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出版流通について(ISBNコードと書籍JANコードとは)

さて、小社から一冊目の書籍が発刊されましたので、市場に流れるまでを簡単に振り返ってみようと思います。

出版流通については、他に詳しく解説していらっしゃる方がたくさんおりますので、あくまで私の備忘録としてご覧いただければ幸いでございます(ですので、実際に実務に直面した人以外は少しよく分からないかも知れません)。

とは言うものの、出版業界を取り巻く環境は日々変化しておりますので、これから出版社の立ち上げをご検討されていらっしゃる方の手助けとなれば嬉しいです。

また流通システムに関しては、会社ごとに随分異なることや小社の実務で不足している部分がある可能性(現状、問題は生じておりません)を念頭にご一読いただければ幸いでございます。

ISBNコードと書籍JANコードについて

まず、出版物を全国の書店やオンラインショッピング等で流通させるには基本的にISBNコードを取得する必要があります。

托口出版の場合、100点まで発刊可能なISBNコード(6桁)を取得いたしましたので、それに対しては37,000円+税。書籍JANコードは資本金1億未満なので10,000円+税が両コードの取得および利用に生じた費用です。

取得費用や概要については上記に詳しく記載がございますが、ISBNコードを分かりやすく例えるならば本のマイナンバーみたいなものです。ISBNコードさえ分かれば、どこの出版社の本なのか、タイトルは、著者は誰か等々分かります。
(正確には取得したISBNコードに書誌情報をJPROを用いて紐付けすることによって、ISBNを元に書誌情報が分かるという手順です)

書籍JANコードはISBNコードや価格、分類記号をバーコードに落とし込んだものです。書籍JANコードがよく分からない人も多いと思うので、小社発刊の「ペン回しのプロKayが教えるHow to Penspinning」を例に見てみましょう。

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ISBNは一般社団法人日本出版インフラセンター 日本図書コード管理センターから割り振られた中から(上記記載の通り小社は100点コードが割り振られているので、その中のコードから選んだもの)自社で指定します。

C0076というのは、分類記号(Cコード)と呼ばれるもので、どのような販売対象(千の位)、どのような発行形態(百の位)、どのようなジャンルか(十の位と一の位)かが分かるようになっています。こちらも自社で指定します。分解して読み解くと下記の通り。

0(一般)0(単行本)7(芸術・生活)6(諸芸・娯楽)
(ペン回しの本なんで上記分類が最も適切かと判断してCコードを決定しました)

価格に関しては省略します。では、右上段のJANコードを見ていただくとお分かりかと思いますが、ISBNコードがそのまま転機されていますね。

下段も見てみましょう。192に始まり(プリフィックスという共通の番号です)0076の分類記号、02200の書籍本体価格と続いて最後は5(末尾より前の番号より生成されるチェックデジットという番号です)で二段合わせると見事に書誌情報が集約されているのが分かりますよね。

書店員さんがレジでバーコードをピッピと二回読み取っているのは、この書籍JANコードを読み取って情報を取得している訳です。

さて、出版社で勤めていたとして、この辺の知識はあっても正直何をどうするか実際にやってみないと分かりませんよね。
一度分かりやすく、立ち上げから一冊目の流通に際して箇条書きで流れを紹介しておきます。

1:ISBNコードと書籍JANコードを取得する(書籍JANコードは利用料金)。
2:申請した分のISBNコードが振り分けられる(PDFと出力した紙が貰えます)。
3:本が出来る(出来そう)。価格を決めてジャンル等(Cコード)を指定する。
4:社内でどのISBNコードを使うか決める(大手出版社は社内でジャンル毎にISBNコードも振り分けています)。
5:ISBNコードおよびCコード、価格を元に書籍JANコードを作成する(もしくはデザイナー、印刷所等に作成してもらう)
6:ISBNコードと書籍JANコードが記載された本が完成して取次に納品する。
7:取次を通じて流通する。
X(3~6までの間):JPROに書誌情報等を登録する。

JPROとは

さて、何度かJPROという言葉が出来てきましたが、一言で表すと「書誌情報」を集約している機関(インフラ)です。詳しくは下記をご覧ください。

つまり、ISBNコードを取得して、JPROに書誌情報を登録すると、それらが一元化されて書店や取次、図書館、その他Amazon等のオンラインショップ等に情報が飛ぶようになっています。

正直、無茶苦茶凄いシステム過ぎて私が具に解説するのが烏滸がましいぐらいです。

要するに、ISBNコードは付与された時点では、どこの出版社が持ってるコードという情報しか持っていないんですが、そのISBNコードに命(情報)を与えてくれる機関(インフラ)です。

上記の一連の流れ3,4に当たる部分の情報がXでJPROで紐付けされるのです。
(その他、目次や著者情報等もJPROで登録)

ですので、JPROに登録して情報公開すれば、自動的に各販売店のサイト等が更新されるわけです。

版元ドットコムを利用している方は少し入力方法が違う(版元ドットコムと連携しているため)ようですが、基本的にやることは同じです。
小社は版元ドットコムを利用しておりませんので、詳しくは下記をご覧ください。

以上で、「書籍」を流通させるために必要なISBNコードおよび書籍JANコードについて簡単に解説しました。

どうして、この記事を書くに至ったかと言うと、割と基本中の基本ではあるものの、「ISBNコードと書籍JANコードが付与されたけど、これをどうすれば......」といった具合に何をしたら良いのか明確に分からなかったからです。

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