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❖デタラメなデカルトーク【セッション5】❖ まいに知・あらび基・おもいつ記(2024年6月10日)

(デカルトの著作を使ってタラタラとデタラメな考察)

【記事累積:2062本目、連続投稿:995日目】
<探究対象…デカルト、哲学、現象界とイデア界、プラトン、魂と肉体>

【課題の設定】…本日の一文で特に考えたい部分です。
本日の一文は、デカルト著『方法序説』の序文です。「(前回の文のつづきから)第五部ではわたしが探求した自然学の諸問題の秩序、とくに心臓の運動や医学に属する他のいくつかの難問の解明と、われわれの魂と動物の魂との差異、・・・(一文が長いので今回も途中まで)」。ここで、「ナゼ(疑問を持った)・ナゾ(気になった)・アンテナ」に反応した部分は、「われわれの魂と動物の魂との差異」です。本日はここを中心に考察します。

【情報の収集】…出てくる言葉の意味・定義などをいくつか確認してから考察を開始します。

「魂」は、昔から生き物の体内に宿るもので、心の働きをコントロールする役割を担うと考えられてきました。有形のように描かれることもあれば、エネルギーのように捉えられることもあります。
「動物」は、生物を2つに分けたとき、植物と対になる存在として考えられます。植物は自ら自由に動くことがほとんどできないもので、多くは光合成をおこなっているものを指します。これに対して動物は自由に動くことができ、植物を含めた有機物を栄養として摂取して生命を維持している存在です。
「差異」は、2つ以上の対象について、それぞれを比べたときに明らかになる異なっている点のことです。

【整理・分析】…考察で活用した「考える技法」や「シンキングツール」と呼ばれる類のものの確認です。
○オイラー図…「われわれ」と「動物」という概念の関係性。

【まとめ・表現】…実際に考察した内容を綴ります。
本日気になったのは、「われわれの魂と動物の魂との差異」という部分に登場する概念の関係性です。

この部分の最後に出てくる「差異」という言葉は、2つ以上のものを比べることで明らかになるものです。そして本日考察する部分には、「われわれ」と「動物」という比較対象が登場します。

ここでいう「われわれ」とは「人間」を指していると考えられます。しかし「動物」という概念には、人間も含まれるのではないでしょうか。人間は四肢など身体の機能が脳の指示どおりに働く場合には、他の動物と同じように自由に動くことができ、様々な有機物を摂取して生きています。この点からは人間と動物との間には差異がないようにも思えます。

しかし古代ギリシアの頃から人間が他の動物と一線を画する要素とされているのが「理性(ロゴス)」です。これによって人間は、「本能・情念(パトス)」に従って生きる他の動物と区別されてきました。すると「われわれ(人間)と動物との差異」は「理性(ロゴス)」の有無という捉え方により、既に明白に思えます。

本日考察している文章が、行為主体としての「人間」と「動物」との比較についてだけを指しているならば、確かにその明白さによって話は終わりという気もします。ただ、本日の一文は行為主体の比較ではなく、行為主体同士の「魂」を対象とした比較を問題としています。

ここについて、われわれ(人間)と動物という行為主体に間に既に差異があるのだから、それと繋がりを持っている魂それぞれも差異があるのは当然だという主張が出てくるかもしれません。

けれども、われわれ(人間)と動物という一種の入れ物に違いがあるから、その中身も当然に違いがあるとは言い切れないと思います。人間と動物という入れ物としての肉体は、不完全で有限な現象界(現実世界)に根付いたものです。これに対して「魂」はプラトンによれば、もともと完全で永遠なるイデア界に存在していたものです。その「魂」は、出生によって、現象界に根付く肉体という牢獄に閉じ込められたとプラトンが考えたように、魂はもともと人間と動物それぞれの内側に宿っていたものではないのです。

そう考えると、人間と動物それぞれの肉体に閉じ込められる以前、イデア界に住んでいた「魂」というものが、イデア界にいて肉体と関わりを持っていない時点から既に人間の魂と動物の魂というように区別されていたのだという説明は、順序があべこべな気もしてしまいます。

聡明なるデカルトのことですから、プラトンを始めとした古代ギリシアの思想を正しく理解した上で、「魂」というものについて考察しているのは間違いないと思います。ならば、魂が先で人間や動物という入れ物が後という構造を踏まえながら、デカルトはどのように両者の魂の差異を論じているのでしょうか。まだ序文の段階なので、当の考察部分にたどりつくのにはかなりの時間がかかりそうですが、どのような展開なのか今からとても気になります。

#探究   #探究学習
#哲学   #デカルト

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