけれども、でも、自分を活かすということは、自分を生かすということで、みんなメンタルや気質だけではなく、自分ことを知り、よりよく生きたいと思っているのではないだろうか。

この本はまさにそれを知るためのきっかけであり、入口だと思う。この本を読んだから自分の特性がわかるわけではない。今、どこまで知ることができるのか、これからどこまで知ることができるのか、というようなことを理解することに役に立つ本だ。

自分の人生を地図を知ってしまうことは怖い。もし、病気のリスクが高かったら、不治の病になることを知ってしまったら・・・、そう思うと、そんなことを知らずに生きた方が幸せなのではないか、と思うかも知れないが、でも、人はそれを知ろうとするだろうし、社会が人の人生を知ろうとする時代が間違いなくやってくるだろう。

遺伝子すらオープンにして生きていかなければならない時代。まさにSF小説のような時代がもう目の前まできているのだ。この技術を生かすも殺すも、人次第であり、それを解読するのも当分の間はまだ人である。

人生の中でも、よきガイド、よき指導者に恵まれた人は、よき人生を生きやすくなる。この遺伝子というものもよき人生のガイドになることを願いながら、その発展を見守っていきたいと思うし、自分自身は活用していきたいと思う。

それは、結局は、自分の人生の答え(ブループリント)を知りたいというよりも、今、自分の成長や能力を発揮するために邪魔になっているもの、阻害要因を排除したいという気持ちが強いからだ。もっともっと全力で自分の力を発揮したい。もっと世の中のために自分の才能を活用したい。そのためにも結局は自分を知ることが大切であって、遺伝子はそれを助けてくれるものだと僕は思っている。

結局、そのブループリントを知ったところで、「自分はどうするのか?」を問われるだけであり、やっぱり未来はいつも自分の手でつくっていくものであると僕は思っているから。

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