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あとがき

 最後まで読んでくださり、ありがとうございました。本書のさまざまな知見は、筆者がやまがたの地で〈居場所づくり〉を通じて出会ったさまざまな当事者の声や、彼(女)らとともに行った議論や運動、活動のなかでの気づき等に由来します。いわば、〈生きづらさ〉の現場からボトムアップで構成されたものたちです。
 さらにそれらは、筆者が県内各校で教えるなかで精錬されたものでもあります。担当する講義のなかで、筆者は毎回、受講生全員にリアクション・ペーパーを書いてもらっています。そこで出た質問や感想、意見に対し、次回授業の冒頭でレスを返します。そうやってなんとか双方向性を保とうとしているわけです。
 本書の議論には、上記のようなさまざまな人びと――〈居場所〉で出会った〈生きづらさ〉を抱える若者たち、専門学校等で講義を受けてくれた学生たち、市民講座に参加してくれた地域の住人たち等――とのやりとりからの気づきがふんだんに埋め込まれています。要は、やまがたの方がたとの対話の産物なのです。
 そういう成り立ちゆえ、本書に書いてあることは社会学や社会問題、市民活動についての(アカデミズム公認の)正解というわけではありません。議論や対話はこの本を貫いて継続しており、気になる点や違和感、読んでいて語りたくなったこと等あれば、ぜひ「よりみち文庫」までお声がけください。続きをやりましょう。
 最後に、山形新聞社さんには活動記事ならびにコラムの再録を、コラム主の若木菖邨さんには掲載を許諾いただきました。おかげで社会問題や市民活動というものをやまがたの事例、言語で描くことができました。また、イラストレーターのAさんにはイメージ豊かなイラストでテーマの重苦しさを和らげてもらいました。
 この他にも、ここではとても書ききれないようなたくさんの方がたからの助力や支えなどがあって、このような本を完成させることができました。感謝に耐えません。本書を叩き台に、学びと対話を継続し、理解を深め、いっしょによりましなヤマガタを目指しとりくんでいけたらと思います。どうぞよろしくお願いします。
 
2023年3月11日
滝口克典

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