Flags and Stadium, and You
(2001年9〜10月撮影)
4年余り勤めた会社を辞めて2週間後、アメリカへ向かいました。この春にデビューしたイチロー選手や野茂投手を観ながら、今後どう生きてゆくのか、ぼんやり考えるつもりでした。
到着後まもなく東海岸で惨禍が起き、メジャーリーグも中止、アメリカが、世界がどうなってゆくのか、緊張した日々が始まりました。飛行機も飛ばず、長距離列車も止まるなか、長距離バスに乗ってシアトルに向かいました。現地に住む友人がチケットを取って、待ってくれていたのです。
1週間後、野球が観られる日々が訪れました。動き出した長距離列車を駆使して東へ西へ、出来る限り野球を観ました。そして球場でも街の至る所でも、星条旗をたくさん目にしました。非常時における人々の感情の起伏に触れる事もありました。
カメラを触り始めて間もない頃、その空気や感情のさまを少しでも思い出す糧にしようと、拙いながらもシャッターを切りました。この出来事がなければ、その後写真の道に進んでいたかどうかわかりません。まもなく27歳になろうかという時期でした。
随分と時間は流れ、野茂もイチローも引退し、私もそれだけ歳を取り、いくらかの作品を創りました。私の道はまだまだこれからです。カメラを手に歩いていけば、また色々なことに巡り会うでしょう。
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