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『ザ・プロフェッショナル』(33)

『ザ・プロフェッショナル』
21世紀をいかに生き抜くか
ダイヤモンド社 2005年9月29日 第1刷発行

<目次>

はじめに 予言は自己実現する

第1章「プロフェッショナリズム」の定義

第2章 先見する力

第3章 構想する力

第4章 議論する力

第5章 矛盾に適応する力


第3章 構想する力

大前研一氏がマッキンゼー・アンド・カンパニーに在籍中、GEのCEO
(最高経営責任者)だったジャック・ウェルチ氏に会うたびに、こう聞かれたそうです。

"What's new?" (何が目新しいのか?)

常に好奇心を持ち続けることの大切さを教えてくれるエピソードです。

マッキンゼーで議論する時、この "What's new?" というフレーズは "So what ?"(それがどうした)と共に飛び交ったそうです。

この2つのフレーズは簡単な単語で構成されていますが、英語で議論する時きっと役に立つでしょう。



旧大陸でビジネス・エリートと呼ばれた人たちの多くは、先行事例から自分の知っている方程式を探し出そうとします。ですが、このような行為からは新たな発見を得ることはできません

旧大陸でビジネス・エリートと呼ばれた人たちの多くは、先行事例から自分の知っている方程式を探し出そうとします。ですが、このような行為からは新たな発見を得ることはできません

新たな解釈が見つかるだけで、グレシャムの法則ではありませんが、見えざる大陸について議論するうえでは悪化が良貨を駆逐するようなものなのです。

『ザ・プロフェッショナル』 大前研一の名言 1 〈673〉            


答えを知らないことを恐れるのでなく、知らないところからスタートして、自分には何が見えて何が見えないか、何がわかって何がわからないかを分けて考えられるかどうかが重要なのです

マッキンゼーの議論では、いつも "What's new?" (何が目新しいのか)、"So what?"(それがどうした)というフレーズが飛び交います。

この新大陸をどのように攻略しようかと考えている時に、旧大陸の成功法則や論理を振りかざそうものなら、すぐさまこのような問いが投げかけられます。

答えを知らないことを恐れるのでなく、知らないところからスタートして、自分には何が見えて何が見えないか、何がわかって何がわからないかを分けて考えられるかどうかが重要なのです

 『ザ・プロフェッショナル』 大前研一の名言 2 〈674〉             
                        
           

  

哲学者のエドムント・フッサールが主張したように、自分の知らない事象に遭遇した時には、これまで身につけた知識や価値観で判断することを停止する、いわゆる「エポケー」して、その事象と対峙してみます

哲学者のエドムント・フッサールが主張したように、自分の知らない事象に遭遇した時には、これまで身につけた知識や価値観で判断することを停止する、いわゆる「エポケー」して、その事象と対峙してみます

そのために、トヨタでもそうですが、マッキンゼーでも "Why×5" (「なぜか」を五回唱えよ)という習慣があります。

私は三◯年前に書いた『企業参謀』(プレジデント社)で、「『なぜか』を三回唱えよ」と述べましたが、トヨタは五回だといいます。

INSEADのポール・エバンス教授によると、「人は変化を好まないのではなく、自分が変えられることを嫌うのだ」、ということです。

『ザ・プロフェッショナル』 大前研一の名言 3 〈675〉            





地震発生から1週間 福島原発事故の現状と今後
(大前研一ライブ579) 2011/3/19収録





大前研一 × 堀江貴文 「日本のテクノロジー」対談(完全版) 2013/12/18

       


➳ 編集後記

『ザ・プロフェッショナル』という本について

『ザ・プロフェッショナル』 はプロフェッショナルとは何か、プロフェッショナルになるために必要な考え方や行動の仕方、さらに何を身に着けなければならないかについて書かれた本です。

一言でプロフェッショナルと言っても、業界や職種によって求められる資質は異なるかもしれませんが、そこには共通点があるはずです。

そのあたりにも着目してご覧ください。

🔴「トヨタでもそうですが、マッキンゼーでも "Why×5" (「なぜか」を五回唱えよ)という習慣があります」

徹底して深掘しなさい、と言っているのです。
安易に妥協してはいけません、と言っているのです。

私たちはすぐに正解を求めがちです。
じっくり考えずに答えさえ見つかればいいじゃないか、という習慣が身についてしまっています。

この習慣を見直す必要があります。

大前氏が繰り返し指摘していることに次のことがあります。
「答えは一つとは限らない。複数あるかもしれない。それどころか答えは前もって用意されていないかもしれない」と。

私たちは、小学校から大学(大学院)まで、試験で1つの正解に辿り着くためのテクニックばかりを学ぶことに終始してきました。

学校では1つの正解しか認められません。論文試験では、いくつかのキーワードが含まえていないと正解として認めないという点があるにしても、「模範解答」に照らし合わせて、採点します。

つまり、正解が前もって用意されているのです。

いざ社会に出てみると、自分が正しいと思ったこと発言したり行動したら、先輩や上司から「お前の考え方や、やり方は間違いだ」とか「規範に則った発言や行動をしろ」と指摘されることがあります。

社会に出ても、学校と同じではないかと感じた経験はありませんか?
ある決められた枠の中で発言し行動することを強制されます。

旧態依然とした組織の中から新しい発想や、ずば抜けた才能の人物が出現する可能性は低いでしょう。

そもそも上司と部下の間や、同僚同士で真剣な議論が行われる機会は乏しいでしょう。

「考えること自体時間の無駄」「長い物には巻かれろ」で終わってしまうでしょう。

たとえそうであっても、個人間や組織内という狭い範囲だけに留まらず、もっと開かれた空間で議論する機会を作っていくべきではないかと思います。

note 内で議論する機会が作られれば、活発な議論が行われるかもしれません。

その際に注意すべきことは、喧嘩腰にならず、マウントしないというルールをきちんと守ることです。さらに老若男女対等の立場を堅持して議論することです。

こうした試みは、決して時間の浪費ではありません。

"What's new ?" (何が目新しいのか)"So what ?"(それがどうした)"Why×5" (「なぜか」を五回唱えよ)を使って議論してみませんか?



大前氏はプロフェッショナルの中のプロフェッショナルと断言できます。



✅ 大前氏は『ザ・プロフェッショナル』の中でプロフェッショナルという言葉が安易に使われていることに対する警鐘を鳴らしています。

プロ中のプロの大前氏の言葉だけに非常に説得力があります。

世間一般では、本業としてカネをを稼いでいる人がプロで、本業としてでなく、カネを稼ぐことが目的でない人がアマという分け方がありますが、大前氏の考え方ではそういうことではない、ということになります。

道なき道、ルールのない世界でも「洞察」と「判断」をもって組織を動かしていけるのがプロフェッショナルです。

『ザ・プロフェッショナル』                         

大前氏は、パスファインダー(pathfinder=探検者、開拓者)という言葉をよく使います。

次回以降も大前氏の考える「プロフェッショナル」の概念とプロフェッショナルを育成することの必要性等をお伝えしていきます。

下記に掲載した書籍も知的刺激を受ける名著です。
『大前研一 新・経済原論 世界経済は新しい舞台へ』

本書は2005年3月に米国で出版された The Next Global Stage ----- Challenges and Opportunities in Our Borderless World (Wharton School Publishingより刊行) の日本語への翻訳である。発売以来ドイツ、イタリア、スペイン、ポルトガル、中国、韓国、トルコ、アラビア、インドネシア、オランダなど世界の主要言語に訳されており、日本語版が最後となった。

大前研一 新・経済原論 世界経済は新しい舞台へ  吉良直人[訳]         
日本版へのまえがき p.v    

という本です。ページ数は全503ページという大書です。
ですが、濃い内容を平易な言葉で書き、具体例を豊富に掲載していますので、読みやすく理解しやすくなっています。訳者の力量も寄与していると思います。

大前氏のどの本でも知的刺激を受けますよ。
いずれの日にかこの本を取り上げることになるでしょう。

奥付を見ますと、次のようになっています。

2006年9月14日 第1刷発行
2006年11月1日 第3刷発行
東洋経済新報社
今読んでも全く古さを感じません。大前氏の考え方が先行し、時代が後からついてくると考えるのが、相応しいと思っています。




世界のメディアは大前研一氏を高く評価しています。

英国エコノミスト誌現代世界の思想的リーダーとしてアメリカにはピーター・ドラッカーやトム・ピータースが、アジアには大前研一がいるが、 ヨーロッパ大陸にはそれに匹敵するグールー(思想的指導者)がいない、と書いた。
同誌の1993年のグールー特集では世界のグールー17人の一人に、また1994年の特集では5人の中の一人として選ばれている。
2005年の<Thinkers50>でも、アジア人として唯一、 トップに名を連ねている。

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私が考える大前研一氏の考え方

🔶 大前氏は自分で考え出したことを自ら実践し、検証しています。仮説と検証を繰り返す行動の人です。

Think before you leap.(翔ぶ前に考えよ)という諺がありますが、Leap before you think.(考える前に翔べ)もあります。

あれこれ考えて、難しそうだからとか面倒くさそうだからやめようでは成長しません。
まず、やってみるという姿勢が大切です。


大前研一氏は、常に物事の本質を述べています。洞察力が素晴らしいと思います
私は、ハウツーものは、その内容がすぐに陳腐化するので読みません。


➔ 大前氏の言葉は、いつでも私たちが忘れがちな重要なことに気づかせてくれます。


🔶 大前研一氏と私は年齢がちょうど一回り(12歳)離れています。

しかし、その年齢以上に遥かに頭の中身と行動力に差がある、と大前氏の著作を読むたびに痛感します。

構想力、コンサルタント力、提案力、実行力……。

どれをとっても私が及ぶようなものは何一つありません。

それでも、いや、だからこそ大前氏の著作やメルマガを通じ、大前氏の考え方を素直に受け入れることにしているのです。

時には、かなり厳しい表現も見受けられますが、それは大前氏がそれだけ真剣に物事を考え、モノマネではなくオリジナルな提案をし、自ら実行しているからです。

そうした姿勢をいつも背中から見ていて、頼もしく感じ、(勝手に)この人に師事し、グールー(思想的指導者)と仰いでいるのです



🔶 大前研一氏と私とは年齢が一回り違います。大前氏は1943年2月21日生まれで、私は1955年6月30日生まれです。
大前氏は、私にとってはメンター(師匠)でもあります。もちろん私が勝手にそう思っているだけです。


🔶 大前氏は評論家ではありません。言うだけで自分では何もしない人ではありません。大前氏は行動する人です。だから大前氏の提言は説得力があるのです。


大前研一オフィシャルウェブ

このウェブサイトを見ると、大前氏の出版物一覧を見ることができます。
私は、大前氏の全出版物の半分も読んでいませんが、今後も読んでいくつもりです。
⭐ 出典元: 大前研一 オフィシャルウェブ



大前氏は1995年の都知事選に敗戦後、『大前研一 敗戦記』を上梓しました。





🖊 大前氏の著作を読むと、いつも知的刺激を受けます。
数十年前に出版された本であっても、大前氏の先見の明や慧眼に驚かされます。

『企業参謀』(1985/10/8 講談社という本に出会ったとき、日本にもこんなに凄い人がいるのか、と驚嘆、感嘆したものです。

それ以降、大前氏の著作を数多く読みました。

『企業参謀』が好評であったため、『続・企業参謀』(‎ 1986/2/7 講談社が出版され、その後合本版『企業参謀―戦略的思考とはなにか』(1999/11/9 プレジデント社)も出版されました。





🔶 大前氏は経営コンサルタントとしても超一流でしたが、アドバイスするだけの人ではありませんでした。自ら実践する人です。有言実行の人です。起業し、東京証券取引所に上場しています。現在は代表取締役会長です。


大前氏の本には、ものの見方、考え方を理解する上で重要な部分が多くあります。大前氏の真意を深く考えなくてはなりませんね。

⭐お知らせ⭐

前回の『ザ・プロフェッショナル』(28)までの元記事は7年前(2015.06.23)まではFC2ブログに投稿していました。

ところが、前回の編集後記で書きましたように、2015年6月に妻が体調不良になり同年8月にこの世を去りました。

そのため、深い悲しみが全身を覆い、心身ともに疲弊し、ブログを更新することができなくなりました。

というわけで、『ザ・プロフェッショナル』(29)以降の投稿は書き下ろしになります。


✑ 大前研一氏の略歴

大前 研一(おおまえ けんいち、1943年2月21日 - )は、日本経営コンサルタント起業家マサチューセッツ工科大学博士マッキンゼー日本支社長を経て、カリフォルニア大学ロサンゼルス校公共政策大学院教授やスタンフォード大学経営大学院客員教授を歴任。
現在、ビジネス・ブレークスルー大学学長、韓国梨花女子大学国際大学院名誉教授、高麗大学名誉客員教授、(株)大前・アンド・アソシエーツ創業者兼取締役、株式会社ビジネス・ブレークスルー代表取締役社長等を務める。 (Wikipedia から)


大前研一氏の略歴補足

大前氏は日立製作所に勤務時、高速増殖炉もんじゅの設計を担当していましたが、原発の危険性を強く感じていたそうです。

その後、世界一の経営コンサルティングファームのマッキンゼーに転職。
マッキンゼー本社の常務、マッキンゼー・ジャパン代表を歴任。

都知事選に出馬しましたが、まったく選挙活動をしなかった青島幸男氏に敗れたことを機に、政治の世界で活躍することをキッパリ諦め、社会人のための教育機関を立ち上げました。BBT(ビジネス・ブレークスルー)を東京証券取引所に上場させました。

大前氏の書籍は、日本語と英語で出版されていて、米国の大学でテキストとして使われている書籍もあるそうです。



⭐今までご紹介してきた書籍です。
















⭐私のマガジン (2022.11.08現在)

























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