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🇹🇼【台湾】東海岸で泣く@台東 2014

高雄でくさっていた。
台湾に訪れたのももう5回目くらいだろうか。

最近はもっぱら台北でなく、高雄に来る事が定番になってきた。

少しでも南国情緒に浸りたかった。

でも、今回の旅は日本でのあれこれを全て忘れたくてやってきた。

「もう、台北も高雄も飽きた」

台湾は北と南を新幹線でつないでいるが、南から東側の丘陵地へはローカル線しかないし、時間もかかるので、不便極まりなかった。

「もう、このまま台湾を一周するか」

駅弁を買って古びた汽車に乗り込んだ。

ホームだ。台湾旅行者の間では、「台東、花蓮まで行けば立派な台湾マニアだ」と言われる。

足掛け約5年の台湾との付き合いだ。
ついにマニアの仲間入りか。

新竹に住む台湾の知人が切符の買い方を細かく指南してくれた。Facebookでそんな事も容易に連絡できた。

台湾の駅弁。500円もしなかった記憶。
「台湾ビントー」と発音する。

ベントウはそのまま台湾に根付いた日本語だ。

実にシンプルだ。
だけど独特の香りがする。
台湾の路地でただよう匂いがそのまま弁当箱から溢れた。

絶景だった。
駅弁を平らげた私は汽車の連結部へ出て、窓から外を眺めた。とても遠くに来た気分がした。

「ここまで来れば全てを忘れられる

だか、そうはならなかった。

スマホをみる。
すると、大事な人から、大事な用事のメッセージを受信していた。

開いてしまった。
読んだ事を後悔してしまった。

さっきまでの絶景はとても悲しい夕焼けに見えた。泣いてしまった。過去10年以上泣いた事など無かった。自分で驚いてしまった。

「早く降りたい」

台東に着くなり、ゲストハウスへ急いだ。

ゲストハウスはすぐに見つかった。
そこは猫だらけの猫ゲストハウスだった。

ドミトリーしか空いてない、と言う。
もう、どうでもよかった。

部屋に入る。
ベットが三つ並んでいた。

ショートパンツ姿の金髪の若い女性が濡れた髪をドライヤーで乾かしていた。あぐらをかいてリラックスしている。ベッドには超巨大なザックが放り投げてある。

「Hi, hello〜. I'm from England」

私は相当狼狽してしまった。
男女混合のドミトリーだった。

ーータケシ

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