【HARD THINGS ハード・シングス】自分の人生にこの本をどう落とし込むか。
オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆☆
この本は、いわゆる経営書である。
企業を経営していくためのノウハウが書かれている本ではあるのだが、その内容は成功のためのノウハウではない。
副題が「答えのない難問と困難にきみはどう立ち向かうのか」となっている通り、様々な困難に立ち向かうための著者の実際の行動や考え方が主な内容となっている。
経営書でありながら、経営書と一言で言い表せないクセの強さと衝撃の強さがなんとも言い表せない1冊である。
〜小説のような壮絶な著者の物語〜
この本は主に著者のCEOとしての経験を軸に書かれているのだが、決してそのCEOとしての著者の人生は順風満帆ではなかった。
この本の序盤では、著者の壮絶なCEO時代の話がノンストップで語られる。
起業後3ヶ月で資金不足となり、売り上げの大半を占めていた取引先企業が倒産し、信頼していたパートナーから裏切られ、親友を解雇しなければならない事態になってしまう、など、まさにハードシングスの連続である。
著者自身も書いているが、著者は決して全てをうまく進める事が出来る天才的な経営者では無かったのだ。CEOを引退してから、ブログの記事などで評価されているが、現役の時には非常に評価の低いCEOであったらしい。
それゆえに、この本は天才たるゆえのシンデレラストーリーではなく、たびたび訪れる困難を乗り越える泥臭い内容となっており、経営者ではない人々にとっても自分の人生にいくつか落とし込む事が出来る指南書となっている。
いや、生きる上で参考にならなかったとしても、物語としても十分面白い内容である。
〜この本をどのように自分の人生に落とし込むか〜
さて、「経営者ではない人々にとっても自分の人生にいくつか落とし込む事が出来る指南書」と先に書いたが、この話をどのように自分の人生に落とし込むか、という事は実は少し難しい。
この本で書かれている事は、主に著者がCEOとして会社経営をしてきた経験を基に書かれているので、この本に書かれている具体的な内容をそのまま実践しよう!という人はそうそういないだろう。
多くの人は、友人の会社から社員を引き抜くなんて事はないだろうし、友人を解雇しなければならないなんて事もないだろう。
ましてや、自分の会社を売却するかどうかの決断に迫られる事態に直面する人もそうそういないだろう。
普通に生活する人にとっては、遠い世界の話のように思える。
しかし、先にも書いたように、著者は天才ではなかった。(もちろん、僕なんかより遥かに優秀な人であるが)平凡な能力を持った経営者である著者の困難に対する考え方は、会社経営をやっている人でなくても、非常に役に立つはずだ。
具体的なエピソードはたしかに自分とは違う世界の話であるが、それぞれのエピソードを自分の現状に照らし合わせて、どれだけ変換して考えられるか、それがこの本を面白いと思うかどうかの分かれ目だろう。
〜苦闘を愛せ〜
著者は最後に
苦闘を愛せ
という言葉を与えてくれる。
胃が痛くなるような困難な状況に何度も追い詰められた著者から出た言葉だからこそ、身に染みる。
苦労は買ってでもしろ、とはよく言うが、苦労は勝手にくるものだ。
その困難な状況・問題に対して、常に備えておく。そして、幸福は様々な困難を乗り越えた先にあるのかもしれない。
そんな勇気を持つ事も出来る1冊である。
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