Statement(日本語)
風景を切り取り、
たっぷりの絵の具をのせる。
クリームを塗る行為のように。
育った街は、都会だった。
少しの工場と沢山のオフィスビルとタワーマンションが並んでいた。
家が眠るまでの間…
ビルの中の待合スペースで時間をつぶし、
街の中を歩き回ることが多かったわたしは、
積み木遊びをしているかのような街の風景と、
ビルの四角い灯りを眺めながらひとの存在を感じ、安心していた。
この街で生まれた人はどのくらいいるのだろう。
本当にここは冷たい街なのだろうか。
街に広がるかたちや見知らぬひとの気配とわたしの想いが
もったりとした絵の具になって、重なって、層になる。
クリームのような絵の具がキャンバスの枠を超え、
何度も重ね、酸化して固くなった絵の具は、まるで絵の具だけで自立しているようだ。
はみ出した絵の具が新たな縁となり、キャンバスの決められたキワを無くしていく。
壁にかけられた絵を見ていると、
まるで建築物やコンクリートのパッチワークのように実感を持って、
わたしの目の前に建っていた。
【写真】
昨年の個展