若くして髪が薄い。美容師はドライヤーの魔法使い
若くして髪が薄い。鏡を見る度に、未来を覗いているような気持ちになる。美容院に行く頃には、毎度髪はずいぶん伸びていて、自分の毛量を忘れられる。けれどシャンプー台で水分をたっぷり含んだ僕の頭からは、ほんのり地肌が顔をのぞかせている。「今日はどうされますか?」ひょっとするとどうもならないのではないか。「前のがとってもよかったので」と消え入るような声で言う。わかりましたよとにこやかに美容師さんは答えてくれる。そうだ、ここは表参道。魔法の場所。どんな頭も髪型も、オシャレに仕上がる不思