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takeoka
2017年1月10日 10:28
或る朝、ズシンッ! という衝撃音が響き、あわてて飛び起き外へ出てみると、庭に直径二メートルほどの穴が出来ていた。「なにかしら」とのぞいてみると、穴の奥のほうになにやらきらきら光る、まあるい、小さな球体が埋まっている。 私はおそるおそる、それを指先でひょいとつまみあげると、「まあ、ひょっとしたら流れ星でも落ちたのかしら?」と一言。 それから空にかざして太陽の光で透かしてみたり、匂いを嗅いでみ
2017年1月11日 07:46
「誰だ!」 後ろを振り返ると、街燈の光を浴びている自分の姿を映し出した影がそこにいた。 そいつは僕と目が合うと、脱兎のごとく逃げ出した。 逃がすまいと必死になって追いかけると、やつは暗がりの街角を曲がり、大通りへと出ると、大勢の人がごったがえす雑踏へとまぎれこんだ。 ぜんまい仕掛けの操り人形のような、ぎこちない単純運動を繰り返す通行人が行き交うなか、とうとうやつの姿を見失ってしまった。
2017年1月12日 07:40
水面に、大きな光がサッと横切った。何事かと見上げてみると、白亜のエアプレーンがその翼に太陽の光を反射させ、何度も翻りながら、群青色の空のなかを気持ちよさそうに泳いでいる。口をあんぐり開けながら見ていると、そのエアプレーンのあとを追いかけてきた一羽の真っ黒なカラスが、エアプレーンめがけて突っ込んでいった。パァンッ! と、破裂音が響いたかと思うと、エアプレーンは空気の抜けた風船さながら小さくな
2017年1月17日 17:37
シガレットをぷかぷか吹かしているお月さまがいて、青色の煙を辺りにくゆらせている。 私はそれを見て、遠き記憶のなかにある、白髪の髭をたっぷり蓄えた老人の姿を想起させた。「そうかしら? あなたにはそう見えて?」「そうだとも。君にはあれがバッハやベートーヴェンに見えるかい?」
2017年1月29日 20:34
月光のスポットライトが照らし出す舞台の上。美しいお姫さまと、凛々しい王子さまが手をとりあうなか、現れた一人の道化師。くるりくるりと二人のまわりを廻って、手に持っていた大きな布を二人の頭からかぶせると、「さあ、御立会い!」と叫んだ。そしてパッと布を取り外すと、あら不思議、そこに姫と王子の姿はない。「ハハハッ、なにも不思議がることはありますまい、あの麗しいご両人は、ちゃんとおりますぞ。