今更ミッドサマーを見たら超面白かった

ネタバレ注意!!

 ストーリーには極力触れませんが、本質にはガンガン触れますのネタバレを気にする人は注意してください。
 それでは行きます。

あらすじ

 アメリカ人の4人組男子+女の子一人が北欧のド田舎に卒業旅行に来たらその田舎は古い因習があって酷い目に会った。

ジャンル説明

 いわゆる因習ホラーです。
 漫画とかで例えるなら『ガンニバル』とか『辱』とか、洒落怖で例えるなら『集落・田舎の怖い話』のシリーズです。

 話の内容としてはカルト宗教や、地方の土着信仰の話なので、ミッドサマーとカルトを比較した解説記事を読んだ方が分かり易いかも知れません。

オタク的感想

 この映画最高やな!!

 『孔雀王』や『地獄先生ぬ~べ~』、『洒落怖』、『呪術廻戦』、などのオカルト大好きな私としては「あ~、この人たちはこういう風に考えてるのね~!なるほどなるほど!!」と膝を打つような映画です。

 以前、映画の評論で「キリスト教圏は理解不能で超怖いけど、日本人は結構平気」と言う話を聞いていましたが、確かにこの映画は日本人ないしは非ユダヤ教(イスラム、キリストを含む)の文化の人は割と怖くないかも知れないです。

 というか、映画の題材が土着信仰なので土着信仰が残ってる地域は「あ~はいはい、あそこの因習を100万倍やばくした感じね~」って既視感があります。

 まずこの村の死生観ですが、完全に干支です。
 干支は60年を一巡と考え、一周したらまた赤ちゃんに戻るというような輪廻転生に基づいたような考え方です。

 ミッドサマーの村では四季に例えて、1~18を春、18~36を夏、36~54を秋、54~72を冬として、72歳を越えたら無事に人生を終えたという事で最高の状態で自殺します。そして最高の状態の魂を次の世代に分け与えます。

 これは寿命が短くてあんまり長く生きられなかった時代の考えに近く、魂を分け与えるのは族内食人の文化に通じます。

 つまりは原始宗教によく見られる行動です。

 次に薬によるトリップです。
 これもアフリカやネイテイブアメリカン、密教などの各種宗教でよく見られる宗教儀式です。

 正直、法整備などされていない古い時代ではよく行われていた事です。

 そして独自言語や、その宗教や部族でしか通じない言い回しも宗教世界ではよくあることです。

 これについてはネットミームとか、ファンの独自呼称とか、そういう仲間意識を強める意味でよく使われるかも知れません。

 後は同調ですね。

 カルトとミッドサマーを比較した記事でも書かれていましたが、宗教は仲間内の結束を高めるという意義を持つので、同調による結束はむしろ宗教の最重要事項です。

 選ばれし者による宗教的儀式も同調の意味が強いと思います。権力者が行う行動は全て意味があるというような行為の正当性ですね。

 最後の火をつける、や、生け贄、に対しては古代インカの生け贄文化を見れば納得します。

 後はウィッカーマンですね。北欧の文化の一つです。

 クリスチャンに熊の恰好をさせたのは、ベルセルクとアイヌ文化を混ぜ込んだ結果だと思うのですが、罪の具現化としてはキリスト教の七つの大罪を混ぜ込んでいるかと思います。
 他の文化では強さの象徴ですからね。ただ、アイヌでは熊は神でもありながら荒神にもなるので、ミッドサマーの熊はアイヌの悪い熊扱いなのかも知れないですけど。

ミッドサマーは土着信仰のごった煮

 ここまで書いて思ったのですが、ミッドサマーは因習ホラーでありながらも、土着信仰のごった煮と言う感じがしました。
 流石に「宗教の為なら殺人も仕方ない」とは言いませんが、ミッドサマーが「土着信仰のやばい奴Lv100」と言った感じなので、根源の信仰としては理解出来ます。

 SDGsが謳われる昨今、多様性を理解するためにミッドサマーを見て理解を深めるのもありかも知れません。

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