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怪談マンスリーコンテスト・4月結果発表

最恐賞「指」影絵草子

佳 作「花壇を覗く者」天堂朱雀
   「残り香」ミケとーちゃん
   「桜と南天」獅子九朗 

▼最恐賞作品はコチラから読むことができます

総評コメント

 2020年度、最初のお題となったのは「植物」。過去に、第9回のお題で「木」がありましたが、今回はより広く「植物」といたしました。
 結果的には、「草花・樹木」を扱った作品が中心ながらも、より自由に解釈を広げ、歌詞に花が出てくる歌、花柄の服や、葉っぱをモチーフとした物、花の匂い、葉擦れの音など、予想以上にバラエティ豊かな怪談が集まりました。お題の元にネタを持ち寄るだけでなく、ネタにお題を引き寄せるアグレッシブな投稿に逞しさを感じた回でもありました。
 最恐賞「指」(影絵草子)は、そうした傾向の作品群の中でもかなり王道からそれた、いわば辺境にある作品で、賛否両論あるかとは思いますが、怪談として引き込まれるもの、強烈な印象を残した点を評価し、選出いたしました。
 佳作は、かくれんぼの最中、紫陽花の花壇で目撃された不吉なヒトの話…「花壇を覗く者」(天堂朱雀)、古戦場のあった土地に立つビジネスホテルの夜、草をかき分ける音が…「残り香」(ミケとーちゃん)、庭に桜を植えてから家族を襲う不幸の連鎖…「桜と南天」(獅子九朗)の3作を選出。それぞれ、全体のまとまり、怪異の描写力、人物が生き生きしている点を評価いたしました。
 その他最終選考には、「竹藪の敷地」(卯ちり)「紫陽花」(ふうらい牡丹)「供養梅」(緒方あきら)「ねつく。」(音隣宗二)「ヒマワリ隠し」(鳥谷綾斗)「サボテン禍」(綾乃灯伽)「花瓶を置く」(井川林檎)の7作が残りました。
 今月は基本的な文章力に問題がないか、実話としての信憑性を疑う明らかな矛盾がないか、お題の範疇にあるか、という3点を9割がたの作品がクリアし、一次選考の通過率がこれまででいちばん高い回となりました。そこから先の選考に残っていけるかどうかは、やはり怪異のレア度、表現・描写力が重要で、最終的にはどれだけ心(印象、記憶)に残るかということに尽きると思います。ではどうすれば印象に残すことができるのかと言いますと、ひとつは絵として読み手の脳に焼き付けるということがあると思います。怪異の起きた瞬間であったり、現場であったり、話の舞台が映像として頭に浮かぶものは、脳に残りやすい傾向があります。1000字ですから、あまり細かい描写に字数はさけませんが、情景を画にする最低限の情報は入れていただきたいと思います。今回、名前が判明していない花木、ひょっとすると存在しえない植物、魔草・妖花とでも言うような植物が出てくる作品が多かったのですが、そういう得体の知れないものこそ、どんな見た目だったのか描写が欲しいところです。取材であれば、当然そこは突っ込んで聞くべきところですから、それがないと作品自体の信憑性も揺らぎます。不思議な話ほど、リアリティを追究する姿勢を忘れないでいただきたいと思います。
実際に存在する植物に限りますと、これまた面白いデータが浮かび上がりましたので紹介させていただきます。投稿作品に出てきた植物、第1位は「桜」で16作、第2位が「菊」で11作、第3位が「ひまわり」と「紫陽花」でともに8作という結果でした。「竹」「南天」なども複数の投稿がありました。いかがでしたか? 予想通りでしょうか?
 さて、来月のお題は「土地に纏わる怖い話」。これまた範囲の広いお題となりますが、怪談らしい怪談が集まるのではと今から楽しみにしております。次回もふるってご参加のほどよろしくお願い申し上げます!

5月期・募集概要

お題:土地に纏わる怖い話

原稿:1,000字以内の、未発表の実話怪談。
締切:2020年5月20日24時
結果発表:2020年5月29日

☆最恐賞1名:Amazonギフト3000円を贈呈。※後日、文庫化のチャンスあり!
佳作3名:ご希望の弊社恐怖文庫1冊、贈呈。

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