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辻井伸行の個性

人間の可能性に限界はない

    少しでもピアノやクラッシック音楽に興味がある方なら、辻井伸行の名前を知らない人はいないであろう。
    日本が世界に誇るピアニストの一人で、世界的なピアノコンクールで何度も優勝し、コンサートを開けばチケットは即完売するなどクラッシック界の音楽家としては異例の人気を誇る。
    ただし、この方は生まれながらの全盲というハンディを抱えている。
    しかしその演奏を聞けば、本当に目が見えないのだろうかと思うほど、その演奏は繊細でありながらも力強く、かつ聞く者の心をつかんで離さない何かを持っている。
   まるでピアノそのものが生きて奏でているような錯覚を覚える。 
   私は、この方がコンサートの最後でアンコールでよく弾く
               ラ・カンパネラ
という局が大好きである。
    この曲は、ピアノ曲のなかでも10指にはいるほど難易度の高い曲らしく、その指使いを見ているだけで、彼の才能の高さを感じずにはいられない。
    その演奏は、ユーチューブ動画で
              辻井伸行  ラカンパネラ
とでも検索すれば見ることができるが、この曲の物悲しいメロディーは、彼の繊細なテクニックで一層引き立てられ、何度聞いても感動して涙を禁じ得ないのは私だけだろうか。
    
   先ほど私は
              全盲のピアニスト
と紹介したが、それは彼にとって失礼にあたるかもしれない。
    目が見えないことは、単なる彼の個性でしかなく、全盲と紹介すること自体がおこがましいかもしれない。
   現に彼は、いろいろなコンテストで賞を獲得しているが、そのようなコンテストは、障害によって出場者を区別しておらず、健常者と同じ土俵で評価しているからだ。 
   彼を見ていると、人間の可能性について、底知れないものがあることを気づかされ、見る人に生きる勇気さえ与えてくれる。
   本当に偉大な音楽家だと思う。 
   彼と同じ時代に生きられて、その演奏を聴けることだけでも幸せである。
   人間には、視覚、聴覚、触覚、嗅覚 、味覚という五感があり、これに加えて精神的、肉体的な疾患がないことを持って健常者としているようだ。
   そして世間では、そのいずれかが欠ければ勝手に障害者と区分するらしいが、辻井伸行をはじめ、各界で活躍している障害者を見ると、どうも彼らには、神様が健常者にはないプラスアルファを与えたような気がしてならない。
   障害というものは、それを持つ人にとっては、単なる個性なのかもしれない。


  


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