人気オカルト系YouTuberが綴る最恐実話怪談本!『Horror Holic School 怪奇な図書室 呪われた禁書』1話試し読み&前作の購入者特典動画を無料公開!
総登録者数23万人を抱えた大人気オカルト系YouTuberによる本当にあった怖い話第2弾!
内容・あらすじ
怪談、人怖、不思議な話…
人気オカルト系YouTuberが綴る最恐実話怪談本!
総登録者数23万人を抱えた大人気オカルト系YouTuberによる本当にあった怖い話第2弾!
「ごまだんごの怪奇なチャンネル」主宰・ごまだんご、
「りっきぃの夜話」で怪談朗読を魅せるりっきぃ、
朗読のほかオカルト、怪事件などを扱う「THC OCCULT RADIO」のメインパーソナリティー・TOMOによる書き下ろしを収録!
あわせて、彼らが運営するオカルト系投稿WEBサイト「Horror Holic School(ホラホリ)」に寄せられた怪談、人怖、不思議な話を厳選して掲載。
令和に誇るYouTuber×怪談本のネクストステージをあなたは目撃する!
試し読みの前に、前作『Horror Holic School 怪奇な図書室』の購入者特典の動画が今だけ無料公開中なので是非ご覧ください
試し読み1話
「呪いの箱」
十年以上前の話です。
私は仕事で船に乗っていました。船といっても漁船ではなく、貨物を運搬するいわゆる商船です。私が勤めていた会社はそこまで船員の数が多くないため、少ない人数で休みを回すしかなく、当時は長い時間を船で過ごしておりました。
とある港で荷物の積み下ろしをして船が離岸したのち、船員の一人が船内の通路で小さな箱を拾いました。
その箱は真四角で、両手で包めるくらいの大きさです。
材質は鉄製で緑青がだいぶ出ていて、うっすらと繋ぎ目のようなものが見えます。
振るとわずかに音がするので中に何か入っているのは間違いないのですが、開け方がわからず何が入っているのかはわかりません。
私を含め、他の船員も誰もそんなものは知らないとのことだったので、さっきの港で船に出入りしていた人が落としたのだろう、連絡があれば次の港で郵送なりすればいい、ということで船のサロンに置いておきました。
翌日から、船員たちの身内に不幸が起こるようになりました。
幸い死人は出なかったのですが、奥さんや子供が事故などで立て続けに病院に運ばれたという知らせが船に入り、身内の船員たちは次の港で急遽、休暇の人間と入れ替わって下船することになりました。
私は独り身で、両親ともに早くに亡くしているので、そういった知らせはなく、そのまま船に残っていました。
船員には男性が多いのですが、私の会社では一人だけ女性の船員がいました。
今回の騒動で、休暇中だったその女性(仮にYさんとします)も船に乗ることになり、港を離岸した翌日のことでした。サロンでYさんと談笑していると、棚に置かれたあの箱を指さし「これ、なに?」と訊かれました。
そういえば箱の問い合わせなどの連絡は何もなかったな、と思い、棚から箱を持ってくるとYさんに経緯を説明し、二人で「なんだろうね」と箱をいじっていました。
すると急にYさんが椅子から立ち上がると、おもむろに壁に頭をぶつけ始めたのです。
突然の出来事で私はフリーズしましたが、なぜか上着のポケットに箱を滑り込ませると、すぐにYさんを押さえながら他の船員を呼びました。
その間もYさんは「うぅ~っ」と低い声でうなりながら暴れています。
集まった船員たちでYさんを押さえながら寝室へ運び込むと、急に気を失ったのかベッドに倒れ込んでしまいました。
次に停まる港はそれから二時間ほどだったので、到着したと同時にまたも休暇の人間と入れ替わる形でYさんは下船し、病院へ運ばれることになりました。結局、付き添いで私も降りることになりました。
病院で目を覚ましたYさんは何も覚えておらず、大事をとって入院することになり、私はそのまま休暇ということになりました。
ようやく、ポケットに入れていた鉄の箱のことを思い出し、そういえばこの箱を見つけてからこの一連の騒動が起こっていることに気がつくと、急に怖くなりました。
知り合いに霊感の強い人がいたので、電話で相談してみたところ、
「実物を見ていないのでなんとも言えないが、念のためお祓いをしてもらったほうがいい」
とのことでBさんという方を紹介してもらい、翌日にはBさんのもとへ向かいました。
Bさんは初老の強面の男性で、私が取り出した鉄の箱を見た途端に、
「あんた、えげつないものを持ってきたみたいやな」
と声を上げました。
「この箱のことですか?」
Bさんは顔を強張らせながら言います。
「それは呪物の類やけど、そんじょそこらのものとは比べ物にならん。幸い力はだいぶ弱まってるみたいやから死人は出んかったみたいやけど、俺では対処しきれん。とりあえず預かって専門的なとこへ持っていくことにする」
「そんなにまずいものなんですか? それとも中に入っているものがまずいのでしょうか?」
「中身がこの呪物の本質で、箱を壊したりしてたらやばかったやろうな」
そう言われ、無理やり開けたりしなくてよかった、とちょっとホッとしながら、
「ちなみに、何が入っているのかBさんはわかるんですか?」
と聞くと、Bさんは声を落として言いました。
「正確にはわからんけど予想はできる。やけどそれを聞いたら後悔することになるで?」
私はそれ以上の追求をあきらめて、箱をBさんに任せました。
それ以降、私には何も起こっておりませんが、Yさんはその出来事から数ヶ月後に原因不明で急死してしまい、Bさんとは連絡が取れなくなっています。
いったい、あの箱の中身はなんだったのでしょうか?
ネットでたまたま見つけた怖い話のなかに、似たような箱が出てくる話がありました。
有名な話みたいなので好きな人は御存知かもしれないです。
材質などが違うので、同じものなのか似せて作られたものなのか、まったく違うものなのかはわかりませんが、同じ類のものだったとすれば中に入っていたものは……と考えると気分が悪くなります。
以上、何か霊的なものが出てくるわけでもなく、箱の正体もわからずじまいでなんとも言えない結末ですが、私はすごく怖かったので投稿させていただきました。
―了―
朗読動画
Coming Soon!!
著者紹介
ごまだんご
YouTubeチャンネル「ごまだんごの怪奇なチャンネル」にて怪談を主としたオカルトな話を朗読。オカルト話投稿サイト「Horror Holic School(通称ホラホリ)」をTOMO・りっきぃと設立、運営。〈怪談最恐戦〉に2度出場。共著に『Horror Holic School 怪奇な図書室』など。
りっきぃ
「季節を詠む怪談朗読」としてYouTubeチャンネル「りっきぃの夜話」で怪談を朗読。俯瞰的で冷たい印象の朗読で人間心理の奥にある根源的恐怖心をくすぐるような怖さを心掛けている。「Horror Holic School」運営。〈怪談最恐戦〉に2度出場。共著に『Horror Holic School 怪奇な図書室』など。
TOMO
豊橋でYouTubeチャンネル「THCオカルトラジオ(通称オカラジ)」を運営。Kimura(キムラ)、K-suke(ケースケ)とともに怪談朗読、怪談考察、心霊スポット探索などのラジオ動画を投稿。ほかにも未解決事件や都市伝説を扱っており、日本の未解決事件シリーズがもっとも注目されている。「Horror Holic School」運営。動画配信のほか、イベントなども開催。共著に『Horror Holic School 怪奇な図書室』など。