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大前研一 名言集 『ロウアーミドルの衝撃』(22)

『ロウアーミドルの衝撃』(22)

「自分のことを中流」と考える日本人が、かつて多く存在しました。私自身もその一人でした。

しかし、いまや上流と下流だけといった二極分化の様相を呈しています。

派遣社員の首切り、正社員の激減、給与、賞与の大幅削減など従業員には逆風が吹き荒れています。

そうした現況を踏まえて、ロウアーミドル(中流以下)という概念を示しつつ、生き抜く指針を提示している本が『ロウアーミドルの衝撃』(発売日 ‏ : ‎ 2006/1/26です。

現実から逃避せず、現実を直視し、少しでも明るい未来像を描けるようになりたいものです。
 
 

少子化で子供の数が減っているにもかかわらず、学校の教員は他の公務員同様、辞めさせる制度がないためにクビにすることができない


地方公務員の中で圧倒的に数が多いのは、じつは教職員である。

地方公務員を部門別でみると、308万人の地方公務員のうち115万人を教職員が占めている。

しかし、少子化で子供の数が減っているにもかかわらず、学校の教員は他の公務員同様、辞めさせる制度がないためにクビにすることができない

ある地域では、教員の15%が心身障害などの問題を抱えているが、辞職させることができないため、さらに別の先生をつけて2人態勢で授業を行っている。

つまり、コストが2倍かかっているわけだ。

『ロウアーミドルの衝撃』 大前研一の名言 1 〈310〉                              



私は、インターネットを使い、すべて遠隔授業によるサイバー大学院を日本ではじめて設立、運営しているが、もっとも優秀な教師が教えているのだから授業の質は当然高いし、受講生は世界のどこにいても自分に最適なペースで学ぶことができる


教員免許は一度取得すれば一生失うことがない。しかし適性がなければクビにして、もっと本人に合った別の職種を見つけさせるほうが本人のためだし、なにより生徒のためでもある。

授業をIT化すれば、少なくとも知識を身につけさせるための教師の数は10分の1もいれば事足りる。

私は、インターネットを使い、すべて遠隔授業によるサイバー大学院を日本ではじめて設立、運営しているが、もっとも優秀な教師が教えているのだから授業の質は当然高いし、受講生は世界のどこにいても自分に最適なペースで学ぶことができる

インターネットを通じて個別の質問にもきめ細かく対応できるため、効果は非常に高い。

『ロウアーミドルの衝撃』 大前研一の名言 2 〈311                             
                                  
         







ここでいう人材とは、「自分の力で考え、行動できる」自立した人材だ


私が「もし、ひとつだけ改革するとしたら何をやるか」と問われたら、迷わず「教育」と答えるだろう。

今、世界はビル・ゲイツのような1人の天才が経済を動かす時代、人材競争の時代に入っている。

ここでいう人材とは、日本でいう「勉強のできる子」「人に言われた通りのことを器用にやる子」ではない。「自分の力で考え、行動できる」自立した人材だ

新しい経済の「見えない大陸」では、自ら未開の大地を開拓していく能力が求められるからである。

今の日本の学校教育では、そうした新しい世の中では役に立たない人間が大量生産されるだけだ。

日本が長期衰退から脱却し、新たなる繁栄の道を切り開くためにも、教育改革は最重要のテーマなのだ。

『ロウアーミドルの衝撃』 大前研一の名言 2 〈312〉                  



➳ 編集後記

ロウアーミドル(中流以下)という概念を示しつつ、生き抜く指針を提示している本が『ロウアーミドルの衝撃』です。


🔶 大前氏は自分で考え出したことを自ら実践し、検証しています。仮説と検証を繰り返す行動の人です。

Think before you leap.(翔ぶ前に考えよ)という諺がありますが、Leap before you think.(考える前に翔べ)もあります。
あれこれ考えて、難しそうだからとか面倒くさそうだからやめようでは成長しません。
まず、やってみるという姿勢が大切です。


大前研一氏は、常に物事の本質を述べています。洞察力が素晴らしいと思います。私は、ハウツーものは、その内容がすぐに陳腐化するので読みません。


➔ 大前氏の今回の言葉も、私たちが忘れがちな重要なことに気づかせてくれます。

🔷 教育費のGDP比を調べてみました。

公的教育費の対GDP比率 国際比較統計・推移というサイトが見つかりました。


統計期間 1990-2012年

155の国と地域におけるランキングを表示しています。

日本は105位でした。主な国をご紹介します。
日本のGDPは世界3位ですが、教育費のGDP比では、105位でした。


教育に対する支出が少ないことが分かります。


日本      105位  3.78

韓国       71位 5.05

ドイツ      69位 5.08

スイス      61位 5.22

オーストラリア  53位 5.59

アメリカ     51位 5.62

フランス     41位 5.86

イギリス     31位 6.30

フィンランド   23位 6.84

スウェーデン   17位 6.98

デンマーク     6位 8.74

 

日本の資源は「人財」しかないのですから、もっと教育費に対して支出すべきだと考えますが、いかがでしょうか?


🔶 大前氏は評論家ではありません。言うだけで自分では何もしない人ではありません。大前氏は行動する人です。だから大前氏の提言は説得力があるのです。




⭐ 参考になるデータは下記のサイトでご確認ください。


日本と世界におけるICT教育の比較


このサイトを見ると、日本はICT教育で遅れていることが分かります。
この点は想像できていました。

まず、ICT教育とは何かについて定義しています。

ICT教育とは(Information and Communication Technology)の略称で、デジタルテレビや教員用コンピュータ、インターネット環境下での学生用タブレット端末などを用い教育の質向上を目指す教育方法です

ICT教育の現状について述べています。

ICT環境の充実度を測る指標として、教育用PCの普及状況があります。これは”生徒用PC1台あたりの児童生徒数”を意味しており、日本では4.24(人/台) (2019年)となっています

GIGAスクール構想なるものがあるそうです。

GIGAスクール構想とは、「子供達への1人1台端末と高速で大容量の通信ネットワーク を一体的に整備し、特別な支援を必要とする子供を含め、多彩な子供達の資質・能力がいっそう確実に育成できる教育ICT環境を実現する計画」のことです。(GIGA:Global and Innovation Gateway for all)


問題は、今後、日本はICT教育にどれだけ本腰を入れて取り組むかということです。

⭐ 出典元: GLOBITY 2021.03.29





大前氏は1995年の都知事選に敗戦後、『大前研一 敗戦記』を上梓しました。




🖊 大前氏の著作を読むと、いつも知的刺激を受けます。
数十年前に出版された本であっても、大前氏の先見の明や慧眼に驚かされます。

『企業参謀』(1985/10/8 講談社という本に出会ったとき、日本にもこんなに凄い人がいるのか、と驚嘆、感嘆したものです。

それ以降、大前氏の著作を数多く読みました。

『企業参謀』が好評であったため、『続・企業参謀』(‎ 1986/2/7 講談社が出版され、その後合本版『企業参謀―戦略的思考とはなにか』(1999/11/9 プレジデント社)も出版されました。






🔶 大前氏は経営コンサルタントとしても超一流でしたが、アドバイスするだけの人ではありませんでした。自ら実践する人です。有言実行の人です。起業し、東京証券取引所に上場しています。現在は代表取締役会長です。



大前氏の本には、ものの見方、考え方を理解する上で重要な部分が多くあります。大前氏の真意を深く考えなくてはなりませんね。

この元記事は8年前にAmebaブログで書きました(2014-07-04 21:08:36)。「新・大前研一名言集(改)」はかなりの量になりました。私にとっては、いわばレガシィです。

その記事を再編集しました。


✑ 大前研一氏の略歴

大前 研一(おおまえ けんいち、1943年2月21日 - )は、日本経営コンサルタント起業家マサチューセッツ工科大学博士マッキンゼー日本支社長を経て、カリフォルニア大学ロサンゼルス校公共政策大学院教授やスタンフォード大学経営大学院客員教授を歴任。
現在、ビジネス・ブレークスルー大学学長[1]韓国梨花女子大学国際大学院名誉教授[1]高麗大学名誉客員教授[1]、(株)大前・アンド・アソシエーツ創業者兼取締役[1]、株式会社ビジネス・ブレークスルー代表取締役社長[1]等を務める。    (Wikipedia から)


大前研一氏の略歴補足

大前氏は日立製作所に勤務時、高速増殖炉もんじゅの設計を担当していましたが、原発の危険性を強く感じていたそうです。

その後、世界一の経営コンサルティングファームのマッキンゼーに転職。
マッキンゼー本社の常務、マッキンゼー・ジャパン代表を歴任。

都知事選に出馬しましたが、まったく選挙活動をしなかった青島幸男氏に敗れたことを機に、政治の世界で活躍することをキッパリ諦め、社会人のための教育機関を立ち上げました。BBT(ビジネス・ブレークスルー)を東京証券取引所に上場させました。
大前氏の書籍は、日本語と英語で出版されていて、米国の大学でテキストとして使われている書籍もあるそうです。










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