BtoB企業が3年で100本のYouTube動画を投稿した成果と学び
こんにちは。SEOコンサルティングを提供する株式会社LANY代表の竹内(@take_404)です。
2020年8月1日に開始したLANYのYouTubeチャンネルの公開動画本数が、先日100本になりました。
継続は力なりと言いますが、100本の動画を公開してきたことでこのYouTubeチャンネルの事業的価値も高まってきました。
チャンネル登録者数は1万人もいないですし、動画の品質もまだまだかもしれませんが、ある程度の量をこなしたからこそ見えてきた世界もあります。
このnoteでは、SEOコンサルティングを提供するBtoB企業であるLANYが、3年間かけて100本のYouTube動画を公開したことによる成果や学び、また私たちのYouTubeの運用体制をおまとめします。
BtoB企業のマーケティングを担当する方々にとって少しでも参考になれば嬉しいです。
3年間かけて100本公開した成果
3年間で100本の動画を公開したことによる成果を簡単にまとめました。
行動指標・YouTube指標・事業指標のそれぞれの成果を振り返ります。
行動指標的成果
3年間で100本は、振り返ると牛歩に感じます。
2022年前半にYouTube運用を一時休止したり、2021年までの1.5年間は全行程を内製で行っていたこともあり、進みが遅くなりました。
全工程を内製で行っていた時期は、1本の動画を公開するのが結構しんどかった思い出があります。
ただ、2022年後半から全工程を内製化していた状態から、様々な人に協力をしてもらいながら運用体制を構築したことで、コンスタントに動画を公開し続けられる体制が整いました。
具体的な体制と運用は後半で解説しますが、ざっくり下記が実施したことです。
動画編集をアウトソース
サムネイル作成をアウトソース
ディレクションをインターン生に任せる
企画もインターン生にサポートしてもらう
演者を1人→2人に増やした
振り返ってみると、もっと早くに運用体制を組んで推進すべきだったと感じていますので、今後YouTubeへ参入されることを検討しているBtoB企業の方々はぜひ適切な体制構築を初期から検討されることをおすすめします。
YouTube指標的成果
YouTube指標を見ると、「3年間続けてもチャンネル登録者数1万人もいかないのか…」と思われるかもしれません。
そう思われると悔しいかつ自己肯定感が下がるので、メンツを保つためにもBtoB領域でYouTubeのチャンネル登録者数を伸ばすのは難しいことをお伝えさせてください。
また、BtoB企業であればチャンネル登録者数を追いかけるのは悪手だという点も合わせて伝えたいです。
BtoB企業がYouuTubeを通して得たい成果は、売上や採用など事業価値のある成果であり、登録者や再生回数、YouTubeでの収益ではないはずです。
だからこそ、BtoB企業が「一見魅力的な指標(チャンネル登録者数や再生回数)」に踊らされることなく、初心と強い心を持って運営し続けることが重要になります。
実際にLANYのYouTubeは、チャンネル登録者数9,000人程度でも次の項目でお伝えするような大きな事業貢献を果たしてくれています。
オウンドメディア運営でもよくある課題ですが、BtoB企業のYouTube運営でも、目にみえる(≒ 計測できる)定量指標だけで一喜一憂をしたり、事業価値を判断するのはやめた方がいいです。
淡々と続けた先にしか見えてこない大きな成果がありますので、BtoB企業でYouTubeに取り組まれる方々は、腹を括って継続することをおすすめします。
事業的指標
YouTubeのおかげで「売上」や「採用」に繋がったものを事業成果とすると、正確な計測こそできないものの、かなり大きい気がします。
特に、YouTubeが売上にもたらした貢献度はかなり高いです。
LANYにお問い合わせしてくださるお客様と商談をすると、「いつもYouTubeを見てます」「YouTubeを見てお問い合わせしました」と言ってくださる方も非常に多いです。
お問い合わせ数の拡大に繋がったのはもちろんなのですが、もう一歩踏み込むと「これまでリーチできていなかった層」からお問い合わせをいただくことが増えました。
LANYは、YouTubeの他にもTwitterやブログにも取り組んでいるため、インバウンド経由でのお問い合わせはそれなりに多いです。
ただ、チャネル別に振り返ってみて感じるのは、Twitterやブログでリーチできる層と、YouTubeでリーチできる層は、結構異なると感じます。
私は、次のように捉えています。
チャネル別の弊社のターゲティング(コントロールできる箇所)にも一定よる部分もありますが、各プラットフォームの特性として利用者層が大きく異なっている気がします。
テキスト消費を好むTwitterや検索(≒ ブログ)に存在する層と、映像や音声での消費を好むYouTubeに存在する層はズレています。
よって、YouTubeに取り組むことでこれまでリーチすることができなかった潜在層(下記の図の右側の太線箇所)に新しくリーチすることができました。
弊社のミッションは「価値あるモノをインデックスさせる」なので、新しい層にリーチすることによって、よりそのミッション達成にも近づいたと考えています。
また、リーチできる層が広がった以外の成果として、「商談時の自己紹介が不要になった(≒ 一定の信頼構築ができた状態から商談をスタートできるようになった)」点があります。
LANYは社員がそもそも少ないため、YouTubeに出演する人も商談に出る人も実際のコンサルプロジェクトに入る人も一緒です。
Twitterやブログのようなテキストコミュニケーションと異なり、YouTubeは顔や音声がわかることによって「人となり」が事前に伝わります。
その結果として親しみを持ってくださったり、信頼をしてくださったりと良いことだらけです。
もちろんBtoB企業であればウェビナーという手段も同様の目的達成につながるかと思いますが、ウェビナーへの参加検討をする前の段階にいる潜在層にも自然とリーチできるのがYouTubeの強みでしょう。
LANYのYouTube制作の体制と運用
3年間でLANYのYouTube制作の体制や運用を少しずつアップデートしてきました。
開始から1.5年間は、社員2名のマンパワー体制だったため、かなりしんどかった思い出があります。
他にメイン業務のある社員2名で品質を担保しながら定期的な動画投稿を続けるのは至難の業です。
そんな課題感から、持続可能なYouTube運用体制を作り始めました。
具体的には下記のようなものです。
ボトルネックになっていた社員の編集工数などが解消され、現在では週1本以上の動画をコンスタントに公開することができるようになっています。
体制を組むことによって工数削減だけでなく、品質改善も行われました。
たとえば、インターン生がYouTubeの動画のパフォーマンスやその他のお客様との接点(ウェビナーの質問やお問い合わせ内容など)から、ターゲット層に求められている情報を下記のように月ごとに整理して提案してくれます。
このおかげで企画を考える工数が下がるかつより刺さるテーマを選定することができるようになりました(インターン生ありがとう)
他にもインターン生がテロップ内容の確認も行なってくれています。
また、動画編集のパートナーはご依頼している作業だけでなく、動画をより良くするための提案も積極的にくださるので、我々だけでは作れなかった品質の動画になっています。
(動画編集の方とはチャンネル登録が1,000人増えるたびにオンラインでハイタッチしてます。いつもありがとうございます。)
その他のサムネ制作やディレクションも含め、多くの方の協力を得ながらYouTube運営をすることで、より成果に繋がりやすくなりました。
BtoB企業であれば、YouTubeはメイン業務からは外れるアドオンの業務になるはずです。その業務を続けていくためには、社員だけでは確実に挫折するかと思いますので、ぜひ積極的に外部パートナーを探しましょう。
ただ、体制や運用を固めようとしすぎた結果、結局YouTubeを開始できないとなってしまうと元も子もありません。
ですので、最初は我々みたいにマンパワーかつそこまで品質を求めすぎない動画の制作からスタートするのもありかと思いますので、まずは構えすぎずにやってみてください(笑)
皆さんの背中を押すために、LANYがはじめて投稿した動画も置いておきますww(正確には1本目が非公開なので2本目の動画)
ぜひ体制や運用を固める努力をしつつも、一方でまずは1本動画を投稿をしてみようという気軽な気持ちも持って始めてみてください。
BtoB企業が3年間で100本のYouTube動画を公開してわかったこと
3年間で100本の動画を公開してみて色々なことがわかってきました。
YouTubeの専門家ではないので色々悩みながら進めてきた中での気づきや学びを皆さんにご紹介できればと思います。
私的に得た学びは、下記の4点です。
BtoBとYouTubeは想像の3倍くらい相性が良い
動画としての品質はキーファクターではない
他のマーケティング施策以上にチームで取り組むことが大切
YouTubeっぽい指標に踊らされるべからず
それぞれご紹介します。
BtoBとYouTubeは想像の3倍くらい相性が良い
YouTubeをはじめる前の自分は「BtoBはターゲット層が業務中にYouTubeなんて見ないだろうし、相性悪くね?」って思ってました。
が、蓋を開けてみると想像の3倍くらい相性は良かったです。
相性が良いと感じる理由は次のとおりです。
BtoBでは「信頼感」が重要。YouTubeは顔と声が伝わるため、信頼感の醸成につながりやすい(おそらく逆もまた然り)
BtoBは検索数の少ないニッチ領域も多い。SEOなどの刈り取り系マーケ施策ではリーチできない層にもYouTubeなら受動的にコンテンツを届けることができる
BtoB企業でYouTubeに参入している企業がそもそも少ないため、ブルーオーシャン感がある
おそらくこれを読んでくださっている方々の中にも「BtoBなら広告とメルマガっしょ」って思ってる方も多いかと思います。
ただ、細かい説明は割愛しますが、YouTubeがすべてのチャネルの最終CPA(≒ CAC)を下げる働きをすると思いますし、先にあげたような利点もあります。
参入障壁は少し高いかもしれませんが、挑戦してみるだけの価値は確実にある気がします。
動画としての品質はキーファクターではない
YouTubeを始めるなら「高品質な動画」を作らなければいけないと考えてしまい、編集コストや演者の心理的ハードルが上がってしまいがちです。
もちろん品質は高ければ高いほど良いとは思いますが、私的には下記のように捉えています。
内容の品質:めちゃくちゃ重要
動画としての品質:最低限担保されていたらOK
BtoBの動画は、エンタメとして見られるわけではないので、可処分時間の奪い合い競争をする必要はありません。
あくまで情報収集のために見られることがほとんどなため、コンテンツの内容さえ良ければ、動画としての体裁はそこまで気にされないでしょう。
YouTube単体で収益化を目指すわけではないかと思いますので、コンテンツの中身をしっかりとして、最低限視聴者にストレスをかけない品質で動画が作れたら問題ないです。
他のマーケティング施策以上にチームで取り組むことが大切
YouTubeを継続的に続けるのは、想像よりも大変でした。
体制と運用の箇所でもお伝えしたとおり、1本の動画を世の中に出すまでに多くの業務と専門性が必要になります。
ブログであればライティングなので、最悪担当者一人でもゴリゴリ進められるでしょう。
ただ、YouTubeは動画編集やサムネイル作成、撮影、演者など一人で進めるにはかなり負荷が高いです。
仮に一人で進められるとしてもBtoB企業の方々で他の業務もしながらすべてをこなせるのはスーパーマンすぎます。
YouTubeを運用していくための適切なチームを組閣して進めていくことを強くおすすめします。
YouTubeっぽい指標に踊らされるべからず
YouTubeをはじめると、チャンネル登録者数が少しずつ増えてきたり、再生回数が良い動画がたまに出てきたりして、キラキラするそれら指標を追いかけたくなります。
中には、「銀の盾欲しくね?」とか言い始める担当者も現れるでしょう(私です)
BtoB企業のYouTubeチャンネルがYouTubeっぽい指標を追いかけてしまうと、再生数だけ回る動画やターゲットを広く拡張しすぎた動画を作り始めてしまうと思います。
そういった動画も時には必要かもしれませんが、本当は「数字こそ伸びなくともターゲットが必要としている動画」の方がよっぽど事業貢献度が高いです。
なんなら再生回数が伸びない動画の方が、BtoB領域では事業成果に繋がるとすら考えています。
なぜなら、再生が回らない→誰も動画として作らない→本当は需要があるのに世の中に供給されている動画がない、となっている可能性も大きいためです。
だからこそターゲットに届く再生回数の伸びづらい動画を作ることで、その動画を見て「この企業だけが私たちの悩みをわかってくれている」と思ってもらえる可能性も出てきます。
YouTubeを続ければ続けるほどキラキラした指標に踊らされそうになりますが、BtoB企業がYouTubeを続けていく中では、初心を忘れずに淡々とターゲットに刺さる動画を作り続けることを大切にすべきだと学びました。
まとめ
YouTubeを始めて約3年が経ち、動画投稿本数も100本になった節目のタイミングで、YouTube運営のこれまでを振り返ってみました。
我々はYouTube運営のプロではないため、的を射ていない内容もあったかもしれません。
ただ、YouTubeを泥臭く3年間運用してきた1つの企業の実体験として少しでもBtoB企業でマーケティング活動に勤しむ誰かの参考になればと思い、このnoteを書かせていただきました。
誰か一人でも参考になったと思ってもらえていたら何よりです。
最後にはなりますが、YouTubeだけでなく、BtoB企業の泥臭く手触り感のあるマーケティング関連の情報などを下記のTwitterアカウントで発信していますので、もし良ければフォローしてくださると嬉しいです。
▼筆者のTwitterアカウント
https://twitter.com/take_404
最後までお読みいただき、ありがとうございました!