「5年後も、僕は生きています ㊹運命の検査結果」
㊹運命の検査結果
2019年12月5日、一連の検査結果が出る日です。
果たして再発なのか。
それとも再発していないのか。
その日はさすがに、僕も「アホウ」になりきることは難しかったです。
ああ、今日だな。
今日、CT、MRIやペット検査の結果が分かるんだ。
そういう思考や言葉が頭の中に湧いてくると、思わずドキドキとしてしまう自分がいました。
そのドキドキとした鼓動がさらに気持ちを刺激して、、おお、緊張してるよ、とさらにドキドキしてしまう僕がいました。
かといって朝から緊張しっぱなしだったかと言うとそうでもなく、
こういうときは「いま心配してもしょうがない、結果を聞いてから考えよう」
という冷静な僕も、心の中でささやいていました。
先のことを「いま」悩んでも、不安になるだけで、何も出来ないことが体験から分かっていたからです。
不安は幻想
恐れはフィクション
なにかあれば、そのときにベストの対処をすればいい
そう決めておくこと
それだけです。
そのベストの対処法は、いまは、分からない。
だってどんな未来が来るか、分からないから。
だから、いま、クヨクヨ悩んでも、エネルギーと時間の無駄。
さあ、悩むのはやめて、いま、目の前のことに集中しよう。
病院には、もちろん妻にも一緒に来てもらいました。
予約時間を大幅に過ぎてから、待合室の大部屋で呼び出しのリモコンブザーが鳴り、診察室の前の長椅子に移動して妻と並んで座りました。
心臓が、ドキドキと高鳴り始めました。
僕は何に対して、ともなく、祈り始めました。
「お願いします。お願いします。どうかガンでありませんように」
そして、井上先生の顔を思い浮かべて、その言葉をイメージしました。
「大丈夫でした。勘違いでしたね。問題ありませんでした」
それを、何度も何度も繰り返して、頭の中で再生をしました。
「お願いします。お願いします。どうかガンでありませんように」
「大丈夫でした。勘違いでしたね。問題ありませんでした」
「お願いします。お願いします。どうかガンでありませんように」
「大丈夫でした。勘違いでしたね。問題ありませんでした」
「お願いします。お願いします。どうかガンでありませんように」
「大丈夫でした。勘違いでしたね。問題ありませんでした」
10分ほどそうしていたでしょうか、ふと、僕の中から湧いて来る言葉が変わったのです。
「ありがとうございます。ガンではありません」
「ありがとうございます。ガンではありません」
「ありがとうございます。ガンではありません」
その言葉がしばらく続きました。すると、また言葉がふと、変わりました。
「ありがとうございました。ガンは再発していませんでした」
「ありがとうございました。ガンは再発していませんでした」
「ありがとうございました。ガンは再発していませんでした」
「ありがとうございます」が「ありがとうございました」になり「ガンではありません」が「ガンは再発していませんでした」になりました。
不思議なことに、出てくる言葉がふたつとも過去形になったのです。
この瞬間、僕は確信しました。
ああ、もう大丈夫
過去形になった
結果が引き寄せられた
根拠は、ありません。
でも、これは直感的に確信となってやって来ました。
そしてすぐに、診察室からの呼び出しが入りました。
「刀根健さん、診察室にお入りください」
僕は妻に言いました。
「多分、大丈夫だと思う」
二人で診察室に入ると、井上先生が不思議そうな顔をして待っていました。
「どうでしたか? 検査の結果は?」
「う~ん、それが、よく分からないんです」
「よく分からない、と、いいますと?」
「私たちの今までの知見では、今回の刀根さんのケースは、ほぼ間違いなく骨の部分の再発と考えられていました。そのエビデンス得るためにMRIやペット検査を追加したのですが…」
「はい」
「MRIでもペット検査でも、ガンは見つからなかったんです」
「え? そうなんですか?」
「はい、ペット検査では、通常ガンが活動しているところが光ります。でも、刀根さんの画像ではどこも光っていないんですよ。疑わしかった座骨の部分も含めて」
「そうなんですか」
「はい、不思議なことあるものです。それで、整形外科やこういったことに詳しい先生方と打ち合わせを何度も重ねた結果、おそらく、リモデリング化と言いまして、薬の効果を越えて、骨が自己再生しているのだろう、という結果になりました。初めて見るケースです」
「薬の効果を越えて?」
「はい、骨が自己再生している、という説明しかできませんでした」
「おお、とにかく、大丈夫だったんですね」
「はい、いまのところ、最終的にドクターチームの所見としては、ガンは再発していない、との結論になりました。私としてはちょっと納得していない部分もあるのですが。腫瘍マーカのCEAや骨転移の指標のALPの数値も上がっていましたので…」
「まあ、でも、よかったです。ほっとしました」
妻も横でほっと胸をなで下ろしていました。
「まあこれで安心しないで、注意深く経過を見ていくことにしましょう」
「そうですね、はい、もちろんです」
こうして、再びやって来たピンチは去って行きました。
舟橋さんの「施術」が効いたのか、それとも最初から「リモデリング化」だったのか、あるいは僕がそういう未来を引き寄せたのか、それが全て効果を発したのか、それは分かりません。
でも、大丈夫だった、再発はしていなかった、という結果がやってきました。
ありがとうございました。
ガンは再発していませんでした。
大いなる存在よ
僕はまだ、生きていていいんですね。
ありがとうございます。
感謝です。
あれから(2019年12月)から2年半経ちますが、いまのところ、なんら問題なく寛解状態がつづいています。
その後、この骨のリモデリング化について東大病院のドクターが論文を書きたいとおっしゃったので、論文許可のサインをしました。
どこかで僕のケースが医学論文としてお役に立っているのであれば、嬉しいです。
㊺へつづく
第1話から読みたい方は、こちらから読むことが出来ます。
肺ガンステージ4からの生還体験記です。
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