第12回販促コンペ|企画書公開1(キリンホールディングス)
どうも、ヨシムラです。
昨年度に引き続き、今年も販促コンペに出してみたので、その振り返りと企画書の公開をしようと思います。
このタイミングで企画書を公開するということは、一次審査を超えられなかったということです…(シンプルに悔しい)
ただ、今年の販促コンペは外出自粛期間があったり、テレワーク期間だったりと、何かと企画に時間をかけることができました。
もちろん振り返ってみて、
「もっとこうすればよかったなー」
と思う部分はあるのですが、現時点での自分の実力だと思うので、
それを受け入れる意味でも企画書を公開し、来年以降の受賞に向けて頑張っていこうと思います。
では、早速1つ目の課題である「キリンホールディングス」の企画書公開と振り返りをしていきましょう。
企画書
企画書だけみたい方はこちらに貼っておきますので、ぜひみてください(少しでも、お疲れ様!って思ったら、ハートマークを押していただけるとこの企画書も泣いて喜びます。)
課題概要(キリンホールディングス)
キリンさんといえば、午後の紅茶や一番搾り、氷結などの大ヒット商品を世の中に送り出している大手飲料メーカー。そういえば、大学生のときはひたすら「午後の紅茶 無糖」を飲んでましたね、、(なつかしい)
そんなキリンさんからのお題は、
クラフトビールをもっと多くの人に飲んでもらうためのプロモーション企画
以下、オリエンシートに書いてあった内容です。
課題となる企画の目的・目標
近年、急速に変化するお客さまの価値観、デジタルテクノロジーの進化をとらえながら、クラフトビールをより多くの方々に飲んでいただきたいと考えています。ビールの常識や、飲酒のさまざまな様式・文化を変え、市場を再活性するプロモーションアイデアをご提案ください。
市場の背景、動向や想定ターゲットとターゲットの特徴
ターゲットは、自由でフラットな時代を生きる若者層から、多彩なお酒を楽しむ中高年を対象に、「クラフトビールがよくわからない」「興味はあるけど、手をだしにくい」と考えている多くの方々。ビールの未知なる世界の発見・体験を通じ、クラフトビールのある豊かたな人生を広げていければと考えています。
課題の訴求ポイント
顧客機会・課題の切り口が明快で共感性の高いものであること。多くの人が試してみたいと思えるアイディアで、飛躍的にクラフトビール市場を伸ばせる可能性が感じられること。デジタルテクノロジーを活用した新しい提案であることが望ましいです。
企画にあたってのトーン&マナー及び注意点
ビールを飲む時間がわくわくするような、オープンで自由な遊びゴコロが感じられるとよいです。
さて、ここから課題の深堀りをしていきます。
課題整理
オリエンに沿った企画を作らないと、アイディアが良くても通過しないので、まずはどんな制約があるか(何を満たすのが大切か)を考えます。(通過しなかったんですけどねw)
・販促目的はクラフトビールの売上向上(おそらく、店頭だけでなくECでも可)
・ターゲットが若年層から中高年と結構広いため、特定の層にだけ刺さるプロモーションではなく、どの層にもある程度効果が見込めること
・クラフトビールへの知識があるユーザーではなく、飲用経験が少ないユーザーがターゲット
・デジタルテクノロジーを駆使すること(WEB、アプリ、AR、VRとかなのかな?)
・課題の再定義がシンプルで、それに対するアンサーもシンプルであること
・飲む時間がわくわくする=自宅で楽しめる? オリエン動画でも家でたのしめると良いかも的な発言があった気がする。
上記をすべて満たすべきだとは思いますが、その中でも企画の軸となりうる制約が「デジタルテクノロジーを駆使すること」です。
企画のメインとしてデジタルを取り入れるか、メインの施策へ誘導するためにデジタルを使うかなど、やり方は自由ですがどこかにデジタルは組み込まないといけないことが分かりました。この制約は忘れずに次に進みます。
ターゲットと市場
次に課題の全体感を掴むために、市場の状況やターゲットの状況・価値観などを探っていきます。
・ビール市場は縮小傾向(日本酒やワインなどに流れている、ビール一強の時代が終わった)
・クラフトビールは現在一部の若年層が消費している
└オリエン資料のどこかに書いてあったような…
・クラフトビール自体の認知は広まっているが(80%)、どんなビールか知っている人は15%にとどまる
・クラフトビールを選ぶ理由は、①選ぶ楽しみ ②味・品質 ③コミュニケーション
引用:PR TIMES
・若い世代ほど「口コミ」が飲用動機になり、50代になると「味わい」「こだわり」を求めて飲用を始める傾向
引用:PR TIMES
・クラフトビールは自宅、クラフトビール専門店、、レストランで飲む人が多い
引用:PR TIMES
・クラフトビールを飲むきっかけの1位は「口コミ」
引用:PR TIMES
クラフトビールを選ぶ理由として、全世代において「選ぶ楽しみがあるから」が一位
引用:PR TIMES
当たり前の話ですが、企画を考えるときは、定量的なデータを根拠にするため、上記のようなデータは役に立つかどうかに関係なく集めまくります。(もちろん、上記の資料以外にもたくさんストックしました)
企画を考えている途中でヒントになったり、実際に企画書内のファクトとして記載する可能性があるので、この作業はとても大切です。
実務でも定量データがないと有効な施策だと判断できなかったり、KPI設定が難しかったりします。
さて、なんとなく全体感をつかめたので、次に進みます。
課題の再定義と戦略
クラフトビールをなんで飲まないんだろう、と思ったときに以下の4つほどに整理してました。(応募期間中は明確に言語化するというよりかは、頭の中でなんとなく整理してました)
・01 そもそもどこで買うんだっけ問題(場所)
→購入チャネル・タッチポイントが少ない。専門店や居酒屋、ECなどがあるが、日常的にクラフトビールを想起することが少ない。
・02 そもそもどれを飲めば良いんだっけ問題(選択)
→種類が多くて、どんなビールか理解しづらい。いざ、飲もうと思ってもどれが自分の好きな味かどうかが分からない。
・03 そもそもクラフトビールの魅力を知らない問題(商品)
→クラフトビールへの関心が薄く、理解度が低い。クラフトビールに関する情報に対しては受け身の姿勢。
・04 そもそも飲むきっかけがない問題(機会)
→クラフトビール好きな人はともかく、あまり飲まない人にとって、飲むきっかけや理由がない。
「01 そもそもどこで買うんだっけ問題(場所)」については、専門店や居酒屋などのオフラインで展開する施策はいまの時勢を鑑みて、かなり厳しいかと思いました。(いま、思い返せばテイクアウトとかで広げる方向はアリですね。)
「03 そもそもクラフトビールの魅力を知らない問題(商品)」は魅力の幅が広すぎてコアの課題にするには難しいと判断しました。
クラフトビールは日本全国に醸造所があり、その醸造所によって作られるクラフトビールの味や風味、のどこし、香りなどは変化します。
そのため、「クラフトビールの真の魅力は〇〇だ!」と言い切るのは難しいと思いました。
もし、企画として作るなら、醸造所をコアとした企画(醸造所めぐり系や産地の情報をもとにしたクリエイティブ)になるだろうと思いますが、この路線は他の人と被りそうな気がしたのと、産地によって情報を出し分けるデジタル表現はかなりフィジビリ的に難しいのでは?と考えました。
と、考えていくと、「02 そもそもどれを飲めば良いんだっけ問題(選択)」と「04 そもそも飲むきっかけがない問題(機会)」を主体に組んでいこうと決めました。
特に「02 そもそもどれを飲めば良いんだっけ問題(選択)」については、課題整理で取り上げたクラフトビールを飲む理由の1位として
「選ぶ楽しみがあるから」(クラフトビールを選ぶ理由)
というファクトがあるので、
選ぶ楽しみを体験してない人→選ぶ楽しみを覚える
という価値観の変化がクラフトビールを定着させる上では大切だと思いました。
しかし、クラフトビールを普段飲まない人が、急に
「クラフトビールを選ぼうっと☆」
みたいな思考には当然なりません。
これが先程取り上げた、「04 そもそも飲むきっかけがない問題(機会)」だと思います。
そのため、ステップとしては、以下のようになると考えました。
STEP1 クラフトビールを飲むきっかけを与える(04の解決策)
↓
STEP2 クラフトビールを選ぶ楽しさを知ってもらう(02の解決策)
↓
STEP3 クラフトビールを日常的に飲むようになる(最終ゴール)
この流れで企画書の大枠の構成は作れそうだなーと、ぼやんり方向性が見えてきた気がしました。
次の作業として、具体的なコアアイディアを考えていきます。
コアアイディア開発&選定
さてさて、企画を考える上で一番楽しい部分、コース料理でいうならメインディッシュであるコアアイディア開発と選定をしていきます。
アイディア出しの段階では、そこまでマーケデータとの関連性を重視するのではなく、自由に発想していき、そこからデータとつながりそうなものや企画として面白そうなのをピックアップしていきます。
この企画は同期のデザイナーと2人でやったので、2人でバアーっと色んな案を出していきました。色々な方向が出てきましたが、ここでは割愛します。(単純に長くなるのと、コピペするのがめんどくさいとかは内緒)
アイディアを出していき、2人が良いね!ってなったコアアイディア(というかコンセプト)が、
「贈り物としてのクラフトビール」
でした。
「贈り物」というのが着眼点として良いと思った理由は以下です。
・STEP1の「きっかけを与える」が「プレゼントする 」という行為に置き換えれるから
・STEP2の「クラフトビールを選ぶ」が「プレゼントを選ぶ」という行為に置き換えられるから
・クラフトビールを飲むきっかけの1位として、「家族・友人・知人に勧められたから」というファクトがあり、親しい関係の人との間でクラフトビールが好きになる最初の体験あるのでは?、という仮説が成り立つから
そんなような理由でコンセプトを決めました。
そして、最終的に考えたアイディアが、
ARポストカード
です。
施策概要
ほな、「ARポストカード」という施策はどういう施策なんじゃい〜!って感じると思うので、簡単に説明しますね〜。
クラフトビールの絵柄のポストカードを販売。そのポストカードにARで浮かび上がるメッセージをつけてプレゼントをする
みなさんも一度は誰かから貰ったことがあるであろう、富士山などの綺麗な風景等の写真がついているポストカードです。(たいていおばあちゃんから送られてきがち)
そのポストカードの写真の面をクラフトビールの絵柄にして販売します。
そして、ポストカードにスマホをかざすと「AR(拡張現実)」で、贈り手のメッセージを見ることができるサービスです。
これだけ見ると、「クラフトビールを売ってないじゃん!」と思われそうですが、ちゃんとクラフトビールの販促につながっていて、このポストカードには「DRINX(キリンのEC)で使える無料の引換券」がついています。
感覚としては、スタバのカードをあげるみたいな感じで、カードの購入が商品の購入代わりになるような形をとっています。
このようなポストカードにするメリットは以下です。
贈り手
・⼿軽にかわいいプレゼントを贈れる
・ARメッセージで簡単にサプライズできる
・ポストカードだから⾊んなシーンで渡しやすい
貰い手
・おすすめのクラフトビールを選んでもらえる
・温かいメッセージをサプライズで受け取ることができる
・プレゼントをそのまま⼿元に残しておける
企業
・新しい販売チャネルの開拓(お酒売り場ではなく、雑貨コーナーでクラフトビールを売ることができる)
この施策のポイントは、クラフトビールという存在が低価格〜中価格の贈り物として新たな地位を獲得することです。
ビールそのものはお中元などで贈り物としての地位を築いていますが、それは非日常の贈り物であり、本施策が目指している「日常での贈り物」とは異なります。
クラフトビールそのものを会社の同僚や親しい友人・家族に贈ろうとすると、配送だったり持ち運びだったりで手間がかかってしまいます。
しかし、ARポストカードならクラフトビールを受け取るタイミングを自由に決めることができ、家まで配送してくれます。
このような利便性の面から日常での贈り物としてのポテンシャルがあると考えました。
さらにDRINXとの連携をすることで、新規会員の獲得が期待でき、今後のECでの購入促進やメルマガなどのCRM施策を打つハードルが低くなります。
あれれ、めっちゃ良い施策なんじゃ…
施策への評価
ここまで、まるで企業協賛賞やグランプリ的な振る舞いで解説していますが、悲しくも現実は一次審査落ちです。。。
改めて施策や企画への評価をして行きたいと思います。
審査員長の嶋さんは以下の3つを重要視して審査しているそうです。
・リアリティ
・クリエイティビティ
・フィジビリティ(実現可能性)
それぞれの項目を5点満点で自己採点していきましょうか…(涙出てくる)
・リアリティ
★★☆☆☆(2/5点)
理由:ARポストカードが発売したらめっちゃほしいかと言われたら、めっちゃほしいにはならない。雑貨コーナーによって、その中にあったら目に止まりそうではある。ただ、いま時代ポストカードという形式にどこまで需要があるのかが不明であるし、貰い手側がどこまでクラフトビールを定期的に飲むようになるかが見えない。
・クリエイティビティ
★★★★☆(4/5点)
理由:あえてクラフトビールそのものを売らないという方向や、新しい購入チャネルを開拓するという視点は良いのでは。
・フィジビリティ
★★★☆☆(3/5点)
理由:AR自体はフィジビリティ的には問題ないが、売り場の確保(そもそも売っていいのか問題)やDRINXとの連携などオペレーションの負荷が高い。
個人的にはこんな感じで捉えてました(甘いですかね…)
やはり生みの親としては我が子(企画書)は可愛くて仕方ありません。
が、そのまま可愛がっていたらいつまでも受賞できないので、我が子を厳しく育てようと思います。。。
落選理由としては主にリアリティが足りていないと感じました。
この企画を通して、「普段クラフトビールを飲まない人が飲むようになるのか」、という単純な問いに対してYESと言えないところが本企画の弱さなのかと。。
総括&振り返り
長々とお読みいただきありがとうございました〜
いやー、この企画は通ってほしい企画であったので、落選したのがとても残念でなりません。
今回の企画制作の全体での「Good&More」をまとめておきます。
Goood
・定量的データと施策を結びつけることができた
・一貫性のある企画書を作ることができた
・課題を分解して、再度整理することができた
・デザイナーと楽しく作れた(←これ一番大切)
More
・課題への深堀りと斬新な着眼点が足りてなかった
・1課題に対して、1企画しか提出しなかった
・デザイナーに振り出すタイミングが期限ギリギリになった
・企画を寝かす時間が少なかった
・1つのコンセプトに執着した
・定量データを信じすぎた
こんな感じですかね〜
他に振り返りで思い出したら随時追記していこうと思います。
今回、企画書を公開したのは、世に出ることのなかった企画書を供養することや自分の思考整理と振り返りが主な理由です。
ただ、それ以外にも「販促コンペをやっている人との新しいつながりを作りたい!」という気持ちがあります。
もし、よければみなさんの企画書も個人的に連絡で良いので見せていただけないでしょうか…?あ、この企画書に対する感想もほしいな(ワガママか!)
というか、販促コンペの企画書を持ち寄った飲み会とかやってみたいですね!!(今はあれですが)
キリンの課題でめっちゃ文章書きすぎた感じもしますが、これ以外の企画書も随時アップしていけたらと思います。
それでは、また。
最後までお読みいただきありがとうございます。 今後も更新していきますので、ご期待ください!!!!