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アンラーン💣リラーン📚ためらわん♫run50

⭐追加の良し悪し、削減の良し悪し(その1)⭐️
(これまでの虚栄を解きほぐす「unlearn」のため、頭の中を刷新する「relearn」を躊躇なく進めるための記録)

授業準備に追われているとき、怠惰な自分が耳元で囁くことがあります。
「以前の板書案をそのまま使っちゃおうよ」

意志の弱い私はその悪魔の誘いに乗ってしまうことがけっこうあります。
そうして以前の板書ノートや実際の板書を振り返ってみると、上手くまとまっていてそのまま使えるので時間短縮となることもありますが、逆に困ってしまうときもあります。

それは以前の板書の情報量が非常に多く、また当時から時間が経っているため、その情報が現在でも通用するものなのかであったり、現在の授業展開では情報過多ではないかと感じたりして、そのまま使うことはできず、この板書内容を使いこなそうとすると普通に授業準備する以上の時間がかかるということです。

手抜きのつもりで以前の板書を振り返ったにも関わらず、以前の自分の頑張りに圧倒され、へこんでしまうことも少なくありません。また、時には当時の自分の頑張りは認めるものの、これだけの情報量を伝える必要があったのだろうかと、過去の自分に対する反省の気持ちが生まれることもありますね。

授業時間は45分や50分というように限られています。そして情報を受け取る児童・生徒もそれを見ればよいわけではなく、写すとすれば書くための時間が必要ですし、単に写して終わりでは授業とはいえず、それについて疑問を持ったり考えたりする時間も大切です。そう考えると、とにかくたくさんの情報を黒板やホワイトボードに書き込めばよいわけではなく、「限られた授業時間の中で伝える情報をどのように取捨選択しながら実際に伝えていくか」が教員には求められていると思います。

そのため、単に多くの情報が示されれば素晴らしい授業・素晴らしい板書になるわけではないということですね。一方で、当時の自分の力量では扱えなかった情報を新たに追加する場合もあります。ここから情報の追加には「良い追加と悪い追加」があるといえます。

それから、以前の情報が今の自分では上手く扱えないからといって、単に情報を減らすことは後ろ向きの行動です。本来ならばしっかり勉強し直して、情報を減らさないようにすべきですね。一方、限られた授業時間において、その情報が「蛇足」であると感じられる場合には、逆に情報を減らすべきです。

このように、伝える情報について「追加の良し悪し、削減の良し悪し」が授業ではついて回ります。

「幸福は両極端の中庸に見出される。」
これは古代ギリシアの哲学者アリストテレスの言葉です。
彼は、徳というものは過度でも不足でもない中庸の状態において実現すると考えました。例えば、挑戦する気持ちが過度であると「無謀」となり、不足していると「臆病」となってしまってどちらも適切ではありません。そしてアリストテレスは挑戦する気持ちが適切で理想的なとき「勇気の徳」が実現されると考えました。

情報の扱い方についても同じことがいえると思います。情報の扱いが過度であれば「蛇足」となり、それが不足であれば「手抜き」となってしまいます。

手抜きという怠惰な気持ちで、以前の板書を振り返ったつもりが、そこには深い論点がありました。この論点については、最近の板書と以前の板書を比較しながら、その中身についても考察していこうと考えています。(どのように中身が変化し、その意味するところは何かが【課題の設定】。これまでの板書の振り返り自体が【情報の収集】、それぞれの比較が【整理・分析】。そしてこのコラムが【まとめ・表現】。)

今日の画像は、高校倫理の「朱子学と陽明学」の板書です。2009年の板書はかなり細かい情報になっています。しかし2022年(去年)の板書は端的に両者のキーワードを羅列するだけになっています。実際に説明に要した時間が同じではなかったり、使っている教材も違ったりするので、他の条件を一定にした上で板書が異なっているわけではありませんが、2009年→2012年→2022年の流れではできるだけシンプルに情報を伝えようとしていることが分かります。

そこには、情報の優先順位を考えず、伝えたいことの全てを平面的に書き込むと、児童・生徒が消化不良に陥るとの反省があったと推察できます。その結果、去年の板書では朱子学と陽明学を比較するための「核」となる情報に焦点を当て、それ以外については口頭説明や教科書・資料集の確認に切り替えたわけです(以前の板書で何とかなるかなと、怠惰な気持ちで振り返った部分は否定できませんが)。

ということで本日の考察はここまでにいたします。

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#哲学   #アリストテレス

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