夜行堂奇譚の嗣人が故郷を舞台に描く怪〈鬼〉譚『四ツ山鬼談』著者コメント&まえがき全文掲載
雨ふれば
煤の匂い
鬼、現る
内容紹介「これを、漆喰に混ぜて塗れ」
依頼主から左官に渡されたのは小さな白磁の壺。
仕事は「ある家」の外壁の塗り直し。
「家の中には入ってはならん」
何が見えても聞こえても。
熊本県荒尾市。かつての炭鉱と競馬場と干潟の町。
雨が降れば、土地に染み付いた念が湿った煤の匂いとともに立ち昇る。
町のそこかしこに潜み、たたずみ、彷徨う黒い人。
「夜行堂奇譚」の著者が故郷を舞台に描く、奇怪な幻燈のごとき怪異譚。
これは、鬼の話である――。
・「囁く