約10年ぶりに読んでみて気づいたこと/村上春樹『風の歌を聴け』(講談社文庫、1982)
昔は本の本扉に読み終わった日付を付ける習慣があった。いつの間にかその習慣は無くなったが、学生時代や、仕事を始めてからもしばらくの間は、読み終わった日付、時には場所を書いたりしていた。
私が持っている講談社文庫版の『風の歌を聴け』の本扉には、書名の上にいくつもの日付が書いてある。最初の日付は「1999年8月10日」、高校一年生の夏休みだ。その後、「2001年8月16日」「2002年5月22日」これは上京して大学一年の新学期が始まった頃、それから「2004年」に二度読んでい