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【能登ボランティア旅 その2】

【ストーンズ結成!?】

朝ごはんを頂いて出発。
まずは9時からのミーティングだ。
前日、コーディネーターやリーダー達で届いた案件を整理し、その時々のメンバーで最適な組み合わせに調整して、グループを組んでくれる。


案件の内容は種類がとても多く、瓦礫の撤去や被災した家の中の片付けなどの力仕事系から、人とあまり関われていないおばあちゃんの話し相手といった心のケアなど、様々だ。

昨日、噂で聞いていたのだが、今日はお引っ越し案件と、墓石を直すという案件がメイン。
何となく想像していた通り、僕は墓石案件。メンバー四人でヨロシク!と、第二世代ストーンズがここに結成された。
クルマに相乗りして現場に向かう。
みんなも墓石を直すなど初めてのようで、大丈夫なんやろか??と不安が募る。
現場に到着。墓地なのか?と思っていたが、一軒家の敷地にある田舎あるあるのタイプ。
バール、ロープなどの道具を持っていざ…と向かうと、Tさんが迎えてくれた。


綺麗に咲き誇る立派な一本桜のたもとのお墓・・・
ん?
あれ??
殆ど終わっている!!!

もう既に、脚立と足台を駆使して、お墓の高さまで持ち上げられている墓石。
Tさんによると、頑張ってここまでは一人で工夫して上げたのだが、この先は1人ではどうしようもないのでお願いしたい…とのこと。
いやいや、寧ろ落ちているところからどうやって上げる?という心配をしていたので、作業はほぼ終わったようなもの。
そんなおじいちゃん1人で上げられるようなものなのかというと、そんなものではなく、男四人で持ち上げないとちょっと危ない。
3分と掛からずに作業は終わり、一体どうやってここまで上げたんですか?と聞くと、本職は大工さんで、その技術を使っててこの原理などで少しずつ上げていったのだとか。
地面に思いっきり刺さっている墓石の跡が、重量物が落ちた大変さを物語る。

僅かしかやっていないのに、お茶やアイスまで頂き、しばし世間話。
使うことのなかった道具を抱えて、次の現場へと出発した。
他の二件、こんなに甘くはないだろうな~と、みんなで話しながら移動。

現場に到着…
めっちゃ崩れている…
原型をとどめないほどにバラバラになってしまったお墓。
何段もある大きなお墓なのだが、てっぺんだけでなく、周りの土台から見事な崩れ具合。
真ん中のお骨を入れる所にも、ずれた墓石が入り無残なことに。
これは酷い…

まずはどの墓石がどこに入るのか?石の日焼けの跡から推測して組み立てるところから始まる。
どの石も一人では持てないようなサイズばかりで、少しずつああでもない…こうでもないと言いつつ、なんとか組み上げていく。

なんとか基礎の部分は組み上がった。
しかし我らに立ちはだかるのは、正方形のデカい土台と、その上に乗せる一番メインの墓石(もちろん下に転がっている)
相談の上、これは木で吊らないと…というと、おじいちゃんが竹林で太い竹を切り出してくれた。

バールで少し石をずらしてロープを通し、4人で肩に担ぎ、そーれ!!
と持ちあが・・・・・・らない。
少しは浮いたか…とはいえ、とてもではないけれど、人力で出来る範囲を超えている。
人数を6人に増やしたからと言ってできるものではないなと、メンバー全員が悟る。
滑車などの道具がない限り、どうしようもないだろう。

おじいちゃんのちょっと残念そうな顔。しかし、流石にこれは素人が出来るではなかった。
一旦持ち帰り、また本部で検討した上で連絡しますと伝え、出来る限りはやった…と自分たちを納得させつつ、一旦昼休憩にベースへと戻った。

【午後もがんばる!】

お昼休憩で進捗状況を報告。各部隊の状況を確認して、必要に応じてここで人員の再配置を行うようだ。
我々ストーンズはそのまま残り一軒の案件へ向かう。


到着したのはお寺の一角にあるお墓。車を止めて上る階段の途中に、上から落ちて辛うじて柵に食い止められている石碑が鎮座しており、ちょっとでもなにか余震が起きれば、下の道路まで…ということは、止めてある車ぐらいは軽くペシャンコだな…と恐怖がよぎる。

先ほどよりもサイズが小さめのお墓。ここまで培った?経験をもとに、大きな苦もなく修復作業を進める(とはいえ、楽だったわけでは決してない)
それにしても、ここのお墓の構造に驚いた。
一番下の土台の部分、表面の敷石が倒れた中から表れたのは、固定すらされていない、石碑の端材をただ詰めただけの施工。
因みに、午前中断念した、バラバラになっていたお墓も、コンクリの端材や砂利などを詰めてセメントで表面を固めただけという構造(まあこちらの方が表面を多少固めている形跡があったので、多少はマシ)だ。
見た目さえ整っていれば…という墓石の施工業者の思惑も見え隠れして、どうにもやるせない。
同じような地域でも、被害の差が出ているのは、勿論地盤の差もあるのかもしれないが、施工の手抜きもあるのではないかと思われる。
オレ達はもうお墓は作らないぞ!散骨で充分だ!と、意思を新たにするストーンズだった。

無事にミッションをクリア。ベースで一息ついて、僕は他のチームが作業している家財出しの救援に向かうことに。
先に乗り込んでいたペアでだいぶ終わらせていてくれたので、軽トラで2往復するぐらいで作業をすることが出来た。久しぶりにミッション軽トラの運転を仰せつかり、何度かエンストしつつも段々慣れ始める。



この車は熊本から応援で貸し出されたものらしく、熊本の方々の応援メッセージやキャラクターが描かれていることから、「くまモンカー」として、RQ能登のなかでも呼びならわされている。
作業が終わり、いったん休憩しながら、おばあちゃんから地震発生当時の話を聞かせていただく。丁度、今僕たちが休憩している道路際に出てきていたらしく、経験したことのないような揺れに恐怖を覚えたらしい。
落ちてきたという屋根瓦や、崩れるブロック塀に当たらずに済んだことは不幸中の幸いだ。
能登はそれ以前にも大きな地震に見舞われており、その時に崩壊せずに済んだお家が、蓄積したダメージの為か、今回は被害に遭っているケースが多いのだとか。

さらにこの日はもう一軒。とはいえ、畳を8枚(行ってみると10枚だったw)運ぶだけ。古い本畳だったら重いから大変だな…と思っていたら、現代畳であまり水も吸っていなかったし、墓石と比べてしまうと圧倒的に軽い
サクッと終わらせて、ベースへと戻り、今日の作業は終了だ。

こんな感じで一日が終わる。
依頼の案件はどんどん入ってくる模様で、これもRQ能登のこれまでの活動が地域に認識されているからこそだという。
ただ、増加ペースとクリアすることの出来るペースに差があり、少しずつ溜まっているとか。
人手不足もあるし、一件の仕事がなかなか直ぐにはクリアできないような大きいミッションも入り始めていることも影響しているらしい。

夜ご飯まではまだ時間があるので、少し離れたところにある、自衛隊提供の風呂に入りに行くことにする。
これもなかなかできない経験。まさしくテントの中に、水槽のようなお風呂。地元の方の社交場ともなっているようで、やはりお風呂というのは日本人にとって大切なモノ。
しかしこの支援も、打ち切られるところが出てきているようだ。
サッパリとして、一日の疲れを取ることが出来た。

酒心館に到着してひと眠り。
鉄板焼きや、炊き出しの残りゴハンなどで、今日も宴会だ。
オンライン説明会では、何があるかわからないため、緊急用の食料は必ず持参するようにとのお達しがあり、全くその通りでなにかしらみんな持参してきているのだが、それを消費することなく、現地で美味しい差し入れなどの料理を頂けるのはとても有難いことだ。

この日は、地元で採れたという甘エビまで!
濃厚な一日が終わった。


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