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ツールドフランス2024 第12ステージ(AURILLAC - VILLENEUVE-SUR-LOT) 考察

激しい展開になった第11ステージが終わり、レースは再びフラットステージが続きます。残されたフラットステージはあと3ステージ。その3ステージに名前を刻むのは誰になるのか。

この日もスタートから逃げを決めるべくアタックが繰り返されます。第5ステージのnoteでも書きましたが、やはりスプリンターがいないGroupma-FDJやTOTAL Energieが積極的に動きます。他のチームはできるだけ大人数を行かせたくないので、その人数を選別しながら、人数が増えたら増えたであわよくば自分達も乗っていこう、といったような動きをしています。その辺りはそのチームがどのくらいスプリントにかけてるかによるところではありますが。

そうこうしていると体調不良の選手が遅れだします。ツールも中盤になりレース展開も激しさを増す一方なので、辛い選手はどんどん辛くなります。このステージではDSMのヤコブセン選手とBahrainのビルバオ選手が走れなくなってリタイアになりました。一方でプロトンは最初の1時間を平均時速52km/hでアタック合戦をしていて、ツールドフランスに出場するということ自体を考えさせられます。

そのうちに繰り下がりで山岳ジャージを着るUNO-Xのアブラハムセン選手、Groupma-FDJのマドゥアス選手とパシェ選手、第9ステージでステージ優勝したTOTAL Energieのトゥルジス選手の4人に逃げが決まりました。決まってみると、やっぱりこういう構成になりますね。4名は一時メインプロトンと3分30秒くらいの差をつけました。

するとプロトンで落車が発生。リーダージャージのポガチャル選手も足止めをされました。ほとんどの選手が怪我なく再スタートしていきましたが、Alpecinのリッカート選手とEFのクイン選手が負傷してしまいます。その後Alpecinが(主にディディエ選手が)フィリップセン選手のスプリントのために牽引を始めました。ディディエ選手の鬼引きで最初の山岳ポイントのCote autoireの麓でタイム差2分30秒まで縮みます。するとMovisterも先頭に集まってきました。

今日に設定された4級の山岳ポイントはアブラハムセン選手が全て取りに行き、3ポイント獲得してポガチャル選手と同ポイントで並びましたが、ポガチャル選手の方がカテゴリーの高い山での獲得なので、同ポイント1位で、アブラハムセン選手が2位につけています。

その後、メインプロトンは逃げとの差を1分30秒〜2分くらいでコントロールします。かなり速い展開でチュルジス選手がたまらず遅れて先頭が3名になります。逃げの人数が減ったことで、先頭のペースも上がらず、タイム差も1分まで減りました。先頭を引くのは相変わらずAlpecinとMovister。しかしAlpecinは怪我で負傷したリッカート選手と体調不良のクラフ・アンダーセン選手が大きく遅れてしまっています。ここで牽引すると最後で人数が足りなさそうだと思いました。

メインプロトンはフィニッシュまで41.7kmの地点で逃げをキャッチ。捕まえるのがちょっと早すぎないかと思いましたが、よく考えると今年のツールは残り40km〜30kmくらいからスプリントに向けてペースアップが始まっているので、まあ順当な距離なのかなと。それくらいから始めないといい位置が取れないくらい位置取り争いも激化しているのか。そしてここまでの平均時速47.7km/h。これは少人数の逃げだと逃げ切りは厳しいですね。

そしてフィニッシュまではまた先頭ギチギチで各チームが並走するような状態でフィニッシュに向かいました。この「先頭ギチギチで各チームが並走するような状態」に名前をつけたいですが、どんなのがいいですかね?「一列棒状」にちなんで「複列箱状」とかですかね。もう今年のスプリントステージといえばこれって感じです。

すると残り12km地点でAstanaのルチェンコ選手が中央分離帯に引っかかって落車して道左側から右側に行って落車してしまいました。その落車に右側を走っていたRed Bull-BORAのログリッチ選手が乗り上げました。一方、左側でもLottoの選手が右側の落車を避けた選手を避けきれずに追突して落車。結構大きな落車になりました。今回の中央分離帯は低いもので、ギチギチ走行をしていてスピードも速かったので、おそらくよく見えなかったのではないかと思います。落車が発生した後も「それが」見えてないので、選手も避ける方向が難しかったんじゃないかと。分離帯もあるから車もスムーズに通り抜けれないしで、ちょっとカオスってました。スプリンターチームの何人かもそこに巻き込まれていたようなので、最後のスプリントにも少なからず影響したようです。

落車後にRed Bull-BORAはほとんどの選手を下げて、ログリッチ選手を牽引しましたが、スプリントに向けてスピードが上がりきっているプロトンに比べると分が悪く、タイム差は開いていきました。(落車の状況は4:36から)

そしてフィニッシュに向けてのスプリントはArkeaチームが先行して、デマール選手がいい感じでしたが、後ろから伸びたIntermarcheのギルマイ選手がステージ3勝目をあげました。ラスト500mでチームメイトのチニッセン選手を見つけて、15番手から3番手まで上げてもらったということですが、そんなことが可能なんですね。余裕があるから冷静に周りが見えていて、道が開くところも予想できるのでしょう。本人はグリーンジャージは翼を与えてくれると表現しています。今回初優勝からのステージ3勝は本当に強い!マイヨヴェールもほぼ間違いなく取れそうですね。

で、今回のスプリントはVismaのワウト選手が2位で、Israel Premier Techのアッケルマン選手が3位と、ちょっと違う顔ぶれになってきています。ここまでの疲労やチーム状況がちょっと様相を変えてきているようですね。ちなみに今回いい感じだっったデマール選手はスプリント開始時にワウト選手を壁際に寄せたことで降格に、カヴェンディッシュ選手もスプリント時の斜行でCofidisのコカール選手に危険を与えたので降格になっていて、UCIの斜行警察もだんだん厳しく目を光らせてきています。

そんなこんなで第12ステージはギルマイ選手の3勝目となりました。スプリントステージも残り2ステージです。まだ勝ってないスプリンターもたくさんいるので、どういう作戦で来るのか。また逆張りで逃げに転じてくるチームはあるのか。残りのフラットステージも堪能したいですね。週末は2回山頂フィニッシュのステージがあるので、見る方もここであまり消耗しないように、効率よくレースを見れたらと思います。(切実な思い)

今回も読んでいただきありがとうございました!今後の記事の励みになりますので、記事を気に入ってくれた方は「スキ」や「記事をサポート」していただけると嬉しいです。他にもこのnoteに走りに関することやサイクリングに関することを書いているので、参考にして楽しんでいただけると幸いです。

それでは第13ステージも楽しみましょう!

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