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【日記エッセイ】「ヤングケアラー 手紙 ①」

曖昧な記憶だが僕は中学3年生の卒業式の日に当時の校長先生に手紙を書いて渡した。

僕は中学3年生の時に人権作文で心の病についての作文を書いて学校の代表として全校生徒の前でスピーチをした。母のことを言わずに僕が心の病について普段思ってることを素直に書いた。代表に選ばれるなんて微塵たりとも思ってなかったがその作文は選ばれた。

僕は母を通じて心の病について自然と思考していた。意志とは関係なく思考してしまっていた。思考は侵入である。

人権作文の内容を校長先生は凄く褒めてくれた。内容への理解もあった。僕はこの1人じゃ抱えきれそうにもない家族のことを誰かに話したかった。友達に言える感じでもなかったし、その当時、学校以外の大人は存在しないように思えた。だから僕は校長先生に頼る他なかった。自分の状態を赤裸々に書いた手紙を卒業式の日に校長先生に渡した。

その時の記憶があまりない、もしかすると、結局渡せなかったのかもしれない、手紙の内容も全く覚えてない。

そもそも僕がもっと素直に気軽に人に話せていたら家族の状況は変わっていたのかもしれない。けれど、僕は手紙を渡して去ることで精一杯だった。住所なども書いてない、吐露をしただけの手紙。手紙が返ってこないことは分かっていた。

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