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【FACT FULNESS(ファクトフルネス)】僕の人生の指針となる1冊

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆☆☆

ここ数年で読んだ中で1番良かった本。おそらく、これから何度か読み直すと思う。僕の中で今後、あらゆる場面で指針となる本になりそうだ。

読み始める前は、この本は「データを基に世界の真の姿を示す本」だと、思ってた。でも、実際に読んでみると、これは世界という壮大なものを題材にした"思考法"に関する本なのだ。


〜「ファクトフルネス」とは何か?〜

ファクトフルネス、というこの本のタイトルにもなっている言葉。

「FACT = 事実」
「fullness = 満ちること,いっぱい,十分,たっぷり」

直訳すれば、「事実に満ちること」や「十分な事実」というような意味になるだろうか。
ネット上では、FACT FULLNESSとは「データを基に世界を正しく見る習慣」を意味する、という記述が多いが、実のところ本そのものにはファクトフルネスとはこういうことだ、という明確な記述は見当たらない
かろうじて、本の中では「ファクトフルネスと、事実に基づく世界の見方」という、中タイトルは見つかるものの、これがイコールというわけでもない。
そもそも、この本の著者、ハンス・ロスリング自身の言葉である「ファクトフルネス」の概念を一言で表現出来るのであれば、これだけの分厚い本はいらないだろう。

「ファクトフルネス」とは、非常に抽象的な概念だと僕は思う。

"事実"、というものに対してどう向き合うか。

あらゆる本能を抑えて、"事実"に目を向ける事が出来るか。

"事実"を見る、という事がいかに難しいか、理解出来ているか。

思い込みや本能を抑えて、"事実"に向き合う習慣。それがファクトフルネスだ。と、僕は考える。



〜世界はドラマチックに悲観的だ〜

著者は
「頭の良い人ほど、世界における"事実"に対する認識が正確ではない」
と書いている。

知識人であるほど、

貧困は拡大していっている。
低所得国に住むほとんどの女性が初等教育を受けられない。
地球上の人口は増え続けて、いつか人口爆発を起こす。
世界の乳児の多くが予防接種を受けられずに、病に苦しんでいる。

と、考えている。

しかし、本書で著者はデータを基に"事実"を示す。

世界の人口のうち、極度の貧困にある人の割合は、過去20年で半分になった。
低所得国に暮らす女性の6割は、初等教育を修了している。
世界の人口は2100年になっても大きくは変わらない。
世界の1歳児の中で予防接種を受けられているの約8割だ。

データに基づく"事実"により、世界はこの数十年で、少しずつではあるが、良い方向に向かっている事がわかる。
なのに、人々は思い込みや本能に負けて、世界を悲観的に見ている。

これが、著者の大きな主張のひとつである。

マスコミやメディアは、エンターテイメントであり、ある悲観的な一部にスポットライトを当てて、ドラマチックに報道する。
世界は大きな問題を抱えている。
そんな風に僕らは考えてしまう。

しかし、ひとたび"事実"に目を向ければ世界は確実に良い方向に向かっているのだ。




〜死に瀕した著者が伝えたかったこと〜

この本の著者は、実は3人いる。
ハンス・ロスリングとその子供夫婦である。
ハンス・ロスリングは、末期のすい臓がんを宣告された。残された時間の中で、彼の希望となったのは、この本の執筆だったそうだ。
ハンス・ロスリングが亡くなった後、この本の執筆に取り組んだのは、子供夫婦の2人だった。

そんな死に瀕したハンス・ロスリングが最後に世界に伝えたかった事が、この「ファクトフルネス」である。


ここからは、僕がこの本から感じた個人的な気持ちだ。

先述した通り、"事実"を見ると、確かに世界は良い方向に向かっている。

しかし、ハンス・ロスリングは、世界が良い方向に向かっているから安心して良いよ、というような、そんな楽観的な事を言ってはいない。
むしろ、世界にはまだまだ大きな問題が山ほどある。

悲観的な思い込みや本能は、良い方向に進む事を邪魔してしまう。

という事が、一番の主張ではないか、と思う。


「世界はもう救いようがない。もうダメだ」
こんな思い込みが世界の進歩を止めてしまう。
そうでは無い。
世界は良い方向に進んでいる。その"事実"を知り、信じて前に進み続ける事が重要なのだ。

悲観的になり、歩みを止めてしまう事。
それが、ハンス・ロスリングの最も恐れている事なのではないだろうか。

ハンス・ロスリングは生涯を通して、世界に"事実"を伝えてきた。それは、世界が良い方向に歩んでいく事を止めない為ではないだろうか。


この本では、世界規模の話からファクトフルネスを伝えているけれど、自分自身の行動理由についてもこのファクトフルネスという概念は応用出来る。  

悲観的な思い込みで、僕らは歩みを止めてしまう事がある。
そんな時に、冷静に"事実"に目を向けてみると、良い方向に進んでいる事がわかるかもしれない。

"事実"は"事実"。それは、なんの疑いようも無い結果だ。
悪い方向に進んでいる"事実"かあるなら足を止めれば良い。
良い方向に進んでいる"事実"があるなら信じて進めば良い。

思い込みや本能で間違った方向に進んでしまう事だけは避けなければならない。
"事実"を見て正しい方向に進んでいく事が重要なのだ。

それこそが、ファクトフルネスだと、僕は思う。



世界の現状を知る教養の本だと思って読み始めたけど、今後の僕の人生に大きな影響を与える一冊になったことは間違いない。


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