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「タイムマシン」を買った

さあ〜♪   
そのスイッチを ちょいと昔に回せばぁ〜♪

十字路で信号が変わるのを待つ間、
繰り返し、わたしの頭の中で再生されている曲、

サディスティック・ミカ・バンド。
「タイムマシンに〜お願い」


目の前の信号は、青に変わった。
曲につられて、
頭のスイッチを、ちょいと左に回してみた。

横断歩道を直進するのを止め、
左折してみることにした。

どうせ、目的地のない散歩なのだ。



それから数分間、
わたしは曲に合わせ、時間の螺旋を歩いていた。


曲が終わると、
わたしは、とある店の鏡の前で、
古着に袖を通していた。


袖には、小さな穴が空いていた。

でもそれは、
布が欠けているのではなく、
「経過した時間の模様」に見えた。


所々にペンキが付いていた。

でもそれは、
汚れではなく、
「その服が働いてきた跡」に見えた。


鏡の前でわたしは、
2022年に戻ってきた、
そして確信した。

タイムマシンって、

買えるじゃん!


そこは、古着屋である。
でも、ボロ着屋ではない。

「着ることのできる、経過した時間」
が買えるお店だ。

経過した時間には、
・熟れ(コナレ)が入ってる、
・ヤレている。
・良い感じで発酵している。


形あるモノには、
時間が経過すると、
・腐るモノと、
・発酵するモノがある。

自分も、
出来ることなら、
腐るよりは、
発酵していけたら良いなぁと思う。

新しい服で、
「新鮮さ」を纏(まとう)のも良い。

でも、
古い服で、
「熟れ」を纏う(まとう)のは一味違う。


その服が生きてきた分だけ、
自分の年齢に上積みすることがでる。


30代が、10年生きてきた服を着ると、
40代の熟れを纏える。
すると、
呼吸が変わり、風景が少し変わる。
10年未来へ行くからだ。


その服が生まれた時代にスイッチを回せば、
100年前を纏うこともできる。
時間の流れ方が変わり、風景が一変する。
100年前の過去へ行くからだ。

古着って、
ヴィンテージって、

タイムマシンじゃん!


好きな時代に行けるわぁ アッツ ア 〜 ♪
時間の螺旋をひと飛びぃ イッツ イ〜 ♪


頭の中で、
また
サディスティック・ミカ・バンドが流れ出す。

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