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資金調達時にウケが良かったストーリーで顧客に営業したら全然売れなかった話

こんにちは。営業って難しいですよね。

今日は資金調達で納得性、共感性が高いストーリー顧客に刺さるストーリーは別だという事を理解していなくて失敗した、しくじり先生的な話を書きます。

僕らは起業から半年程領域選定に時間を費やし、昨年5月にミドル~シニア×人材領域に事業を定め、シードで1.1億円を資金調達しました。

ほぼ売上がない中で億単位の資金調達をさせていただいた事や、
結果的にお見送りになった投資家さんからも、概ね好意的なフィードバックを頂いていた事からも、調達時の仮説、ストーリーに自信を持って本格的に事業開始をしました。

その時の「三方良し」のスライド

ミドル~シニア×人材領域は基本的に

  • 社会(行政)側としては、高齢化社会になる中で社会保障費削減に向けシニアが自分で稼げるよう、シニア雇用が活性化して欲しいという強い要請

  • ユーザー(労働者)側としては、人生100年時代になる中で長く活躍、社会貢献したい、お金を稼ぎたい、けれど活躍機会がないという強いペイン

はある中でどう企業側のニーズを生むか、が一番考えなければいけない問題です。

その中で僕らは

  1. 役職定年や定年制により50代中盤、60代から本人の希望給与額が下がるので、同じスキルでもより低い単価で人材活用ができる

  2. 障害者法定雇用率や女性管理職比率に代表される様に今後年齢も同様にダイバーシティ採用が企業に求められる

的なところをロジックとし、資金調達に成功しました。

そこで意気揚々と同じロジックを顧客(企業)への営業時も使っていたところ、、、

びっくりする位刺さらなかったです。


正確には、トップ営業で顧客社長にプレゼンすると、「これからの社会でシニア活用大事だよね」「ダイバーシティ大事だよね」と共感してくれ担当部門には繋いでくれるのですが、実際の採用権のある現場の部長~執行役員レイヤーにはまあ刺さらない

ver2.5位のスライド。SI/IT領域をメインに据え始めた。

これが何故刺さらなかったか。
今考えると理由は明確です。

訴求が決裁権者のメインKGIに資するものではなかったから、です。

基本的にそこそこ大きな企業における採用関連の決裁権者は現場部門の部長~役員である事が一般的です。(社員と業務委託で変わりますが)

そして、基本的に彼らのメインKGIは「ダイバーシティの推進」でも「人員単価を下げる」ことでもありません。
彼らが採用関連で抱えているニーズは唯一つ、組織を成長させる or PJを円滑に回せるような「優秀な人材が欲しい」これだけです。
(正確にはビジネスによっては人員単価を下げるは刺さる事がありますが、人手不足が顕著な売り手市場の業界だといくらでもいいので優秀な人が欲しいとなります。)

そんな中で僕らは「優秀な人材がいること」ではなく、「ダイバーシティ」「低コスト」のような決裁権者のKGIには遠い訴求をメインにし商談に臨んでいました。これは今考えると刺さらなくて当然ですね。

現在使っているスライド

シンプルに顧客が求めているのは「人材要件にあった優秀な人材」、
そして知りたいのは「どういう人材がどの位いるか」。

こう割り切ってから、何故この事業をやっているかは触り程度にとどめ、
優秀な人材プールを保有している事」の説明、
そして顧客の人材要件を聞いて「その場で人材を提案する事
これだけを愚直にやることで、商談成功率は一気に上がりました。
(もちろん他にも改善した事は沢山あるのですが、その辺は企業秘密です)

という訳で「こんな初歩的な事も分からず事業語んなよ!」と言われてしまいそうな低いレベルの話だったかもしれません。

が、同じような失敗、
要するに調達時のストーリーやマクロから考えると納得感のある美しいストーリーをそのまま顧客に当てても刺さらないよね、という話は多くのスタートアップでも陥りがちな罠だと思うので書いてみました。

"売るのをやめよう。助けることを始めよう。"

ジグ・ジグラー

という訳で売り手の論理の押し付けでなく、
何が対面の人のKGIに資するか、これを考え抜いて今日も営業やっていきましょう!


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