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【投資で1番大切な20の教え】リスクを知り、堅実さと慎重さを学ぶ

オススメ度(最大☆5つ)

☆☆☆

投資家の中ではカリスマ的存在であるウォーレン・バフェットが名著であると公言したこの一冊。

株式投資を成功に導くための教養書であるが、銘柄選びの具体的なノウハウや企業分析のテクニックが書かれているわけではなく、投資家としての考え方やメンタルコントロールが大まかな内容となっているため、少し中〜上級者向けの本となっているように思える。

〜深く読み込み、かつ多く経験する事が重要〜

本書は、いわゆる「投資のマニュアル本」ではない。「投資の哲学書」と言えるだろう。
まだまだ株式投資の経験が少ない僕にとっては、非常に複雑で抽象的な内容である。

そんな投資の哲学を本書では20章に分けて述べている。

しかし、その内容はやはり多くを経験して、多くの失敗や成功を経験していないと、おそらくピンとこない内容なのだろう、と思う。

僕がこのまま株式投資を数年続けた後にもう一度読む事で、何か開眼するものがあるかもしれない。

〜リスクを理解し、認識し、コントロールする〜

本書の内容は、実はほとんど理解し切れていないところがあるのだが、一部だけ、とても感銘を受けた「リスク」について書こうと思う。

本書では、僕の好きな1冊でもあるナーシム・ニコラス・タレブの「まぐれ」の内容がしばしば引用されている。
リスク、というものがどういうものか理解するためのバイブルとして著者が取り上げている1冊だ。そして、多くの人がリスクというものを理解していない、と著者は述べる。

まず、確率とリスクは全く違う世界のものである、ということ。

悪い結果が起こる確率が低い = リスクが低い
というのは全くの間違いである。

確率がゼロではない限り、リスクは起こり得るのだ。そして、そのわずかな確率の悪い結果が起こった場合、すべての資産を失ってしまうほどのものだった場合、果たしてこれは「リスクが低い」と言えるのか?
最悪の場合、というのはなかなか起こらない事であっても、実際に起こる。

高いリターンを得るために高いリスクをとる、という言葉はさまざまな場面で提言・明言されているが、では、本当に高いリターンを得るための高いリスクとは何なのか?
それは、単純に確率の低いリスク、というだけでは足りないし、ましてや、発生する確率の高いリスクを高いリスクと表現してしまう自体が愚かな事だ、ということを、多くの人がわかっていないのだ。

そして、リスクとは非常に見えにくく、誰もが高リスクだと考えているものが、不人気のせいで危険ではない水準まで価格が低下していることもあるし、逆にリスクが低いと誰もが考えている資産が危険な水準まで価格上昇していることもある。

さらに、厄介なことに、リスクは結果が起きた直後では、それがリスクだと気づくことすら出来ない。

「まぐれ」でも書かれていた事だが、リスクに対して人は鈍感だ。
しかし、リスクは気づきにくく、予測不可能なものである、という意識を持つだけで、コントロールする事は可能なのだ。

投資はギャンブルとは違う。
優れた投資家は巧みなリスク・コントロールにより、損を少なくする事で、そのキャリアを積み重ねていくのだ。

〜一攫千金を狙うな〜

この他にも、著者は「無知を知る」「ディフェンシブに投資する」「落とし穴を避ける」など、投資に対する姿勢としては、非常に謙虚で慎重で保守的だ。
しかし、著者の設立した投資運用会社オークツリーは、一般にはあまり知られていないが「リーマンショックで最も稼いだ運用会社」なのである。

株式投資を始めると、どうしても短期間で多額の資産を増やす、といったことを夢見てしまうが、博打のように大穴を狙うのは、資産運用ではなくギャンブルだ。
資産を増やす、というのは、やはり堅実さと慎重さを持ち合わせて、経験値を増やしていくことが重要なのだろう。
名だたる投資家の言葉や本を読むと、焦らずじっくりと機会を待つ事の重要さを学ぶ事が出来る。

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