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可視化経営 人的資本もリスクも掴む 2022.10.24 2/3

【『日経ビジネス』の特集記事 】 #20

✅はじめに

⭐『日経ビジネス』の特集記事から、私が特に関心を持った個所重要と考えた個所を抜粋しました。
Ameba(アメブロ)に投稿していた記事は再編集し、加筆修正し、新たな情報を加味し、再投稿した記事は他の「バックナンバー」というマガジンにまとめています。

⭐原則として特集記事を3回に分けて投稿します。
「私にとって、noteは大切なアーカイブ(記録保管場所)です。人生の一部と言い換えても良いもの」です。
プロフィールから)


日経ビジネス電子版セット(雑誌+電子版)「らくらく購読コース」で、2022年9月12日号から定期購読を開始しました。



日経ビジネスの特集記事 #20

可視化経営 人的資本もリスクも掴む 2022.10.24 2/3

<このページでは、『日経ビジネス』の特集記事の概要紹介と、管理人のコメントを掲載しています>

企業における主なリスク・クライシスにはどのようなものがあるでしょうか?

日経ビジネスは企業を取り巻く50のリスク・クライシスを取り上げていますが、大きな括りとして11項目にまとめています(元データはデロイトトーマツグループが作成)。

●経済環境リスク    金融危機/財政難/為替変動等計5件
●社会課題リスク    人権侵害/少子高齢化/貧富の格差等計7件
●技術動向リスク    事業に影響するテクノロジー改革       
●法律・規制リスク   環境関連法規制違反/知的財産関連法規制違反/            労働関連法規制違反等6件         
●ガバナンスリスク   経営の機能不全/グループガバナンス不全等
            計3件        
●不正リスク      金融犯罪/財務報告の虚偽記載/カルテル談合な            どの組織不正等計5件
●製品・サービス    サプライチェーン寸断/リコール/品質チェックオペレーションリスク  体制の不備等計6件  
●システムリスク     サイバー攻撃・ウイルス感染などによる情報漏洩            /大規模システムダウン
●人事・労務リスク    人材流出、人材不足/人件費高騰/長時間労働、
            ハラスメントなどの労務問題/労使問題
●政治・地政学リスク   朝鮮半島/中国・ロシア/東南・南アジア等計
            5件
●自然災害リスク     異常気象・自然災害/気候変動の緩和・適応失敗
            等計6件


これらのリスク・クライシスについて日経ビジネスの記事を見てみましょう。


PART 2 潜在危機から目を背けない
リスクを防ぐ適時予測
コロナ災害にも効果

企業におけるリスクをいかに可視化するか?

企業価値を一瞬にして奈落の底に突き落としかねないのが「リスク」だ。取り巻く50のリスクをいかに可視化し、防ぐか。

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リンガーハットのケース

長崎ちゃんぽん専門店を展開するリンガーハットがAI(人工知能)を使って見えない敵(リスク)に立ち向かっているそうです。意外性を感じました。

米シリコンバレーでAI関連サービスを手掛けるパロアルトインサイトと組み、緊急事態に対応する需要予測システムを共同開発した。日付を選択するだけで、店舗ごと、かつ1時間ごとに売上高の予測値や店舗スタッフの必要人数が表示される仕組みだ。需要予測の精度を高めることで、外食企業にとってのリスクである人手不足や資材の過剰発注を防ぐのが狙いだ。

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リンガーハットなどの外食産業にとってのリスク(人手不足や資材の過剰発注)を防ぐことが狙いです。

まだテスト段階ですが、「23年にかけて全国約700店舗の『リンガーハット』『とんかつ濵かつ』に順次導入していく予定」(p.019)ということです。

さらにこのシステムを発展させて予測データを運用できるようにすることを目指しています。

将来的には予測データを近隣の店舗間でまとめて運用できるようにするのが目標だ。店舗ごと、1時間ごとに必要なスタッフの人数が分かるため、店舗をまたいだシフト表のスケジュール調整ができる。近隣に立地する店舗であれば、繁閑が異なる際には応援スタッフを送り込むことも可能になる。リンガーハットは、人手不足による販売機会の損失という問題の解消も視野に入れる。

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リスクマネジメント

リスクマネジメントの重要性は日増しに高まっています。

デロイトトーマツグループが毎年実施している調査があります。
その2021年のリスクのトップ3は下記のとおりです。

毎年実施する「企業のリスクマネジメントおよびクライシスマネジメント実態調査」によれば、国内上場企業が21年に最も懸念したリスクは「異常気象・自然災害」で、2位に「人材不足」、3位「サイバー攻撃」と続く。

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デロイトトーマツグループの山内達夫パートナーによれば、「リスク対応」に変化が出てきたということです。

企業のリスク対応といえば、ひと昔前までは法務部門やIR部門など、部署別に策を練るケースも多かった。デロイトトーマツグループの山内達夫パートナーは「リスクは企業戦略と表裏一体でもある。トップ目線で取捨選択していかなければならない」と語り、全社横断的なリスク可視化の重要性を強調する。

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リスクというと、災害や事故を思い浮かべることが多いと思います。
ところが、「身内による『不正』もその1つだ」(p.020)ということです。

不正はどの程度の比率で起きているのでしょうか?

コンサルティング会社のKPMG FAS(東京・千代田)が19年にまとめた調査があります。その調査結果を見てみましょう。

コンサルティング会社のKPMG FAS(東京・千代田)が19年にまとめた調査では、回答企業の3分の1で過去3年間に不正が発生しており、その45%が国内外の子会社で起きていたという。企業活動のグローバル化が進むにつれ「子会社が20社以上あるような企業グループでは、内部監査が追いつかないケースが増えている」(KPMG FASの佐野智康ディレクター)のだ。

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予想以上に多い比率で「不正」が発生していました。

親会社は子会社の経営に目が届かなかったからでしょう。
子会社の経営者や従業員で、親会社から派遣(時には左遷)された場合、「どうせもう親会社に戻れないのなら、好き勝手にやらせてもらうぜ」という輩がいてもおかしくありません。


このデータ結果を重く見たKPMG FASは不正リスクを検知できるツールを開発しました。

KPMG FASは決算データだけで簡便に不正リスクを検知できるツールを開発、20年9月に提供を開始している。「過去に手掛けてきた不正調査の経験則上、大型の会計不正のほとんどは財務諸表にゆがみが生じている」(佐野氏)。売上高と利益の相関関係から大きく外れたり、在庫の増減が過去のパターンから大きく外れたりといった指標を5つ設定。約20の不正シナリオをあらかじめ想定し、分析結果と照らし合わせ、当てはまるかどうかを判別する。

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ツールの内容を具体的に見てみましょう。
このツールを使いこなせれば、不正をすみやかに発見できるでしょう。
こうでもしなければ、不正を防いだり、減らすことができないという現実は悲しいことですね。

ツールで疑わしい数値を絞り込めれば、それを手掛かりに現地訪問やインタビューなど、重点的な内部監査に移行しやすい。ツール提供開始から2年がたち、提供先企業で複数件の不正を発見できたという。既に国内の上場企業数十社が導入している。発見に至らなくても、アラートを発することで「抑止効果も期待できる」。兆候を捉えて「可視化」し、先回りする経営に役立つツールといえる。今後は、税務の移転価格リスク分析などにも広げていく方針だ。

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一旦不正に手を染めれば、第2、第3の不正を行うことに罪悪感が薄れてくるのかもしれません。モラルハザード(倫理観の欠如)です。
実に恐ろしいことです。


今後の課題は、「リスク」をどう可視化するかということです。

複雑化するリスクをどのように可視化し、共有していくか。企業側も試行錯誤を重ねている。

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セブン-イレブンのケース

セブンVIEWという災害対策システムを利用するに至った経緯

今年9月、気象庁が「過去に例がないほどに危険」とした台風14号が九州地方に近づいた際、セブン-イレブン・ジャパンは従業員や配送員、来店客の安全を守るため、西日本を中心に1000店舗以上が計画休業した。本部の対策会議で活躍したのが同社が15年から運用してきた災害対策システム「セブンVIEW」だ。

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セブンVIEW米グーグルのサービスを活用しています。

セブンVIEWは、米グーグルのクラウドサービス「Googleクラウドプラットフォーム(GCP)」を活用しているのも特徴の1つ。自社サーバーやソフトウエアがなくてもインターネットを通じて利用でき、世界中のどこからでもアクセスが可能だ。将来、南海トラフ地震や首都直下地震などで拠点の多くが失われた場合も見据え、国外からでも業務が続けられる仕組みだ。

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リスク管理は守りのためにあると考えられますが、情報を可視化することで投資家は「企業価値の物差し」に活かし始めています

守りのリスク管理領域まで及んできた「情報の可視化」だが、それだけではない。可視化は経営を担うヒトや、人材のあり方まで及び、投資家は企業価値の物差しにし始めた。

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次回は、

PART 3 大日本印刷、日立製作所、オムロンが気づいた 「非財務情報」に価値
社員の才能を戦力に

についてお伝えします。



🔷 編集後記

可視化(見える化)することで、今まで見えなかったことを誰にでも見えるようにすることで、問題点を抽出し、リスクを未然に防ぐことが将来には可能になってくるでしょう。

不正リスクを検知できるツールは使い方次第では、とても有効です。
ですが、不正リスクに完璧に対処出来るとは限りません。

リスクを減らすことはできても、なくすことはできないからです。
大小様々なリスクが毎日発生します。

そのリスクの大半は先にご紹介した50のリスクに分類できます。
しかし、リスクを検知できても、再発防止策はケース・バイ・ケースで考えていかないとなりません

これさえやれば、再発しないという特効薬はありません。

人間がこの惑星に存在する以上、リスクは必ず発生します
今まで自然災害と考えられてきた事象が、実は人災でもあったということが東日本大震災で露見しました。




⭐ 私の回想録


⭐ 私のマガジン (2022.11.09現在)






















   


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