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蔵と醸しのまち 〜喜多方ワーケーション日記 ♯1〜


はじめに

はじめまして、FLY DESIGN Inc.の山本 武司といいます。
私はデザインを生業としています。
モノやサービス、企業に対して物語や世界観をつくって価値をわかりやすく伝え、価値を高める。ざっくりとですが、そんなような仕事をしています。

私はこれまで旅をしながら合間に仕事をするというスタイルは自然にやってきた方だと思います。
今回ご縁があり「港区連携自治体ワーケーション促進事業」という枠組みの中、初めて“ワーケーション”というものに参加させて頂きました。

じゃぁそもそも何故わざわざ“ワーケーション”に参加したのかー
自分の中に何か地域と関わりたい、地域の発信や発展に自分のクリエイティブな要素を掛け合わせられないだろうか、そんな想いがあり昨年辺りから徐々にその意識が芽生えはじめていました。
それを常日頃から思っているからこそ、私のアンテナがこのプログラムをキャッチしたんじゃないかと思っています。

また特に意識をしていなかったのですが、これまで旅をするといったら何故だか西日本が多かったんです。
これは自分のルーツが四国にあるということもありますし、関西に本社がある会社にも長く勤めた経歴もあってか、潜在意識的に西側と気質が合うのでしょうか、とにかく西側に行ってしまう習性があったんです笑

この「港区連携自治体ワーケーション促進事業」の中には北から西まで15自治体のプログラムがありました。
ざっと目を通した結果、せっかくなら今回はあえて自分から遠ざかっていた東北に行ってみようという気持ちになりました。

その中でも一度縁があって伺ったこともある福島県喜多方市さんに立候補。
北海道は一昨年行ったが東北は。。。 いや実に5年前に旅した会津と喜多方ぶりの東北だなと改めて気づきました。
(元号が令和に変わった直後の5月の連休、会津若松のとあるBarで領収書をもらったときに、オーナーが「初めて令和で領収書書きました!」って私も「初めて令和の領収書をもらいました!」っていうたわいの無いやりとりを何故だか覚えていました笑)

久々に目にした新鮮なカラーリング

初めての“ワーケーション”、お久しぶりの東北。
そんな新鮮な旅と感じた記録を先ずは書こう、これは自分にとってもアーカイブしなければならないという想いでnoteを始めてみました。

これを機にこれからもこんな日々の記録や学び、感じたこと共有したいことを綴っていきますので、大らかな目でサラッと目を通して頂けたら嬉しいです、どうぞよろしくお願いします。

『蔵と醸しのまち喜多方』

お久しぶりの東北、喜多方市。
北から南まで数ある自治体プログラムの中で喜多方市を選んだのは自治体紹介シートにこのフレーズがあったから。
歴史や伝統、古いものや醸造というものにアンテナを立て生きている自分にとってはかなりドンピシャなフレーズだったと思う。

参加に手を挙げた時点では、この蔵と醸しというフレーズが後にこんなにも興味を引く言葉であるとは思っていなかった。

もう一つは『協創』というポジティブワードがあったから。
次世代を担う地元若手経営者との接点を持つことを希望したものの、
こんなにも喜多方のキーパーソンと連日連夜濃厚な時間を過ごすことができるとは思わなかった。

まずはランチを兼ねたオリエンテーションから。
最初に知ったのは、同じ会津地域でも会津若松と喜多方ではどうやら性質が違うらしい。
武家色が強かった会津若松に対し、喜多方は商人の街として栄えてきた。
そうか、商人というのはオープンじゃないとやっていけないし、オープンマインドじゃないと新しいビジネスは作れないんだな、この時はそのくらいのことしか思えなかったが。。。

喜多方の伝統工芸でもある漆器職人の工房だった蔵を改装したカフェ

仕事は自分たちでつくるもの

一番印象に残っている言葉は「仕事は自分達で作らなくてはならない」ということだ。

喜多方と言えばラーメンの印象が強いが、ラーメン店も生き残っていくにはまず地元の人達に受け入れられないと厳しいようだ。それは厳しい冬に観光客だけでの集客だけでは冬は越せないという単純かつ明解な理由だった。
夏は暑く冬は積雪が厳しい会津盆地であるが故に、この死活問題はラーメンだけではなく喜多方のどの商売にも言えることのようだ。

その問題を教えてくれたのはAPJ(アイズピーナッツジャパン)株式会社代表の松崎氏だ。
あるきっかけで豆屋からはじまったこの会社は、地元の農家さんの為や自分達の資源である会津産は何かを突き詰めた結果、また冬の仕事を作るということから「ピーナッツを栽培する」ということから始めた方だった。

会津にあるいい水、いい土や温泉などの観光資源以外にも、空き家や空き農地なども資源と考え、そこに自分のストーリーでもある豆(ピーナッツ)を植えたら本当の資源になるんじゃないかと思い始めた事業だった。

収穫後、冬の間に丁寧に手剥き作業をする。それは授産施設でも行われ雇用につながり、乾燥や焙煎をする施設では支援学校と連携し新卒採用にもつなげている。
農福連携を大切にしているほか、100%会津産にするために農家さんが安定収入を得られるよう、契約団体を作り農業機械を共同購入したりと仕組みを整えた結果、契約農家さんも徐々に増えてきているようだ。

今では落花生の販売や卸しを軸に豆菓子やスイーツなどの商品展開、いわゆる6次産業にも力を入れている。ビジョンとしては熱田温泉にあるピーナッツセンターを軸に体験農場やカフェなどを作り“ピーナッツパーク”を作ることだという。

自分達の資源を活かし自分達で仕事を作り、100%会津産のブランドを作っていこうとしている。
まさに“オール喜多方”だ。
商人気質ということもあって、独立心が非常に強い方だなと思った。

会津産ピーナッツを軸に、様々なユニークで美味しい商品を精力的に展開

だが次に訪れた大和川酒造さんは、さらにスケールの大きい“オール喜多方”だった。

#2へつづく


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