日本の大手メーカーの残念な仕事のやり方

今回は「日本の大手メーカーの残念な仕事のやり方」というテーマで話をします(引用元)。世間でいう一流企業であっても、実務レベルではお粗末な事例があります。採用面接という狭き門を突破したエリート集団のはずが、その仕事ぶりにガッカリすることがあります。今回はそんな事例を2つほど紹介します。


事例1)グローバル拠点をコントロールできていない

30年前は世界で影響力のあった日本企業ですが、今ではインパクトを残せなくなった会社がたくさん存在しています。そんな会社でも、過去の遺産のおかげで各国に拠点を構えています。肥大化した本社を日本に構え、各国をコントロールしようとしています。

国が違えば商習慣や文化も違います。日本の考え方を押し通すこと自体がナンセンスなのですが、グローバル化できていない会社はたくさんあります。外から見ていて「愚か」としか思えない出来事があるので紹介します。

2つのグローバル企業がありました。1つは日系企業、もう1つはドイツの会社です。それぞれの拠点は次のようになります。そこで小さな問題が発生しました。当事者はA)とD)です。
A)ドイツ企業のドイツ拠点 (当事者)
B)ドイツ企業の日本営業拠点 
C)日本企業の日本拠点 
D)日本企業のドイツ拠点 (当事者)
問題が起きてやり取りしているのは、A)と D)です。そこへ C)が関与してきます。 C)とD)でやり取りをするなら納得できます。ところが、C)が D)をコントロールできません。そこで C)は何をするかというと,B)に問い合わせるのです。全く情報を持っていない B)に話をするのは理解できませんが、言葉が通じて同じ国民性である「言いやすいところ」を探して問い合わせるのです。B)にしてみれば、完全な迷惑行為です。上記は一例ですが、日系企業の世界中の拠点で同じようなやり取りがされています。時代遅れのような仕事のやり方に思えます。自社の拠点をコントロールできない会社が、世界各国に拠点を構えているのです。


事例2)面倒な業務を下請けに丸投げ(本質的な業務含む)


以前私は生産技術をしていたので設備仕様を作ることがありました。
量産設備は特注品が多く、「どんな設備を作りたいか」という情報をまとめたものが設備仕様書になります。設備仕様書の品質が悪ければ、設備設計ははかどりませんし、そもそもいい設備はできません。例えるなら、目的地がわからないのに前に進むようなものです。

本来発注側が仕様を準備するべきですが、できない担当者がほとんどです。そこで彼らは、下請けである設備制作会社に仕様作成を依頼します。完全な本末転倒ですが、こういう事例も見かけます。仕様準備などは、エンジニアの業務の本質です。ところが、残念なことにその本質的な業務をこなせない状態になっているのです。

私なりに考えましたが、以下の理由だと考えています。

理由1)仕様書を準備したことがない(だからできない)
そもそもやったことがない仕事をするのは簡単ではありません。
設備仕様の作成経験がなく、何年も経ってしまうと「自分にはできない」という意識が根付いてしまいます。日本は国内の設備投資自体がほとんどないため、本社に所属している技術者は、現場を知らない、設備を知らない。仕事のやり方を知らないサービスマンになってしまうのです。

理由2)日本特有の顧客至上主義の文化
買い手が優位であるという錯覚です。
あとで仕様を変更できる(最初に仕様を決めていなくても何とかなる)、常に自分の立場が強いという間違った認識です。もちろん、こんなやり方ではいいものはできませんし、買い手が必ずしも有利であるわけでもありません。 残念なことに、有名企業に所属していると会社名や立場を利用できると錯覚している人は一定数存在します。


もう1つ事例を紹介します。設備の機種交換手順書の作成を要求する事例です。
機種交換方法などは、設備構想段階で確認すべき内容です。また初期の立ち上げ時点でも何度も機種切り替え確認をします。わざわざわざ取引先に手順書を依頼するまでもなく、技術者あるいは製造部が必要な社内文書として作成します。ところが、中には平気で設備メーカーに手順書を依頼する大手企業の担当者もいます。


(そんな仕事まで外部に丸投げしているので)この部署の人間は普段何の仕事をしているのか、と思える仕事ぶりです。こういう仕事のやり方をする人物は、相手の工数をタダだと勘違いしています。(もちろん、こんな面倒な依頼をする人物の仕事振りは優秀ではありません)


適者生存という社会構造が近づいている


上述したような「もたれあいの仕事のやり方」はどんどん淘汰されていくでしょう。 世界はますます効率化の方向へシフトしています。DXやIoTという言葉が取り上げられている通り、業務効率化はこれからの課題であり、トレンドです。

生産設備を自動化する、製品図面を3Dにするといった設計部門や製造部門だけでなく、仕事のやり方全体が大きく変わろうとしています。すでにサプライヤチェーンでは共通の発注データベースを取引先間で共有していたり、SAPにより部品在庫や経理業務が自動化されています。グローバル化した昨今では、海外のサプライヤとやり取りする機会も増えています。

電話や口頭レベルのアナログ的な仕事のやり方は、効率的ではありませんし、人手がかかります。必要な情報をだれでも分かる形でデータ処理して、他人に仕事を依頼するという王道のやり方でないと、デジタル社会では成り立ちません。リモートワークによって、仕事の生産性に大きな差が生まれるのも、上述した背景を考えれば理解できるはずです。

とはいえ、社会の仕組みが変わってもいきなり全員が適応できるわけではありません。一部の優秀な人材は変化に適応していきます。その他大勢はすんなり適応できないでしょう。したがって、「社会が変わったからといって自分が生き延びれなくなる」などと考える必要はありません。ただし、格差は確実に拡大していきます。さらに言えば、適応できない場合は立場がどんどん弱くなっていきます。


よかったら、こちらのサイトも参照ください。
https://estacionsuzuki.com

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