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山田谷直行「そこに在ったひかり」感想@西会津国際芸術村

静脈を流れる血液が青いのは、二酸化炭素が多く含まれているから。サイアノのブルーは鉄の反応によるもので、それは静脈血と同じなのでは?と妄想する。100年前、写真を始めたのは医者が多かったという。それは薬品を取り扱う知識があったからと言われているが、同時に写真は「いのち」を取り扱うものだったからだ。僕はそう思っている。僕も暗室で丁寧に写真を焼いていると、そこには確かに「いのち」を感じゆ。写真を撮ると、支持体に光がファントムのように定着される。昔の人は、ありありと写し取られるファントムに、おそれをいだき「魂を抜かれる」とささやいていた。
西会津の土地で取られた楮(こうぞ)は、さまざまな工程を経て、和紙となる。そのざらざらとした表面には、生の痕跡が残っている。生の痕跡には西会津の山の風や、土や、雪の冷たさが記憶されている。
だからね、生のエネルギーに満ちた紙にサイアノ(血液)を流し込み、ファントムを定着させる。今回の展示は、そんな錬金術だったな、と思った。東京で同じ写真を見ても、それに気づかなかった。西会津でこの作品を見れたことがとてもうれしい。「そこに在ったひかり」は、今回は僕は楮が浴び、体を大きくしていったエネルギーという点で感じることができた。写真の枠が、まさに楮だったから感じたんだろうな。展示会場に差し込む光を浴びた、写真が作り出す空間が美しくてたくさん写真を撮った。

会場では直行さんの写真館もやっていて
シノゴのカメラでフィルム撮影
和紙にサイアノタイプで写真をプリントしてもらえるんだ!
直行さんが作り出した空間にピタッとハマるのは、やはり直行さん。


窓の外の鳥のさえずり、カエルの鳴き声、風のざわめき。それらとベースの低音は、美しき会話となった。

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