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【特選映画】監督たちの"半自伝的"青春映画

"半自伝的"青春映画


  映画や小説の説明に、"半自伝的"という表現がよく出てきますが、結構、都合のよい、曖昧な言葉の遣われ方がされています。

 ノンフィクションではないけど、監督や作者の体験が大きく影響している作品がこのジャンルとして分類されているのかと思いますが、監督たちの、故郷へのただならぬ思いが、共通して、強く感じられます。

 今回は、有名実力派監督たちの"半自伝的"な青春映画の傑作・良作を何本か挙げたいと思います。



『夏をゆく人々』(2014) アリーチェ・ロルヴァケル監督

 (※現在、Amazon prime video プライム会員特典で視聴できます。)

イタリアの新進気鋭の女性監督、アリーチェ・ロルヴァケル監督の"半自伝的"作品。姉は、イタリアを代表する人気女優の一人であるアルバ・ロルヴァケルで、本作では母親役で出演しています。アリーチェ・ロルヴァケル監督は、主人公一家と同じ、トスカーナ地方の伝統的養蜂農家の出身で、『夏をゆく人々』は、監督の子供時代の一部が投影されている作品です。

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『l love ペッカー』(1998)ジョン・ウォーターズ監督

(※現在、主要な動画配信サイトにおいて、動画配信がされていません。)

B級映画の巨匠、『ピンク・フラミンゴ』 『シリアル・ママ』のジョン・ウォターズ監督の"半自伝的"作品です。舞台は、監督の出身地メリーランド州ボルチモアで、ペッカーが夢中になっているのは、8㎜のビデオカメラではなく、写真用のカメラになっています。

  ジョン・ウォーターズ監督らしい際どいネタもたくさん出てきますが、ボルチモアの街と映画への愛情を強く感じる、ハートウォーミング・コメディーです。

  この映画の主人公、純朴な青年ペッカーを演じているのが、『ターミネーター2』のエドワード・ファーロングです。だいぶ印象が違うのが分かるかと思いますが、本当の彼の良さが感じられる作品です。そして、もう一人、ほぼ同時期に撮影された『バッファロー66』(1998)のクリスティーナ・リッチの等身大の演技も見られます。


『あの頃ペニーレインと』(2000)キャメロン・クロウ監督

(現在、主要動画配信サイトで、有料視聴ができます。)

『ザ・エージェント』『エリザベスタウン』のキャメロン・クロウ監督の"半自伝的"作品です。

  15才の少年が、最もメジャーな音楽雑誌である「ローリング・ストーン」誌の記者として、ロックバンドのツアーに同行するという、ティーンエイジャーが妄想しそうな、あり得ない嘘みたいな話を体験した、キャメロン・クロウ監督自身が描く、誰にも真似できない青春映画です。

  忘れた頃に繰り返し見たくなる映画なのですが、SNSの映像が拡散することでヒットが生み出されている現在においては、もう体験できないようなノスタルジックな世界として、公開当時とは違った、新鮮さを感じさせる作品になっています。

蛇足ですが、個人的に、フランシス・マクドーマンドのイメージとして最も頭に浮かぶのは、この映画の母親役で、何か印象に残っています。

『イカとクジラ』(2006)ノア・バームバック監督

(現在、Netflixにて、視聴ができます。)

 『フランシス・ハ』『マリッジ・ストーリー』のノア・バームバック監督の"半自伝的"作品です。『マリッジ・ストーリー』は、自身の離婚の体験談をもとにしているのに対して、『イカとクジラ』は、両親の離婚をもとにした物語です。

舞台は、監督の出身地であるニューヨーク・ブルックリン地区で、ニューヨークを舞台にした映画も多い、監督の原点を感じることができる作品になっています。

   また、実質、主演と言ってもよい長男役には、まだあまり有名ではなかったジェイシー・アイゼンバーグが、起用されています。アダム・ドライバーと同様に絶妙なキャスティングが、この作品でも、よく表れています。


『レディ・バード』(2019)グレタ・ガーウィグ監督


 (現在、主要動画配信サイトで、有料視聴ができます。)

『フランシス・ハ』で、主演と脚本担当し、キャリアを確固とした、グレタ・ガーウィグ監督の長編デビュー作で、"半自伝的"作品です。舞台は、監督の出身地カリフォルニア州サクラメント。

 パートナーのノア・バームバック監督同様に、デビュー作から才能を発揮していて、アカデミー賞作品賞、監督賞、脚本賞にノミネートされています。

主演は、こちらも若手No.1実力派女優のシアーシャ・ローナンで、『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』でもタッグを組んでいます。

内容的にも、テーマが重なり、二作品を比べながら見ると、より監督の世界観が見えてくるかもしれません。


『シング・ストリート 未来へのうた』(2016) ジョン・カーニー監督


(現在、Netflixで視聴できます。)

『はじまりのうた』のジョン・カーニー監督の"半自伝的"作品です。舞台は、80年代の監督の出身地アイルランドのダブリン。

ジョン・カーニー監督は、元ロックバンドのベーシストというキャリアを持っていて、『はじまりのうた』などに見られる、音楽を通した人との繋がりを大切にするカーニー監督の原点が、垣間見れる作品です。



『mid90s ミッドナインティーズ』(2015)ジョナ・ヒル監督


(現在、主要動画配信サイトで、有料視聴ができます。)

『21ジャンプ・ストリート』や『マネー・ボール』などで有名な俳優ジョナ・ヒルの、A24製作による監督デビュー作で、"半自伝的"作品です。

舞台は、名前の通り、90年代のロサンゼルスで、スケボーを中心とした青春映画です。映像もカッコいいのですが、アメリカのストリート文化や、他のA24作品もそうですが、曲のリストを、あとで確認してしまう作品です。


『グッバイ、サマー』(2015) ミシェル・ゴンドリー監督


(※現在、Amazon prime video プライム会員特典で視聴できます。)

『エターナル・サンシャイン』のミシェル・ゴンドリー監督の"半自伝的"作品です。舞台は、ヴェルサイユ出身のミシェル・ゴンドリー監督の母国フランスで、製作会社もフランスのスタジオで、完全なフランス映画です。母親役で、オドレイ・トトゥも出演しています。

ミシェル・ゴンドリー監督の映像が繊細な理由が少し分かった気分になる映画で、14才の少年二人によるロードムービーです。

 同時期に撮影されたケミカル・ブラザーズのミュージックビデオも、フランス・パリのモダニズム建築群で撮影されています。




『ROMA/ローマ』(2018) アルフォンソ・キュアロン監督

(現在、Netflixで視聴できます。)

『ゼロ・グラビティ』のアルフォンソ・キュアロン監督の"半自伝的"作品で、舞台は監督の出身メキシコシティです。アルフォンソ・キュアロン監督の家政婦をモデルにした映画です。


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