記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

『圕の大魔術師』考察Vol.4 -8つ目のマナとニガヨモギの使者

『圕(としょかん)の大魔術師』考察記事第四弾です。今回は作中世界で未だ解明されていない8つ目のマナと、さらに「ニガヨモギの使者」の関係まで。今までの考察記事(第一弾第二弾第三弾)は基本的に事実ベースで考察してきたのですが、今回は飛躍と妄想全開で行きます。

↓↓ネタバレ無しのあらすじはコチラから↓↓

※今回ほんの少しだけ本誌のネタバレを含むので単行本派の方はご注意ください。

七古抜典「ネザファパレハの円盤」

圕の大魔術師の世界では、歴史上大きな役割を果たした存在として七つの書が定められており、「七古抜典」と呼ばれています。

その中の一つがホピ族の残した「ネザファパレハの円盤」で、シオたちの世界に存在する魔術はこの円盤の研究から生まれたと言われています。

魔術は万物に宿る8つのマナとその性質を利用して行われますが、実在が確認されているのは光・土・水・雷・樹・炎・宙の7つ。いまだ不明の8つ目のマナが何か、というのが今回の考察ですが、結論から言うと「月のマナ」ではないかと推測しています。

8つのマナとシンボルマーク

下のコマに8つのマナとそのシンボルマークが載っていますが、抽象化された各シンボルの模様は各マナの性質と照らし合わせれば何となくイメージが付くようになっています。

対して8つ目のマークは絵柄も単純で現時点で直接的なヒントもないので想像が難しいのですが…要素としては「二本の横線」そして「横線から垂れるように伸びる縦線」というところでしょうか。

8つ目のマナはどこに潜む?

ここでヒントになりそうなのが、この最後のマナがいまだ実在すら確認されていないということ。

世界には8つのマナが満ちていてそれが万物に宿っているらしい。そして現代魔術の研究が何年前からスタートしたかは不明ですが少なくとも数百年は経っているはず。その中で8つ目のマナが観測すらされていない状況は異常です。

であれば一つの仮説として、見つからないのはそもそも地上に存在しないからでは?さらに、

・この世界には2つの月がある
・両隣のマナは光(=太陽も含む?)と宙

ということを考えれば、この8つ目のマナが月であり、2つの横線は2つの月を表している可能性があると考えています。

そして月には、その引力や太陽・光と対になる陰・闇の力と言ったイメージがあります。それがこの月のマナの持つ性質で、マークの横線から垂れだしている縦線の意味するところかなーと。

ただこれだけだとあまりに想像力に頼り過ぎというか、説得力がありません。なのでもう少し検証していきます。

2つの月の特別性

上述の通り、この世界では夜空に2つの月、「衛星対星」が浮かんでいます。この対星は作品内でもたびたび描写されており、不思議な存在感があります。その最たる例が、考察記事第三弾でも言及した暦に関する部分。

シオたちの世界では、758年前に精度の高い暦として衛星対星を元にした暦が発明されました。これは月を元にした太陰暦から太陽暦へと移行した現実世界とは逆です。そしてアレマナカに書かれた2つの月の満ち欠けの様子。コマの真ん中あたりの描写は、ネザファパレハのマークである2本の直線と似ているように見え…なくもない。

さてここでさらに妄想が進みます。説明欄にある通り、この暦は5年後に途切れます。そしてこの暦は月を元にしている。もし8つ目のマナが月に関するものであれば、この5年後に発生するであろう出来事と月のマナも関係するのでは??

ニガヨモギの使者とは

ここで突然話が飛ぶのですが、作中世界の歴史で最大の出来事とも言えるのが、「ニガヨモギの使者」と呼ばれる厄災です。

これによってアトラトナン大陸は「灰白色の死」という霧に覆われ、人々は土地を奪われ内陸に追いやられた結果「民族大戦」が引き起こされます。(ちなみに『進撃の巨人』のように、霧の外には別の人類がおり世界が広がっている、という説もありますね。)

で、このニガヨモギの使者ですが例によって現時点で詳しいことは何もわかっていません。ここを考えていきます。

まずその名前。考えてみれば不思議な名前です。ニガヨモギは現実世界にもある植物の名前。Wikipedia先生によると

高さは40 - 100cmほどで、全体を細かな白毛が覆っていて、独特の臭いがある。葉は15cmほどの羽状複葉で互生する。葉の表面は緑白色、裏面は白色。花期は7 - 9月で、多数の黄色い小さな花を円錐状につける。

ということなので、葉の色と灰白色の死のイメージは一致していますが、全人類に甚大な影響を与えたにしてはかわいらしい名前です。

しかし注目なのはその(現実世界の)学名であるArtemisia absinthium。Artemisia(アルテミシア)とくれば、その由来は当然ギリシア神話の女神アルテミス。そしてこの女神、もともとは狩猟・貞潔の神なんですが、後にセレーネやヘカテーと同一視され3つの顔を持つ女神とされています。そして、セレーネは月の女神、ヘカテーは闇や死を司る女神です。

つまりニガヨモギの使者とは、月や陰の力、それに伴う死を地上にもたらしたもの、という意味ではないかと。

灰白色の死の正体

また話が飛びます。これはgood!アフタヌーン本誌で説明されている内容なので単行本派の方には申し訳ないのですが、マナは触れる量が多すぎる(密度が高すぎる)と人体には有毒であることが分かっています。また、これに対する耐性は自らが持つマナ量によって異なるとも。

だとすれば、灰白色の死と呼ばれる霧とは、高密度なマナなのではないでしょうか。あまりにも濃度が高く人間はそこで生きていけない。そしてこれまでの考察と併せると、ニガヨモギの使者によってもたらされた霧こそ、8つ目のマナである月のマナであると。

こう考えると、その中で「灰白色の住人」と呼ばれる生き物が生存できている理由もわかります。彼らはシトラルポル、あるいはそれを超えるような存在で、マナの保有量が桁違いに多い。だから霧の中でもその影響を受けずに生きていられる。

灰白色の死はどうやってもたらされたか

ただここで気になるのが、ニガヨモギの使者および灰白色の死が自然災害的にどうしようもなく発生したものであるならば、セラーノ族のヨウィーが発した「これは人の問題だから」とは矛盾します。

よって、ニガヨモギの使者は人によってもたらされた人災と考えるのが自然です。どこかの民族・人物がなんらかの意図をもって、もしくは偶発的な事故や暴発によって、高純度の月のマナが大陸にもたらされた。それを封印、または霧を押しとどめるために大魔術師たちが力を合わせ、その過程でホピ族の「理の大魔術師」が犠牲となった。

もしかしたらそれをもたらしてしまったのがホピ族で、それ故に理の大魔術師が犠牲になる必要があったのかもしれません。そして、一連の真実が描かれた本こそが、セドナがシオに預けた名もなき本である、と。

※ここら辺のアイデアはおがさんの考察記事も参考にしています。☞ コチラ

暦の終わりと2つの月

昔から多くの創作物で月の満ち欠けや月食(エクリプス)と魔法の関係が描かれています。ある意味王道ファンタジーである『圕の大魔術師』においても、月がマナや魔術に関係している可能性は低くありません。

さらにこの世界の深みを考えれば、この衛星対星の周期や満ち欠けが暦の終わりと関係しており、それが月のマナがもたらす影響(満ち引き)とも関係し、さらにはそれがシオたちが今後直面する世界の危機にもつながっている。全ての点はリンクしている、と考えてもそこまで突飛なものとは思えません。

そうなると、名もなき書についてシオが独白するシーン、背後に2つの月が描かれているのもなんだか意味深に思えてきますね。

マガジンもよろしくお願いします

ということで今回の考察は妄想、飛躍全開で書かせて頂きました。なのでカスリもしない可能性も十二分に、、、でも考察してる時間が楽しいのでそれでよし。

また本作を布教しようと個人的に始めた「『図書館の大魔術師』をもっと楽しむマガジン」、通称「タコマガ」(なぜだ・・・)ですが、アルのライター仲間であるあごたふさん(@perori_inu)、おがさん(@basil_ko84)、もり氏さん(@morishi0522)の参加によりだいぶ充実してきてます。超ありがたい!それぞれ切り口が全然違うのがめちゃくちゃ面白い!!のでぜひこちらでそれぞれの記事もチェックしてくださいね。

関連記事

『圕の大魔術師』考察Vol.1 - 名前には意味がある

『圕の大魔術師』考察Vol.2 -二代目大魔術師候補は誰か

『圕の大魔術師』考察Vol.3 -何かが起きる5年後

主人公が主人公になるまで - 『圕の大魔術師』一巻が描く壮大なプロローグ

『圕の大魔術師』考察Vol.5 -ウイラの正体

この記事が参加している募集

マンガ感想文

ああありがとうございます!!いただいたサポートは記事を書くための活動費用に使わせていただきます!(もしくはビールに消える可能性も…)