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#4 産地を知ることで生まれる、暮らしの輪郭

場違い記者の小話 第4回 配信日2018/5/11  

 連休中は、EC業界の記者らしく渓流で釣りをしながら「ライブコマース」について考えていました。ライブコマースはリアルタイムで配信する動画の中で、商品を紹介したり、販売したりする手法。販売者や生産者の顔だけでなく、やりようによっては土地の雰囲気までも届けることができます。消費者はライブコマースで商品を買うことで、生産者や土地とのつながりを、通常のECよりも強く感じることでしょう。

 外食が多くなりがちな私は、ときどき食品の産地がすごく気になります。例えば、このサケはどこで獲れて、どのような経路でここにたどり着いたか。それがほとんど分からないうちに飲み食いを重ねる日々の中、自分の成り立ちや消費者としての立ち位置を見失っているような気がします。私がライブコマースに興味を引かれ、取材するのはそうした欠落感が根底にあるのかもしれません。

 ライブコマースの利点はリアルタイムで顧客と交流できる点。私が気になる、産地や販売者に関する質問にも答えられます。実店舗に近い接客による顧客との関係構築、マーケティング、コンテンツとしての面白さなどメリットはさまざま。EC事業者の方々には「顔の見えるネットショップ作り」を心掛けている方も少なくないのではないでしょうか。生鮮食品の生産者やECサイト運営者の魅力を伝えるため、工夫しているサイトも多いです。ライブコマースはそうしたネットショップ作りの一助になるでしょう。今後、支援サービスの充実などで今以上に売り上げ拡大につながる売り方になることを期待したいですね。

 釣りのポイントは飛騨市の清流・双六(すごろく)川。川の地形を読みながらルアー(疑似餌)を投げて、魚を釣り上げる快感たるや!川の深緑色を映したヤマメの美しい文様!釣り上げた魚をしばらく愛で、脳天を打撃して一瞬で命を頂戴し、塩焼きにして食べる。「どこで獲れたか」など考える余地もない、完全な地産地消です。消費を通して産地とつながることは、消費者に相対的な位置を与え、その位置情報が暮らしに輪郭をもたらすような気がします。

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