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【第7話】全身灰まみれ! 結構ハードな火葬場職員の洗濯物事情!【下駄華緒の弔い人奇譚】


――第7話――

ぼくの母親はお化けや心霊の類いに関しては極度の怖がりで、きっと人骨なんて見た日には「ぎゃー!」っと叫びだすんじゃないかと思うほどです。
火葬場で働くと言ったときも「もぉ…変なの連れてこないでよー?」と応援しつつも複雑な気持ちだったようです。

口でもそう言うものの、実家暮らしをしながら火葬場で働いていた時は「シャツは綺麗にしとかないとみっともないでしょ!」と制服で使っている白いカッターシャツにアイロンをかけてくれていました。本当に感謝しています。


火葬場で働くと、どうしてもチリまみれになったりして服が汚れがちです。
特に、火葬炉の中の掃除は大変です。完全完璧に複数人で安全確認をした上で、実際に人を火葬する内部の炉(まるで洞穴の様でもちろん明かりもなく暗い)に入り、壁面にこびりついた油の塊のような色んなものをゴリゴリ削ったりしつつ壁面を綺麗にして、全体の掃き掃除をし終えた頃には全身が灰まみれになっている事が多々あります。特に夏場は湿気と暑さも加わり、かなりの重労働になります。

そんな日は家に帰るとすぐにお風呂に入ります。身体中の灰やチリを湯気の立つ熱いシャワーで一気に洗い流す瞬間がとても気持ちいいんです。
そして、母親がチリと灰で汚れたシャツを手でパッパッと払いながら「うわー!今日は汚れてるねー」と言います。

そうだね、それ人骨の灰だけどね…
と極度の怖がりの母親にはさすがに言えず、未だにその頃のことは言わないようにしています……。

著者紹介

下駄華緒 (げた・はなお)
2018年、バンド「ぼくたちのいるところ。」のベーシストとしてユニバーサルミュージックよりデビュー。前職の火葬場職員、葬儀屋の経験を生かし怪談師としても全国を駆け回る。怪談最恐戦2019怪談最恐位。