マガジンのカバー画像

ショートショート広場

195
一話完結〜数話完結の短編集を載せています。 あなたの息抜きのひとつに添えて頂けたら嬉しいです。
運営しているクリエイター

#文学

【小説】 第二秘書浅見賢太郎 【Ⅳ・最終回】

 浅見は第二秘書着任早々、中学時代より崇拝する正文学会会長・吉原大源と丸一日に及び行動を…

大枝 岳志
13日前
5

【小説】 第二秘書浅見賢太郎 【Ⅱ】

第一話はこちら 校則で禁止されていた宗教勧誘を行ったことが原因で停学処分となった正文学会…

大枝 岳志
2週間前
4

【小説】第二秘書浅見賢太郎 【Ⅰ】

 ここに、とある人物の手記がある。  決して上手いとは言い難い文字や文章を見る限り、日記…

大枝 岳志
2週間前
9

【小説】 夢の街 【ショートショート】

 ガラクタの山、冴えない通り、曲がり角に立ち続ける古びた娼婦が男に声を掛けた。 「どうせ…

大枝 岳志
2週間前
10

【小説】 操り人形の宵辺

 高校卒業前、同窓会連絡簿に載せるための就職先は何処かと、担任に何度も聞かれた。就職にし…

大枝 岳志
3週間前
8

【小説】 木になった日 【ショートショート】

 ちょうど雲が切れるように、熱を持った飴が千切れるように、繋いだ手が離れる瞬間のように、…

大枝 岳志
1か月前
10

【小説】 誰が為に、 【ショートショート】

 三十五歳を過ぎた頃から、人と関わりを持つことが極端に億劫に感じるようになった。  一円にもならない同僚達との世間話、聞くだけで実感のない友人達の平凡な生活の話、時折電話が掛かってくる母親から聞かされる愚痴の数々。  それら全てに興味のあるフリはいつの間にか限界を越え、俺の心はその形を少しずつ少しずつ、溶かして行った。  産業医に相談したら「鬱病ですね」と言われ、心の麻痺の原因かもしれないと思い始めていた営業の仕事を辞めることにした。  それから友人達の連絡先を削除して、誰

【小説】 勿忘草を探して 【ショートショート】

 庭に咲く季節の花々は、朝から気持ち良さそうに顔を並べている。  妻の趣味で我が家の庭に…

大枝 岳志
1か月前
8

【小説】 芥地獄の観音様 【4万字】

 歯痒い季節なんてのはよ、とっくの昔に過ぎ去っているんだ。  俺の人生はこの歯と同じよう…

大枝 岳志
1か月前
16

【小説】 病名「いい人」 【ショートショート】

 浜本青年には幼い頃から決して揺るがない、とある信念があった。  それは、いつどんな状況…

大枝 岳志
2か月前
10

【小説】 遠くの箱庭 【ショートショート】

 列に並ぶ人の顔はどれもこれも、杞憂を塗りたくったような蒼ざめたものだった。  コンクリ…

大枝 岳志
2か月前
14

【短編小説】 瞬きする魚 

 アパートへ帰る途中、フードを被った黒ずくめの怪しげな青年と擦れ違った。  青年の目は魚…

大枝 岳志
2か月前
20

【小説】 骨枯らす風 【ショートショート】

 到着を知らせるチャイムが延々と続いているが、一分近く経っても目的の電車はホームへ姿を現…

大枝 岳志
2か月前
10

【小説】 雨ざらしの夜に 【ショートショート】

『野原様。お世話になります。 寮費の前払いの件ですが四月、五月の二ヶ月分の入金を確認致しました。 入寮当日はどうかくれぐれも気を付けてお越し下さいませ。 新宿駅に到着されましたら、ご連絡下さい。 萩原』  大田区での仕事をする為、生まれて初めて東北を出た。  私は四十五を迎え、まだ屋根にさえ雪が残る実家を父方の親類よって叩き出された。  当の父はとっくに死んでいたが、一昨年に亡くなった母の遺骨を墓に入れず、部屋にそのままにしていたことを激しく責められた。  実家は親類に