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『お金の流れが変わった!』(2)

『お金の流れが変わった!』(2)

新興国が動かす世界経済の新ルール
PHP研究所 2011年1月5日 第1版第1刷


<目次>
第1章 超大国「G2」の黄昏
 Ⅰアメリカ-「唯一の大国」はいかにして崩壊したか
 Ⅱ中国-バブル崩壊はいつやってくるか

第2章 お金の流れが変わった!
 Ⅰ「ホームレス・マネー」に翻弄される世界
 ⅡEU-帝国拡大から防衛のシナリオ
 Ⅲ新興国ー21世紀の世界経済の寵児

第3章 21世紀の新パラダイムと日本
 Ⅰマクロ経済政策はもう効かない
 Ⅱ市場が日本を見限る日

第4章 新興国市場とホームレス・マネー活用戦略
 Ⅰ新興国で成功するための発想
 Ⅱ日本経済再成長の処方箋


昨日(6月12日)、テレビ東京のワールドビジネスサテライト(WBS)で放送された内容で、印象に残ったことがありました。

『俺のイタリアン』や『俺のフレンチ』という外食産業のチェーン店をご存知でしょうか?

私はこの番組で初めて知りました。

このチェーン店は一流シェフが腕を奮い、低料金で美味しいイタリアンやフレンチを提供するというコンセプトで2009年に、最初に『俺のイタリアン』
を立ち上げ好評を博し、今年になり『俺のフレンチ』を銀座に開店したということです。

このチェーン店のオーナーは坂本孝氏です。

ご存知のように坂本氏は『ブックオフコーポレーション』(以下、ブックオフ)の創業者で、元会長でした。

50代で『ブックオフ』を立ち上げ一部上場企業に成長させました。

しかし、売上の水増しが発覚し、会長を辞任しました。

その後、69歳で『俺のイタリアン』を開店しました。
現在72歳だそうです。

外食産業で常識とされているのは、
「材料費が30%、人件費が30%で残りが40%でなければやっていけない」
ということでした。

坂本氏は「これは違う」と考えました。

「材料費は45%、人件費は25%、その他30%でやれる」
と確信していたそうです。

食材をけちっては美味しい料理はできないし、一流シェフも腕の奮いようがない、と考えたそうです。

先頃、銀座に開店した『俺のフレンチ』のシェフは渋谷松濤にある『シェ・松尾』の元総料理長だそうです。

でも、「なぜ?」という疑問を抱きますね。

坂本氏は元総料理長をこのような言葉で口説いたそうです。

「フランス料理を食べたことがない人にも、一流のフレンチを低価格で楽しんでもらえるような店づくりに協力してもらえないか」

銀座に開店した理由は、銀座は厳しい場所だからここで成功すればどこででもうまくいく、と考えた上でのことでした。

今後の動向に注目ですね!


第1章 超大国「G2」の黄昏
 Ⅱ中国-バブル崩壊はいつやってくるか

上海を筆頭に中国は成長を続けていますが、湾岸部と内陸部との格差が拡大し、バブルが弾けるのでは時間の問題だ、と述べる専門家がいます。

一方で、当分は成長し続けると指摘する人もいます。
どちらの考えが正しいのか、は時間が判断してくれることです。

Time will judge who is right.

はっきりしていることは、一人っ子政策により、確実に高齢者の比率が高まるということと、賃金が急上昇しているため、会社経営が困難になるという2点です。


さて、その中国について『中国シフト』『チャイナ・インパクト』『中華連邦』の中国3部作の著者である大前研一氏は、どのように考えているのでしょうか?

中国で起きているバブル


いまの中国は年俸の20~30倍を借金させてマンションを買わせ、しかもそのマンションを抵当にしてさらに新しいマンションを買わせる

いま中国で起きているバブルは、かつて日本やアメリカが経験したものとは次元が違う。

たとえばサブプライム危機につながったアメリカのバブルはせいぜい、返済能力のないサブプライム層にまで貸し出しを行い、値上がりを前提に住宅を 買わせる程度だった。

ところがいまの中国は年俸の20~30倍を借金させてマンションを買わせ、しかもそのマンションを抵当にしてさらに新しいマンションを買わせる。

5、6年前に買ったラッキーな人はすでに3軒目の取得に入っており、気がつけば年俸の100倍以上を借りている人もめずらしくない。

日本の場合、バブルのときでさえも借金は(将来見込まれる)年俸の8倍から10倍だったから、中国のそれは桁が違う。

すでに中国では新築物件(多くは投機で買ったマンション)の空室が7000万戸もあるといわれている。

アメリカでサブプライム危機の後遺症によって競売に出されると予想されているのは最大でも1000万戸で、じつにその7倍にあたる。

しかも中国のマンションは完成形ではなく、コンクリートを打ちっぱなしの空っぽの状態で売られているので、いまだその多くにはトイレも風呂も設置されていない。

『お金の流れが変わった!』 大前研一の名言 1 〈497〉               
                             
            

このような大前氏の指摘を受け、中国のバブルが弾けるのはそう先のことではない、と考えるのは私一人だけではないでしょう。


上記の記事は2012年6月13日のものです。


中国の成長の鈍化がもたらすものとは?

この3年で中国の成長は鈍化しました。
毎年二桁成長していた中国が、7~8%になったのです。
それでも先進国の成長率と比較すれば高いですが、中国はこれを「新常態」、つまり普通と考えています。

中国は、「世界の工場」として知られていましたが、今はもうその面影はありません。

人件費が高騰したため、日本のメーカーなどは、タイやインドネシア、フィリピンなどへ生産拠点を移転したからです。

ですが、これらの国々は急成長していますので、人件費が上昇しつつあり、コスト高になるのは時間の問題でしょう。


中国に話を戻しますと、人口は13億人で世界一です。
「市場」としての魅力は大いにあります。

中国に次いで人口の多いインドは11億人と言われていますが、この国はカースト制がいまだに残り、貧富の差は激烈です。

最近の報道で、インドには2億人が飢餓に苦しんでいる、と伝えられました。日本の人口をはるかに上回る人たちが飢餓に苦しんでいるとは、想像できませんね。

その数字から分かるように、飢餓に苦しんでいる人数は、不名誉なことに世界一です。

中国共産党の幹部の腐敗は相当根深く、習近平国家主席は「浄化」のため、中国共産党総書記経験者の側近まで逮捕しています。

まだ浄化は継続中で、これからも逮捕者は増えるでしょう。



➳ 編集後記

『お金の流れが変わった!』という本について

『お金の流れが変わった!』 は世界と日本の金融を考えると、以前とは全く異なる状況になってきたことを大前氏が、理路整然と具体的に、かつ分かりやすく解説している本です。

時の流れは急速で、昨日までの常識が今日には非常識になることは珍しくありません。

経営資源

経営資源として言われているのは、ヒト・モノ・カネ・情報・時間です。
他にシステム等が加わることもありますね。

はじめの5つに共通点がありますが、何でしょうか?

それは「流れ」です。

人流 (入社・退社・異動・昇進・降格)
物流 (売買・配送・輸出入)
金流 (売買に伴うお金の移動・給与・ボーナス)
情報流(情報を収集し、発信)
時間は、刻一刻と流れています。
 時間の流れは、過去→現在→未来ではなく、「未来→現在→過去」です。
 現在は一瞬のうちに過去になってしまいます。未来と思っていたことが
 現在になり、過去になります。

私たちは、「流れ」にコントロールされているとも考えられます。


私が考える大前研一氏の考え方

🔶 大前氏は自分で考え出したことを自ら実践し、検証しています。仮説と検証を繰り返す行動の人です。

Think before you leap.(翔ぶ前に考えよ)という諺がありますが、Leap before you think.(考える前に翔べ)もあります。

あれこれ考えて、難しそうだからとか面倒くさそうだからやめようでは成長しません。
まず、やってみるという姿勢が大切です。


大前研一氏は、常に物事の本質を述べています。洞察力が素晴らしいと思います
私は、ハウツーものは、その内容がすぐに陳腐化するので読みません。


➔ 大前氏の言葉は、いつでも私たちが忘れがちな重要なことに気づかせてくれます。


🔶 大前研一氏と私は年齢がちょうど一回り(12歳)離れています。

しかし、その年齢以上に遥かに頭の中身と行動力に差がある、と大前氏の著作を読むたびに痛感します。

構想力、コンサルタント力、提案力、実行力……。

どれをとっても私が及ぶようなものは何一つありません。

それでも、いや、だからこそ大前氏の著作やメルマガを通じ、大前氏の考え方を素直に受け入れることにしているのです。

時には、かなり過激な表現も見受けられますが、それは大前氏がそれだけ真剣に物事を考え、モノマネではなくオリジナルな提案をし、自ら実行しているからです。

そうした姿勢をいつも背中から見ていて、頼もしく感じ、(勝手に)この人に師事し、グル(思想的指導者)と仰いでいるのです。



⭐ 関連書籍



🔶 大前研一氏と私とは年齢が一回り違います。大前氏は1943年2月21日生まれで、私は1955年6月30日生まれです。
大前氏は、私にとってはメンター(師匠)です。もちろん私が勝手にそう思っているだけです。


🔶 大前氏は評論家ではありません。言うだけで自分では何もしない人ではありません。大前氏は行動する人です。だから大前氏の提言は説得力があるのです。


大前研一オフィシャルウェブ

このウェブサイトを見ると、大前氏の出版物一覧を見ることができます。
私は、大前氏の全出版物の半分も読んでいませんが、今後も読んでいくつもりです。
⭐ 出典元: 大前研一 オフィシャルウェブ



大前氏は1995年の都知事選に敗戦後、『大前研一 敗戦記』を上梓しました。




🖊 大前氏の著作を読むと、いつも知的刺激を受けます。
数十年前に出版された本であっても、大前氏の先見の明や慧眼に驚かされます。

『企業参謀』(1985/10/8 講談社という本に出会ったとき、日本にもこんなに凄い人がいるのか、と驚嘆、感嘆したものです。

それ以降、大前氏の著作を数多く読みました。

『企業参謀』が好評であったため、『続・企業参謀』(‎ 1986/2/7 講談社が出版され、その後合本版『企業参謀―戦略的思考とはなにか』(1999/11/9 プレジデント社)も出版されました。





🔶 大前氏は経営コンサルタントとしても超一流でしたが、アドバイスするだけの人ではありませんでした。自ら実践する人です。有言実行の人です。起業し、東京証券取引所に上場しています。現在は代表取締役会長です。


大前氏の本には、ものの見方、考え方を理解する上で重要な部分が多くあります。大前氏の真意を深く考えなくてはなりませんね。

この元記事は7年前にAmebaブログで書きました(2015-06-10 13:30:47)。
「新・大前研一名言集(改)」はかなりの量になりました。
私にとっては、いわばレガシィです。

その記事を再編集しました。


✑ 大前研一氏の略歴

大前 研一(おおまえ けんいち、1943年2月21日 - )は、日本経営コンサルタント起業家マサチューセッツ工科大学博士マッキンゼー日本支社長を経て、カリフォルニア大学ロサンゼルス校公共政策大学院教授やスタンフォード大学経営大学院客員教授を歴任。
現在、ビジネス・ブレークスルー大学学長、韓国梨花女子大学国際大学院名誉教授、高麗大学名誉客員教授、(株)大前・アンド・アソシエーツ創業者兼取締役、株式会社ビジネス・ブレークスルー代表取締役社長等を務める。 (Wikipedia から)


大前研一氏の略歴補足

大前氏は日立製作所に勤務時、高速増殖炉もんじゅの設計を担当していましたが、原発の危険性を強く感じていたそうです。

その後、世界一の経営コンサルティングファームのマッキンゼーに転職。
マッキンゼー本社の常務、マッキンゼー・ジャパン代表を歴任。

都知事選に出馬しましたが、まったく選挙活動をしなかった青島幸男氏に敗れたことを機に、政治の世界で活躍することをキッパリ諦め、社会人のための教育機関を立ち上げました。BBT(ビジネス・ブレークスルー)を東京証券取引所に上場させました。

大前氏の書籍は、日本語と英語で出版されていて、米国の大学でテキストとして使われている書籍もあるそうです。


⭐ 今までにご紹介してきた書籍です。















⭐ 私のマガジン (2022.09.06現在)




















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