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今の国立大学の惨状は怨霊のせい?

 Business Insiderに寄稿されていた明治学院大学の石原俊教授の記事(https://www.businessinsider.jp/post-233437)を先ほど読ませていただきました。

 この20年ほどの国立大学の変化を分かりやすく説明されていて、一般の人々に国立大学の抱える問題を喚起する一読の価値のある記事です。

 この記事を読んで、国立大学の歴史を俯瞰的に見ることが多かった経験から、東京教育大学を見殺しにしてしまった事による怨霊に、国立大学という存在が苦しめられているのではないかと感じました。

 東京教育大学はかって東京都に存在した国立大学です。各地に国立の教育大学、教育学部があるのに、東京都だけ東京学芸大学という変わった名前の大学に教育学部があることに疑問を持った人もいるかと思います。これは、東京都に東京教育大学と東京学芸大学という2つの教員養成を専ら行う(厳密ではありませんが)国立大学が存在したからです。

 しかし、その東京教育大学は昭和53年に消滅してしまいました。その遺産を受け継いだ事になっているのは筑波大学と云われていますが、東京教育大学を消滅させてまで筑波大学を開学させた理由の1つになったのが、現在の全ての国立大学の模範ともなった学長に権限が集中した独特な組織です。

 当時の文部省が主導した?とも云われている東京教育大学の消滅と筑波大学の開学に対して、当時は多くの異論を唱えてきた大学人たちも、年を追うにつれ鬼籍に入るなどの要因で少なくなり、それを語り継ぐ事もなされないまま、やがて東京教育大学の存在は忘れられることになります。

 そして、東京教育大学の存在が風化した今から20年前くらいから始まったのが、一連の国立大学法人化です。誰も過去の弊害を語ることもなく、あれよあれよと云う間に法人化してしまいました。

 あちこちの国立大学で今頃になって弊害がでているようですが、これこそ過去を顧みず、拙速に法人化したことに対する東京教育大学の怨霊だと感じているのは私だけでしょうか?

 東京教育大学のことについては、また別の機会に書いてみたいと思います。




 

 



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