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『圕の大魔術師』考察Vol.5 -ウイラの正体

『圕(としょかん)の大魔術師』考察記事第五弾です。今回はシオのかわいい相棒「ウイラ」の正体と、それに関連して「砂漠の魔術師」について考察します。

第一弾から第四弾までの考察記事はコチラのマガジンからご確認ください。

いつも通り既読前提、ネタバレ配慮無しでいきますのでよろしくお願いします。ネタバレ無しのあらすじはコチラから↓↓

希少でカワイイ小動物

ウイラとはシオが司書試験に向かう道中で立ち寄った街、「エスプレオ」で助けることになった小動物です。長い耳をもち二つの尾を持った”双尾(フレア)”という希少種なんですが、その上さらにシトラルポル(※)という超レアな存在。 (※)現実世界で言うアルビノ。生まれつき強い魔力を持つと言われる。

エスプレオ以降はシオの旅や試験につきそう相棒的存在になりますが、コイツ明らかに秘密を持ってます。まずなにより、しゃべります。そしてそれをシオにも周りにも秘密にして普通の動物のように振舞ってます。アヤシイ。カワイイけどどう考えてもアヤシイ。カワイイけど。

これに関しては、3巻でほんの少しだけその謎が明らかになります。そこで登場するのが「砂漠の魔術師」という存在。

砂漠の魔術師とは

ウイラがシオがいないときにつぶやくシーンで、ウイラの中身(精神)はもともと別の存在であり、「砂漠の魔術師」と呼ばれる人物によってシトラルポルのフレアに閉じ込められたことが明らかになります。その魔術師がこの人。

ここで少し脱線して、この砂漠の魔術師について。

まず彼女は(顔は隠してませんが)仮面をつけており、背景の縦書きの書物などからもカドー族であると推測できます。

で、いきなり結論ですが、間違いなく彼女はかつての7人の大魔術師の一人(もしくはその子孫)でしょう。言動ややってること(誰かの精神を動物に封印する)から明らかに強キャラ感が漂っていますし、下の真ん中のコマ、左端にいる魔術師の仮面と彼女の仮面も良くにています。

7人の大魔術師はアトラトナン大陸の7民族から一人ずつ選ばれているので、カドー族の代表が彼女だったと考えられます。ちなみに4巻までで判明しているのは以下3人+今回の砂漠の魔術師(予想)の4人。

ヒューロン族:「図書館の大魔術師」コマコ・カウリケ

ラコタ族:「暦の大魔術師」キン様

ホピ族:「理の大魔術師」過去の厄災で唯一命を落とす

カドー族:「砂漠の大魔術師」(予想)

ウイラの正体とは…?

さて本題に戻ってウイラの正体ですが、作中からヒントを集めていきましょう。

まずウイラという名前。これはシオが名前を付けようとしたとき、シオにばれないようウイラ自身が名乗った名です。そしてウイラとは作中世界で「」の意味。つまり、ウイラは雷に強いこだわりがあります。

次に、ウイラがフレアに閉じ込められた理由について。詳しいことはまだ語られていませんが、砂漠の魔術師は「今までした悪行の数々を悔い改めよ」と言っています。その程度はわかりませんが、少なくともウイラは純粋な正義の存在、という感じではなさそうです。

さらにウイラが持つ力について。ウイラは現在本来の力を失っている様子で、シオのマナをちょっとずつ吸収しながら回復している様子。

そんな状態にも関わらず、シオが見ていないところで人口精霊をあっさり倒しました。しかも、犯人らしき人物が「結構強い精霊って聞いてたんだけどな~」と呟いたこの中級精霊を、「下等精霊が」とまで言い切ってます。

つまり、ウイラは元々相当な力を持った存在であると想像できます。

ふむ、なるほど。めちゃくちゃ力があるけど生き物に封印されちゃうくらい悪い子で雷にこだわりがあると。

・・・

んん、ちょっと待てよ。。

・・・

・・・

まさか…?

今回も登場「七古抜典」

はい。いきなり何だという感じですが、この考察記事シリーズではおなじみ七古抜典です。

圕の大魔術師の世界では、歴史上大きな役割を果たした存在として七つの書が定められており「七古抜典」と呼ばれています。その中の一つが、遥か昔にカドー族が作りだした伝説の魔術書、「大三幻」です。そして上記の説明によれば。。

を含む三精霊
・国家の支配を支えるほどの
・史上最という字から連想される、大三幻の負の側面。

これらを考えれば、ウイラの正体は大三幻の三精霊の一つである可能性が高いと思われます。

そうだとすれば、ウイラが中級精霊を「下等」呼ばわりしたのも納得です。最凶と呼ばれる精霊から見れば、ほとんどの存在は下等精霊でしょう。

この大三幻はとっくの昔に紛失しており誰も本当の姿を知る者はいないらしいのですが、同じカドー族であり偉大な7人の大魔術師の一人である(と予想される)砂漠の魔術師なら、それを入手しかつ扱うことができても不思議ではありません。

さらにウイラが元々強大な精霊だったとすれば、砂漠の魔術師が媒体としてシトラルポルを選んだ理由も納得できます。最凶と呼ばれるような精霊を封印するのであれば、膨大なマナを許容できる器と持った存在が必要になるからです。

精霊にも個性があるのかも

ウイラはシオを「愛しの王子様」と言ったり、シオとサキヤちゃんの仲を邪魔しようとしたりするので、最初読んだときは特別な事情を持った女性の魔術師が封印されているのだと考えていました。

ただよく考えてみれば、動物へ変化させる魔法ならともかく、人間の精神だけを別の動物に封じ込めるというのはこの世界の魔法の位置づけとしてはちょっと突拍子が無い気がしますし、残った身体をどうするんだという疑問も残ります。

その分、精霊は基本的に魔術書など何らかの媒体を依り代にしているので、ある精霊を何かに封印する、という作業はこの世界の理として有り得そうです。

ちなみに雷のマナとシオが多く持つ水のマナは隣同士なので、共鳴しあい放出と吸収を繰り返す関係になります。だからシオとウイラは相性がいいのかもしれませんね。

強力な味方…?

というわけで、今回はあのかわいいウイラの正体は、かつて最凶を誇った三精霊、大三幻のひとつではないか、という考察でした。

この説が本当だった場合シオは超強力な相棒を得たことになりますが、最凶とまで呼ばれる存在が力が戻った時に果たしてそのまま味方でいてくれるのか、という不安もありますね。

ともかく、ウイラと砂漠の魔術師の動向にも要注目です。

『図書館の大魔術師』をもっと楽しむマガジンもよろしくお願いします

まだ4巻しか出ていないのに考察記事もはや5つ目となってしまいました…どれだけ密度が高いのか。。

ただ毎回言ってる通り、図書館の大魔術師はこんな深読みを一切せずに普通に読むだけでめちゃくちゃ最高なので、まだ未読の方はぜひ深く考えずに読んでみてください。(この記事読んでる時点でそんな人はたぶんいませんが)

さらに本作を深く楽しみたい方は、「『図書館の大魔術師』をもっと楽しむマガジン」もぜひ。

本作を布教しようと勝手に個人的に始めた通称「タコマガ」(なぜだ・・・)ですが、アルのライター仲間であるあごたふさん(@perori_inu)、おがさん(@basil_ko84)、もり氏さん(@morishi0522)、さらにはアルのライターによく勘違いされてるみやおさんの(@miyaofit)参加によりだいぶ充実してきてます。超ありがたい!考察記事だけじゃなくそれぞれ切り口が全然違ってめちゃくちゃ面白いので、ぜひこちらもチェックしてみてください。

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