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歴史を学ぶ

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歴史に関する記事をこちらにまとめています。
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#論文紹介

論文紹介 冷戦終結が世界的な内戦の増加の原因だったわけではない

1991年にソビエト連邦が崩壊し、冷戦構造がなくなったことによって、世界では途上国を中心に内…

論文紹介 中国の圧力に立ち向かうフィリピンの国家戦略はどのようなものか?

南シナ海において中国が領域支配の現状変更を試みていることに危機感を覚えている国の一つにフ…

論文紹介 戦争の複雑性とマーケット・ガーデン作戦の敗因

軍事学の研究では戦争の結果は完全な予測が不可能であり、複雑性に富んだ現象であると考えます…

論文紹介 なぜウクライナは1994年に核兵器放棄を決断したのか?

1991年にソビエトが解体され、ウクライナが国家として独立したとき、その領土にはソビエト軍が…

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論文紹介 1970年代に米国で生み出された軍備競争の戦略思想

戦略研究者アンドリュー・マーシャルは、ランド研究所で勤務していた1972年にアメリカがソ連に…

論文紹介 なぜソ連は1979年にアフガニスタンに侵攻したのか?

1979年12月、ソ連は国境に集結させた部隊をアフガニスタンの領域に侵攻させ、アメリカを含めた…

論文紹介 戦争のエスカレーションから抜け出せない指導者の心理を読み解く

研究者は戦争に関する意思決定過程を考えるとき、その戦争を即座に中断したとしても取り戻せない埋没費用(sunk cost)の大きさが重要であることを指摘しています。心理的アプローチで戦争の原因を考察する研究が進展したことによって認識されるようになった知見であり、例えば以下の論文は成功の見込みが乏しいにもかかわらず、指導者が戦争をエスカレートさせる理由を説明したものです。 Taliaferro, J. W. (1998). Quagmires in the periphery:

論文紹介 ジョンソン政権のベトナム政策と国内におけるエリートの統制

国際関係論の理論では、その国の政治体制のタイプが対外政策の選択に重要な影響を及ぼすと考え…

論文紹介 朝鮮戦争とベトナム戦争で米軍が消耗戦を選んだ理由は何か?

消耗戦(attrition warfare)が望ましくないもの、非合理なものと見なされることが多い主な理…

論文紹介 国際法で戦争が違法化されたことで、国際政治にどのような影響があったか?

現代の国際法の枠組みは、第一次世界大戦が終結した時点で有効だった枠組みと比較すると、まっ…

論文紹介 機甲戦の将来を大胆に予想したフラーの理論の意義と限界

イギリスの陸軍軍人ジョン・フレデリック・チャールズ・フラーは第一次世界大戦(1914~1918)…

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論文紹介 第一次世界大戦が始まる前に以前の戦術を刷新できなかったのか?

第一次世界大戦(1914~1918)に参戦した国々は、いずれも戦闘で多数の損害を出しましたが、そ…

メモ 第一次世界大戦は経済的相互依存の効果で防げなかったのか?

第一次世界大戦(1914~1918)は国際政治学の領域で特に活発な論争が続けられてきたテーマであ…

核兵器使用の恐れが差し迫ったとき、アメリカ国民はどう反応するのか?

核兵器の使用の恐れがある国際的危機に際して、普通の人々がどのような反応を示すのかを詳しく調べた研究があります。核兵器はその威力の大きさから多数の民間人に被害をもたらすことが広く知られており、アメリカの政治学者ニーナ・タネンウォルド(Nina Tannenwald)氏は広島と長崎に対する原子爆弾が投下されて以来、核兵器不使用の規範が「核のタブー」として形成され、普及し、また強化されてきたと論じています(核の使用を自制させる規範の形成を分析したNuclear Taboo(2007