少年は胎児の夢を見るか
少年の夢は現実のものとなった。
プラモデルの人体模型である。
ありがたいことに、僕のそんな夢を知っていた知人が、誕生日のプレゼントとして、写真の商品を贈ってくれたのだ。
それは、しかし、プラモデル屋の店内の高みで、燦然とオーラを放っていたあれとは、少しばかり違う顔をしていた。
外国製であり、しかも女性だった。
男性版は残念ながら、売り切れだったという。
文句を言っているのではない。
実を言うと、そんな違いは、大した問題ではないのだ。
贈ってくれたその人の、身に余る好意と、夢のままであってほしかったかもしれない夢が、夢ではなくなったこと。
その狭間で僕の気持ちは、狂った振り子のように、複雑に揺れ動く。
パーツはかなり細かいし、色も付けなければならない。
情けないほど不器用で、細かい作業の苦手な僕である。
無事完成できるのか心許ない。
まあ、しばらくは、箱に入れたまま、飾っておくことになるだろうけど。
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