【日記エッセイ】「ヤングケアラー 手紙 ②」
中学3年生の時に返ってこない手紙を出した。
23歳の今日、僕は当時の僕に向かって手紙を返そうと思う。今なら言えること、書けることがある。
君は笑っているお母さんと適当に過ごす時間を取り戻したいだけなんだよね。そんな君に色々話したいとがあるんだ。
君はお母さんの医者になってる。まだ何も習ってないのに、ただ何も考えずに過ごしたいだけなのに、遊んで寝てたまに怒られたいだけなのに、いつのまにか医者としてお母さんを診てる。自分がどうにかしないとこの人は死んじゃうと思っているもんね。何もわからないで医者をするのは本当に大変だと思う。本当はさ、もっと適当でいいんだよ、大丈夫さ、なぜか医者と思われてるからそうなっているだけ、君は医者じゃない、君は適当でいいんだ。そうさ、一貫性はいらないよ、ずっと寄り添わなくても優しくなくてもいいんだよ、医者じゃないんだから。お母さんが叫び暴れまわり、部屋をぐちゃぐちゃにして何枚も茶碗を割り、死にたいと叫び、過呼吸になる姿は君のせいじゃないよ。君のせいじゃないよ。君はいるだけで支えとなってるし、君は何もしてないんだ。
君のお母さんは自分が精神病であることを強く思い過ぎて、目の前の息子を正常だと思い込んでいる。そらぁ、お母さん方が大変なことぐらいわかる。暴れるし叫ぶし、君はそんなことないから僕は別に大丈夫と思っているかもしれない。だけど、君もどんどん溜まっていってる、君の心は最強じゃない、揺れ動いているんだ。揺れを見せたらお母さんに影響すると思って我慢している。あと、言えないもう1つの理由は、お母さんに心配をかけたくないんだよね、お母さんがものすごく心配性なのを知ってるから、君は誰よりも知ってるから、簡単に自分の心が揺れ動いてることを言えないよね。お母さんが君のことを真剣に考えていることを君は知っているもんね、だから、こっそり寝るときにお母さんのことを考えて泣いたりしているだもんね。悲しくて悲しくて仕方なくなるよね。のたうちまわり、お金がないとずっと言ったり、死にたいとずっと言ったり、そんなお母さんが君のことをいつも大切にしてくれているから涙が出るんだよね。大丈夫。我慢しなくても良いんだよと君に言ってくれる人は後に現れる。こういうことも気軽に笑いながら話せる人にも出逢うんだ。その人は君の揺れを見てくれる存在だ。そんな人も現れる。君はいつもそういう人の前で泣いてきた。
君がふーっと、肩の力を抜いて息を吐けるのが大切な気がするんだ。君は優しいから、ずっとお母さんのことを考えると思う。考え過ぎて喧嘩もすると思う、言い合いもすると思う、けれど、その日々は材料だと思う、それをもとに君とお母さんに合った関係を創作していくんだ。それは別に一緒にやらなくてもいい。君がため息をついたり、泣いたりしなくてもいい関係を作るんだ。決してしたくないことはするべきじゃないと思うんだ。まず今の僕がやってみる。これもその1つなんだ。
届いたよ、君が出した手紙は確かに僕に届いたよ。
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