短編作品その1

 或る朝、ズシンッ! という衝撃音が響き、あわてて飛び起き外へ出てみると、庭に直径二メートルほどの穴が出来ていた。
「なにかしら」とのぞいてみると、穴の奥のほうになにやらきらきら光る、まあるい、小さな球体が埋まっている。
 私はおそるおそる、それを指先でひょいとつまみあげると、「まあ、ひょっとしたら流れ星でも落ちたのかしら?」と一言。
 それから空にかざして太陽の光で透かしてみたり、匂いを嗅いでみたりすると、「とてもおいしそうなにおいがするわ」と一言。
 私はそれをそのまま、ぱくり、と口に放り込んで食べてしまった。
 すると、とても甘い、でも、ほんのりと苦いような、まるでチョコレートのような味が口のなかに広がったのである。おしまい。