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多忙な社会人が隙間時間で読むべき本をマンガだけで選んでみた (厳選20選)

株式会社ベーシック執行役員 CAOの角田(@takeshisumida_)です。

私はこれまで仕事をする中で、知識面やモチベーション面において、マンガに助けられてきたことが数多くありました。そこで、同じように働いている皆様の参考に少しでもなればと、これまでも仕事に関するいくつかの切り口で、おすすめのマンガをご紹介するnoteを書いてきました。

ただ、自分で書いておいて何なのですが、そもそも何かと忙しい社会人が、例えば30巻、40巻とあるマンガを、改めて最初から全部読むのってかなりしんどくないでしょうか?(笑)
人によっては、時間もそうだけど家族の目があるので支出的に…という観点もあるかもしれません。(我が家もです)

そこで、今回は少し切り口を変えて、シンプルに「さくっと読めるけど、それでいてストーリーがまとまっていて面白い」という観点で、おすすめのマンガをご紹介してみたいと思います。
なお、概してこの切り口の場合、色々なおすすめを入れようとした結果、中には10巻くらいのやつも混じってきて、結局さくっと読めるような読めないような…ということになりがちなため、巻数としては5巻以内で強制的に切っています。イメージとしては、

仕事の始業前や休憩時間、会社や自宅への移動時間、就寝前など、"隙間時間"の範囲の中で一気に完読できるもの」

という感じです。特に以下に当てはまる人に読んでもらえると嬉しいです。

・マンガは好きだけど、忙しくて何十巻もある作品は読む時間が無い人
・マンガは限られた時間で出来るだけ一気読みしたい人
・マンガに限らず、隙間時間で完結できるエンタメを探していた人

それでは、年間500冊以上のマンガを読んでいる私が厳選した「多忙な社会人でも隙間時間で読み切れるおすすめのマンガ」をどうぞ!

1. 彼方のアストラ

巻数:5巻
推定読了時間:100分〜125分

学校行事の惑星キャンプの途中に、謎の現象により全く知らない宇宙に飛ばされてしまった高校生達が、複数の星を経由しながら、自分達の故郷になんとか帰るための冒険が描かれているSFアドベンチャー。最初の方だけ読むと一見SFを題材に使ったギャグマンガのようにも感じるのだが、そんな範囲にとどまらず、遺伝学、生物学、宇宙工学等、様々な知識が詰まっためちゃくちゃ深い作品である。5巻というのは今回紹介する中では最も長い部類であり、隙間時間に読むには少し長い作品ではあるが、個人的に5巻以内のマンガの中では最も面白いと思っている、短編マンガの傑作。

2. iメンター

巻数:3巻
推定読了時間:60分〜75分

タイトルにもなっている"iメンター"は、最新の遺伝子工学を基に、AIが人間の全ての行動に対して的確なアドバイスを行ってくれるシステム。そのシステムが生活の軸になっている近未来の世界にて、そのシステムを管理する管制局に勤める人物達を中心に、「AIによる統制が本当に人間にとって幸せなのか?」ということがテーマに描かれているSF作品。最後は若干駆け足気味な終わり方を感じるが、AIによる支配という近い将来現実的にもあり得なくないこのテーマは非常に興味深く、もっと読んでみたかった作品。個人的にはアニメの『PSYCHO-PASS』的雰囲気を若干感じる作品でもある。

3. 懲役339年

巻数:4巻
推定読了時間:80分〜100分

"生まれ変わり"という概念が存在し、"前世"が何であったかが現世でも重視される中世風の世界が舞台。タイトルにある通り懲役339年という途方もない刑を課せられることとなった大犯罪者が刑期を全うできないまま獄中死するが、その後も何人もの生まれ変わりが同じ運命を与えられ続け、残りの懲役を背負いながら生きていくことを軸に物語が展開する。元々漫画家を目指していなかったという作者の絵は決して上手い部類ではないため、絵柄については好き嫌いが生じ得るが、それだけで食わず嫌いをしては確実にもったいない、独創的な世界観を持つ作品である。

4. マンホール

巻数:2巻
推定読了時間:40分〜50分

タイトルにもなっている"マンホール"の中で起きたとある猟奇的な事件を軸に話が展開されるサスペンスもの。若干のホラー要素も含み、画風としても比較的リアルな描写のため、グロ耐性が極端に低い人にはそこまでおすすめできないが、殺人犯と刑事の攻防、またそれにまつわる人間ドラマが、2巻という短さの中でぎっしりと詰まっており、ある意味良質なサスペンス映画を見たような気分にもなれる良作である。個人的な好みにより今回のまとめには入れていないが、作者は『予告犯』で有名であり、筆者の中では短編マンガ王と言えばという筒井哲也先生。

5. ノイズ

巻数:3巻
推定読了時間:60〜75分

過去に殺人事件を起こした元受刑者が、仕事探しにとある田舎にやってきたことを契機に、連鎖して起こる事件が描かれたサスペンス作品。藤原竜也さん、松山ケンイチさんのコンビにより今年映画化もされているので、そちらから知ったという人も多いかもしれない。前述の『マンホール』と同じく筒井哲也先生により描かれているが、猟奇的な殺人事件をただテーマ変えしたような作品では決してなく、こちらは自分達の大切な村を守るために起きた騒動と、それに纏わる人間ドラマにより焦点を当てて描かれており、また全く異なる楽しみ方ができる作品である。

6. ミュージアム

巻数:3巻
推定読了時間:60分〜75分

猟奇殺人犯と刑事との攻防を描いたサスペンスホラー作品。今回紹介した作品の中では、作者は異なるものの広い意味で前述『マンホール』と似た雰囲気を持つ作品であるが、こちらの方が遥かに犯人がサイコであり、その分グロテスクな描写も多い。しかし決してそのようなショッキングな内容自体を特徴としている訳ではなく、練り込まれたストーリー、終始緊張感がありスピード感のある展開には、ある意味壮大なサスペンスホラー映画を見たような気分にさせてくれる作品。実際に小栗旬さん主演で映画化もされているので、そちらで認識している人もいるかもしれない。

7. 伝説の勇者の婚活

巻数:4巻
推定読了時間:80分〜100分

"勇者"と聞くだけで、もういくつあるか分からない「異世界転生もの」や「なろうもの」を想像し、敬遠しがちな人も多いかもしれないが、本作の切り口はそれらとはまた異なる。ほぼタイトル通り、魔王を倒して伝説の勇者となった主人公が、次の人生として"婚活"に励むという物語。魔王討伐のその後という意味では、最近だと『葬送のフリーレン』と通じるところもあるが、こちらはより笑い路線が強め。ただその中でも感動の要素が程よく散りばめられており、個人的にはもう数名とのストーリーを見てみたかったとは思うものの、それでもこの短さの中で非常にバランスよくまとまった作品。

8. 七夕の国

巻数:4巻
推定読了時間:80分〜100分

あの『寄生獣』で有名な岩明均先生の作品。ちょっとした超能力を使える大学生の主人公が、自分の祖先と縁のある東北地方で起きたとある殺人事件に関わっていく中で、自分の能力や一族の謎を解き明かしていくSFミステリー。寄生獣の直後に書かれた作品ということもあり、相対的に低い評価をされがちであるが、本作も、超能力、民俗学、考古学、歴史学などの要素を組み合わせた壮大な世界観が、4巻という限られたボリュームの中に見事に詰め込まれている名作。当時世間の評価でなんとなく読むことを避けていた寄生獣読者の方も、単品としての観点で改めて読んでみて欲しい作品。

9. かくかくしかじか

巻数:5巻
推定読了時間:100分〜125分

東京タラレバ娘』で有名な東村アキコ先生が自身のことを描いた自伝的マンガ。恩師である絵画教室の先生との交流を中心に、大学受験、大学生活、そして漫画家として活躍し始めるまでの姿が描かれている。最近では『ブルーピリオド』にも通じる"美大"の特殊性を学ぶことができる作品でもある。連載雑誌的に男性への知名度が低いかもしれないが、笑いあり涙あり、夢に向かって努力する姿やその実現のための師弟愛が、5巻という限られたボリュームの中に凝縮されており、性別問わず幅広い層に刺さるはず。美大を目指すかどうかはさておき、自分の子供にも読ませたいと思える名作。

10. レベルE

巻数:2巻
推定読了時間:40分〜50分

幽遊白書』『HUNTER×HUNTER』でお馴染み、あの冨樫義博先生の作品。ひょんなことから地球にやってきた天才的頭脳を持つ宇宙人の王子が、様々な騒動を巻き起こすギャグマンガ。世界観や大枠の流れは一貫しているものの、基本的には数話完結の話が集まったオムニバス形式。著名な2作品とは異なりバトル的な要素はほぼ無く、ベースはギャグマンガでありながらも、SFを題材としたシリアスな雰囲気も全体的に漂う、独特かつ唯一無二の作品。アシスタントを使わず一人で描くという拘りにより、連載誌がジャンプでありながら月1連載が許されていたという異例のマンガでもある。

11. 東京トイボックス

巻数:2巻
推定読了時間:40分〜50分

弱小ゲーム制作会社を舞台に、"面白いゲーム"を作ることに全ての情熱を注ぐ主人公のゲームクリエイターが、大手企業からの要求と対立しながらも、一つのゲームを会社の仲間と共に作り上げていく様が描かれている。ゲーム業界に限らず、いわゆる"モノ作り"の葛藤をかなりリアルに学ぶことができるため、ゲームに限らず何かしら製品やサービスを提供している会社で働いている人には、是非とも隙間時間で読んでもらいたい作品。これまでのnoteでも紹介した『大東京トイボックス』の序章的な位置付けの作品でもあるため、それこそ時間の無い人はまずはこちらを読んでみて欲しい。

12. 南国トムソーヤ

巻数:3巻
推定読了時間:60分〜75分

前述『東京トイボックス』と同じく、うめ先生による作品。こちらの舞台は沖縄の架空の離島。そこで暮らす現地の少年と、留学制度を使って東京からその離島の小学校に転校してきた少年との交流を中心としたストーリーが描かれている。単なる友情物語にとどまらず、沖縄の民族学や海洋古代史、果てはリゾート開発や環境問題まで、3巻というボリュームの中に、複数の要素がとっ散らかることなく非常にバランスよく詰め込まれた作品。表紙的に?"腐"向けだと勘違いされることもあるようだが、全くそんな要素はない、読むと爽やかな気分になれる作品。

13. ナナのリテラシー

巻数:3巻
推定読了時間:60分〜75分

経営コンサルティングの会社で職場体験をすることになった女子高生が、そこの社長と共に、電子書籍や携帯ゲームのビジネスに関わる様が描かれている。作者の鈴木みそ先生自体が『限界集落温泉』という作品にて、実際に電子書籍でビジネス的に成功を収めている人であり、その実体験で得たノウハウがふんだんに詰め込まれている。出版された年代的に、電子書籍が今より遥かに黎明期であった時期が描かれているため、今の電子書籍事情とは異なる部分もあるものの、それでもその時代背景や経営コンサルティングの考え方は今でも非常に参考になる、ある意味ビジネス書的な作品である。

14. G戦場ヘヴンズドア

巻数:3巻
推定読了時間:60分〜75分

タイトルからは読み取りにくいが、テーマは"漫画"。タイトルの"G"の出所は漫画の画材であるGペンからきており、"戦場"は"線上"との掛詞になっている。偉大な漫画家の父を持つ主人公の高校生が、同じく有名編集者の父を持つ同級生と、共に苦悩しつつ漫画というものを通じて成長していく姿が描かれた作品。最終的には努力や友情といったことがメッセージとして描かれているのだが、絵の癖や主人公の言動から、特に2巻の途中までは好き嫌いが分かれるかもしれない。作者は現在は『少女ファイト』でも著名な日本橋ヨヲコ先生。

15. プラネテス

巻数:4巻
推定読了時間:80分〜100分

舞台は宇宙。宇宙開発が進むことによって生まれた宇宙ごみ、いわゆる"スペースデブリ"をテーマとして取り上げ、その回収業者が主人公であるSFもの。SFと言っても、いわゆるSFらしい派手さや迫力が売りではなく、宇宙での仕事や生活を通じた人間関係や人間の心理面などがあくまで中心に描かれている。数話で完結する複数のストーリーで構成されており、人によっては少し淡々とした内容に感じてしまうかもしれないが、全巻を通して一環したストーリー構成にもなっており、爽やかな読後感を感じられる作品。現在は『ヴィンランド・サガ』でも著名な幸村誠先生のデビュー作でもある。

16. 百万畳ラビリンス

巻数:2巻
推定読了時間:40分〜50分

タイトル通り畳が敷き詰められた謎の巨大迷宮に、2人の女子大生がなぜか迷い込み、そこからなんとか脱出する様を描いた冒険ファンタジー。主人公が極度のゲーム好きであり、ゲーム会社でバグ探しのアルバイトをしていたという特性を活かし、迷宮の法則性や抜け道を探しながら、さながらゲームを攻略するように進んでいく様には、読んでいてワクワクする人も多いだろう。単なる冒険ものにとどまらず、そもそもなぜこんな空間が作られたのかの謎を解いていくミステリー的要素も強く、予想以上に練り込まれた壮大な世界観に、たった2巻だったとは思えない読後感を感じさせてくれる作品。

17. Another (アナザー)

巻数:4巻
推定読了時間:80分〜100分

数々の推理小説で著名な綾辻行人先生の同名小説のコミカライズ版。その後のP.A.WORKSによるアニメ化も、その映像美から非常に評価が高く、アニメの方から知ったという人も多いかもしれない。舞台は地方の中学校。東京からの転校生である主人公の男子中学生と、同じクラスの謎の眼帯少女を中心に、その中学校に伝わる"死の連鎖を引き起こす厄災"の謎の解明を描いた作品。直接的な表現はほとんど無いものの、全体的にダークな雰囲気に包まれており、ジャンルとしては「ホラー×ミステリー」というのがイメージに近いかもしれない。

18. イヴの時間

巻数:3巻
推定読了時間:60分〜75分

原作はアニメ。2008年というネットでのアニメ視聴がまだあまり一般化していなかった時期に、Webアニメのみでの公開という形態にも関わらず、口コミで人気が広がった稀有な作品。アンドロイドが人間の生活を支援することが当たり前になっている近未来が舞台。人間と区別できないくらいに進化したことにより、アンドロイドへの過度な精神依存が社会問題となっている世界において、人間とアンドロイドをあくまで平等に扱うことを信条とする"イヴの時間"という特殊な喫茶店を中心に物語が展開する。近い将来起こり得る「人間とAIのあるべき関係性とは」ということを考えさせられる作品。

19. サマーウォーズ

巻数:3巻
推定読了時間:60分〜75分

あの細田守監督の同名アニメ映画のコミカライズ版。インターネット上の仮想世界で、自身のアバターを操って生活することが当たり前となっている近未来の日本が舞台。主人公の男子高校生が、夏休みのアルバイトとして先輩の女子高生の実家に訪問することがきっかけで起きた事件を中心に描かれている。あくまで映画が原作のため、今回のまとめ的には若干邪道に?感じる方もいるかもしれないが、この短さでこの内容の濃さとスピード感は、他の短編マンガを読んでいるからこそ改めて分かる凄さと言える。そういった意味で、映画未鑑賞組はもちろん、鑑賞組でも再度楽しめる作品である。

20. All You Need Is Kill

巻数:2巻
推定読了時間:40分〜50分

トム・クルーズ主演で映画化もされているため、映画の方で知った人も多いかもしれないが、原作はライトノベルであり、あの『デスノート』の小畑健先生によってマンガ化された。近未来の世界を舞台に、襲来する異星人と地球側の軍隊の攻防の様が描かれているSFバトルもの。何度も同じ時を繰り返すいわゆる"ループ"が物語の主軸となっていることが特徴。高いストーリー性が2巻という限られたボリュームの中に綺麗に詰め込まれており、それが故に心地良いスピード感と興奮を感じることができる作品。個人的には、前述『彼方のアストラ』を読むまでは、短編で最も面白いと思っていた作品。

終わりに

冒頭でも触れた通り、今回はあえて5巻以内で区切っていますが、これが巻数が数巻増えただけで、また名作は一気に増えたりします。
「あれ入ってなくないですか?」と皆様が思った作品の多くは6巻〜10巻あたりに位置していたりする気がします。10巻以内だと、個人的にはやはり今でも『寄生獣』が一番好きですね。

マンガは決して作者の好みだけでは描けず、商業的な観点も非常に強いので、基本的にはある程度長くなりがちですし、逆に短いものは、結果的にいわゆる"打ち切り"となった作品も一般的には多いんだと思っています。

だからこそ、短いボリュームで収めることが元々想定されていた、もしくは裏側では途中で止められた経緯が仮にあったんだとしても、短い巻数で綺麗にまとまっている今回ご紹介したような作品は、極めて貴重な作品であると感じています。

短編のマンガで、今回ご紹介した作品以外の名作がもしあればぜひ教えてください! Twitterでもたまにマンガのことを呟いていますので、よろしければフォローしてもらえると嬉しいです!

https://twitter.com/takeshisumida_

今後も何かの切り口でマンガをご紹介していきたいと思います。最後まで読んでいただきありがとうございました!

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