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AIに“パクられた” noteの記事 私はどうすればいい?

パクられた”は言い過ぎでしょうか?
でも本当にそんな気持ちになりました。

この記事では、ChatGPTに代表される生成AIに、私が書いたnoteの記事を丸々”パクられた”体験を紹介します。

これは私だけの問題ではなく、オリジナルのコンテンツを創り出すクリエイター全員に関わる話だと考えて記事をアップしました。十分、検証し切れていないところもありますがご容赦ください。


1.AIに思いっきり“パクられた”


生成AIのひとつ、Microsoft社の新Bingに次の質問をしたところ、回答が、ほぼ私の書いたnoteの記事を引用したものでした。

まずは見てください。
質問は「ファミサポ 会員 増やすには」です。

市町村の子育て支援センターであるファミリーサポートセンター(略称・ファミサポ)の会員を増やすにはどうすればいいかを質問。

新Bingの回答がこちらです。

新Bingの回答(2023年8月12日)

新Bingの特徴は、ChatGPTやGoogleのBardとは違って引用元を示すことです。文章の途中に1、2、3の数字が出ています。その数字を見てください。

新Bingの回答
引用を示す数字が出ている

回答の最後には、それぞれの数字の引用元が示されます。

新Bingの回答
引用元を示している

この数字のうちの2

ファミサポのチラシ「提供会員が増える」キャッチコピーに変えてみた。改善例をビフォー・アフターで3例紹介。

これは、私の書いたnoteの記事です。


この数字のうちの3

ファミサポのチラシ「依頼会員が増える」キャッチコピー。改善例をビフォー・アフターで3例紹介

これは、私の書いたnoteの記事です。

さらには、詳細情報の中で示されている数字の5も私の書いたnoteの記事です。

新Bingの回答
詳細情報で引用元のURLが示される


新Bingの回答は、5つ(詳細情報の最後に「+2 その他」とあるので正確には7つ)の引用元を示しています。
このうちの3つが私の記事。
「んん?!」となった、私の気持ちがわかっていただけるでしょうか。

ただし、この回答では、私の記事から直接的に作られている文章は、この程度です。

キャッチコピーを工夫する。例えば、提供会員になるメリットや やりがいを伝える、依頼会員になるメリットや安心感を伝えるなど。

これぐらいなら、深刻に考えなくてもいいのか。

でもAIは、Webにアップしていたコンテンツから考え方や表現もほぼ、そのまま回答に組み込むケースもあります。
それが次のケースです。

2.私のキャッチコピーもそのまま“パクる”

次は「ファミサポの会員を増やす効果的な広報を教えてください」と新Bingに質問した回答です。

新Bingの回答(2023年8月15日)

赤字で囲ったところを見てください。

新Bingの回答(2023年8月15日)

ファミサポの会員には2種類あります。
・子育てを助けてほしいと依頼する「依頼会員」
・手助けする労働力を提供するという「提供会員」

ほとんどのファミサポが、この2種類の会員を明確に分けないまま広報活動をしていることが一番の問題。これを指摘したのが、さきほども紹介した私のnoteの記事です。

新Bingの回答の元となった私の記事の文章の一部を示します。

ファミサポ会員を増やすための
広報について書いた私の記事


ここからは具体的に新Bingの回答と、その元となった私のnoteの記事を比較します。下の文章のうち黒字の部分が重なっているところです。


【新Bingの回答】
依頼会員と提供会員は、ニーズや世代が異なります依頼会員は「子育てを助けてほしい」というニーズがありますが、提供会員は「子どもが好きで子育てに関わりたい」というニーズがあります。


【元となった私の記事】
依頼会員と提供会員はファミサポに求めるもの(ニーズ)や、会員になる動機がまったく違います
依頼会員
自分の子育てを助けてほしい、自分の時間を持ちたい
提供会員
子どもが好き、時間や体力の許す範囲で子育てに関わりたい


【新Bingの回答】
依頼会員は20代~30代が中心で、提供会員は40代~60代が中心です。


【元となった私の記事】
依頼会員
小さな子どもを育てている世代
20代~30代が中心
提供会員
子育てが一段落した世代
40代~60代が中心

依頼会員と提供会員はニーズも世代も違う。だから、それぞれ違うキャッチコピーで参加を呼びかける必要がある。

この私の考えと根拠を、AIはそのまま回答にしています。

さらに、私が考えた提供会員向けのキャッチコピーがそのまま使われています。

新Bingの回答
私のキャッチコピーをそのまま示している

新Bingが示しているキャッチコピー「子どもが大好きなあなたに」。
これは私のこのnoteの記事から使っています。

ファミサポの提供会員向けの
キャッチコピーについて書いた
私のnoteの記事

3.なぜ私の記事が“パクられたのか”

では、なぜ私の記事が引用されたのか。
それは私の記事の検索順位が上位になっているからだと思います。

シークレットモード(MicrosoftならInPrivate)で「ファミサポ 会員 増やすには」で検索してみます。

●Microsoftは、検索順位の1位、3位、5位が私のnoteの記事です。

マイクロソフトの検索結果画面

●Googleは、検索順位の2位が私のnoteの記事です

Googleの検索結果画面

MicrosoftやGoogleの検索順位がどうやって決まるのか。詳細なアルゴリズムは明らかにされていません。

ただ、ざっくりというと「ユーザーの知りたいことが載っている」「見やすく・読みやすい」「オリジナルのコンテンツ」。

つまり役に立つ内容が上位になるのでしょう。

私もこの3つ
●ユーザーの知りたいこと、役に立つこと
●見やすく、読みやすい
●他にはないオリジナルのコンテンツ
これを徹底してnoteの記事を書いてきました。

特にオリジナルのコンテンツという部分が重要です。
一般的なキャッチコピーやチラシの作り方、あるいは会員の増やし方や広報の方法を紹介したコンテンツはいくらでもWeb上にあります。

しかしファミサポの会員募集の現状や課題を押さえた上で、具体的に解決方法を提示する。ビフォー・アフター形式で改善策を掲載したコンテンツは、私が記事を書くまで(私が検索した範囲では)Web上に存在しませんでした。

その結果として、MicrosoftやGoogleで「ファミサポ 会員 増やすには」や「ファミサポ チラシ 作り方」で私の記事が検索のトップや上位となったのだと思います。

これが何を示すのか。
実は深刻です。

ユーザーの知りたいことやユーザーの悩みを解決するオリジナルのコンテンツを作成してWebにアップすればするほど、新BingやChatGPTに“パクられてしまう”ということです。


4.”パクられた”私は何ができる?

AIに記事をパクられた私には何ができるでしょうか?
対処法はいくつか考えられます。

①AI運営側に対価を求める
②自分の記事への流入を期待する
③Webにアップするのをやめる

①AI運営側に対価を求める

AIの運営側、マイクロソフトであったり、ChatGPTを運営するアメリカの会社「オープンAI」に、私の記事を使ったことに対して対価を求める。あるいはAIの学習材料として勝手に収集することを禁止する。

実際に、アメリカを代表する新聞社のひとつ「ニューヨークタイムズ社」が記事や写真の著作権を守るためにChatGPTを運営する会社「オープンAI」を提訴することを検討する動きがあります。

出典:https://www.asahi.com/articles/DA3S15720032.html

とはいえ、個人レベルでは現実問題、あまりに難しいです。

②自分の記事への流入を期待する

では自分の記事への流入を期待するというのはどうでしょう。

代表的な生成AIのうちChatGPTやBardは引用元を示しません。これはもう“パクられ損”です。

一方で新Bingは一応、引用元を示します。

その引用元をユーザーがクリックして、私の記事に流入してくる。その効果に期待するという考え方です。

しかし新Bingが、どのような場合に引用元を示すのか、詳細は不明です。また、引用元の紹介の形式もいろいろあるようです。

私の記事の場合、こちらは文章の途中に番号を示して、文章の最後に引用元を示す形式でした。

新Bingの回答
新Bingの回答 詳細情報

しかし、こちらの回答は、その番号がありません。

新Bingの回答

回答の最後に、まとめて参考文献として紹介する形式です。(私の記事は数字3です)

新Bingの回答

そもそも、どこまでちゃんと引用元を示すのかわからない。

さらに、一応、引用元として示しても、果たして回答を見たユーザーは引用元をクリックするでしょうか?

新Bingの回答だけ読んで、なんとなく満足する。それ以上は調べない。これがほとんどではないでしょうか?

そうなると、うんうんと苦しみながらオリジナルのアイデアやノウハウをWebにアップするのは、正直「やってられない」という気持ちになります。

③Webにアップするのをやめる

では、もうWebにアップするのをやめるか。
これも真剣に考えました。
でも、今はまだ保留中です。

もともと私のnoteの記事は「もったいない」の思いから始めました。

自治体など公的な機関が実施している施策。本来は住民にとって価値のある事業なのに、その価値がうまく伝わっていない。だから参加者が集まらなかったり、理解や協力の輪が広がらなかったりしている。

これは「もったいない」。

施策や事業の本来の価値を伝える手助けをしたい。そのために役立つ具体的なノウハウや、その根底にある考え方を伝えたい。その一つの方法として、キャッチコピーの改善の提案する。

直接、広報講座の講師として伝えるだけでは広がらない。だからWebで伝える。こういう思いでnoteの記事を書いています。

ここまで読んで、もしかすると「広げたいのなら、生成AIが代わって広めてくれるのだからいいじゃないか」と考える方もいるかもしれません。

でも新BingやChatGPTなどが作る回答は、まだまだ劣化版です。

「え、私はそんな考えでこの記事を書いたわけじゃない」とか「そこは意味を取り違えているぞ」「ニュアンスが違う」という部分が多数あります。

さらに言うと
●直接、私の記事を読んでもらって「なるほど」と納得してもらい「参考にしたい」と思ってもらう。

このことと

●生成AIが作った、なんとなくもっともらしい回答の中に自分の記事が紛れ込む。読んだ人が、なんとなくわかったような気になってしまう。

この2つは私の中で明確に違うのです。

もやもやしています。
ずっと悩んでいます。
私はどうしたらいいのでしょうか?

結論:では私は、どうするのか

正直、現時点では答えは出ていません。
ただ、AIの圧倒的な激流は、けっして止まらないでしょう。

AIと向き合うしかありません。
むしろ逆にAIをどう利用するか考えていこうと思っています。

激流の中でアップアップしながら泳いでいくしかない。

そういう覚悟をしています。

あなたの意見も教えてほしいと思います。私の連絡先はこちらです。

【追記】
今回のnoteの記事でヘッダーに使った画像は、新Bingで生成しました。新Bingへの要求は「『生成AIが、私のオリジナルのコンテンツをパクる』これをイメージして画像を作って」です。

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